THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY (S.T.A)

札幌で活動しているブラスロックバンド、STA(The Sapporo Transit Authority)です。

CALIFORNIA TRANSIT AUTHORITY JAPAN TOUR 2018(PART,2)

2018-04-24 10:10:54 | CHICAGO

PART,1からの続きです。

初来日!遂に姿を現したCTA!!

メンバー全員ニコヤカで上機嫌。

最高の瞬間だ。どれだけ長い間、この日この時、この瞬間を待っていたことか!それが実現したんだあ!夢じゃあないんだ。

ずらっと並んだ総勢9人のメンバー達(ドニーは途中で登場)。

一番ファッショナブルなのはボーカルのトニー。さすがフロントマン。左手につけている腕時計も高級そう!

ビルもグッとダンディで渋いいでたち。

病気を克服して音楽活動に復帰したんだから嬉しいね。かなり痩せてしまって老け込んでしまったけど・・・(お腹はぽっこり)。

薬の副作用で、左の鼻の穴から鼻水が出そうでしゅっちゅう鼻をかんでいました。

他の皆はラフなスタイル。ギターのマークが一番ワイルドでロッカーのオーラを発していましたね。

プロレスラーのような巨体に胸毛、太い腕、サングラス、ペンダント、指輪、ジーンズ、長髪、無精髭と全てが似合っていてかっこいい。

REOスピードワゴンの故ゲイリー・リッチラースにちょっと似ているかも。

スキンヘッド・ベースのトラヴィスは控えめで大人しい。見るからにベース職人という感じ。

キーボードのエドは髭と独特の髪型からして見るからにインテリっていう感じ。

ソロアルバムも2枚グッズコーナーで売っていたので、私はもちろん買いました!そして大抜擢の日本人ホーンセクション。

若き期待のホープトリオ。

サックス&フルートはタカ、中央は金髪のトランペットター・タツ、トロンボーンはCCこと鹿討奏くん。

STAにて今アルト・サックスで手伝ってもらっているミキティに教えてもらったんだけど、彼は札幌出身の音大卒。お父さんは有名なコンダクターで何故かCCはクラシックの道に進まないでこの世界へ。

ドリカム、本田雅人のバックもつとめています。

おもわず私は声をかけてしまった!「シシウチくん!」

彼等3人はびっくり。「札幌でしょう!」「ハイ!」「俺もだよ!頑張って!」もちろんガッツポーズです。

ダニーは全身から日本へ戻ってこられた嬉しさが充満しています。

ステージの前の観客に握手。もちろん私も「ダニー!」と叫んで握手。

「ああ、この手、この腕であの名曲群を叩いたんだ!」と感無量。

するとダニーは私のCTA黒キャップを見た途端に、あの笑顔で撫でてくれたのです「オオオ!イエイ!」

このキャップはSTAトロンボーンのミツがダニーのサイトで直接購入して、私にプレゼントしてくれた貴重なもの。だから当然のことながら、グッズコーナーでは売っていません(白のみ。もちろんゲットしたよん。これも大阪公演の際には完売)。

あちこちから歓声が飛び交う。はやくも興奮の坩堝と化しています。

観客層が70年代初期に青春を送った若者(!?)で殆ど占められているだけに図太い声が多い。

ドラムセットに座って満足そうに周囲を見渡すダニー。ビルが軽くハモンドでグワア~、マークがポローンと音出し。

エド「アーユー・エブリーバディ・ドウーイング!」「イエイ!」

メンバー達もスタンバイ・オーケー。

間髪入れずにバックスクリーンへ2分割映像が映しだされる。左側にダニーが多大なる影響を受けた故バディ・リッチのインタビュー。右側には若き日のダニーセラフィンのドラムソロ(タングル・ウッドでのもの)。

やっぱすげえ!

次いで「ロックの殿堂入り」した際の受賞式。ダニーのコメント中に何度か「ピー!」音が入って大爆笑!

その後は低音ヴォイスで男性のナレーションが「アンド・ナウ、プリーズ・ウエルカム!」

ダニーを筆頭にメンバー一人一人の名前がコールされ、「C・T・A!!」

<1st stage> 1:30

1. Introduction Overture

2. Make Me Smile

3. Questions 67 & 68

4. Turn Your Love Around

5. You're the Inspiration

6. Turn Back The Pages ※Donny Ducas sings / from『STILLS』

7. Ain't It Time ※Donny Ducas sings / from『HOT STREET』

8. Dialogue

9. Look Away

10. Ed Roth Piano Solo ~ Does Anybody Really Know What Time It Is?

11. Mark Bonilla Guitar Solo ~ Color My World

12. Hard Habit to Break

13. 25 or 6 to 4

-Encore-

14. Saturday in the Park

ナイスなタイミングでダニーがスティックで4つ打ちカウント。

もう脳天爆発です。もちろんお約束「イントロダクション」だあ!

やっぱりこれではじまらなきゃあねえ!

本家のシカゴはオリジナルに比較的忠実なアレンジでライブ再現しているのに対して、CTAは1STに収録していたテイクもそうでしたが、大幅に様変わり。

これがめちゃくちゃにロックしていてドライブしていてクール。

バスドラでビートをヒットしてギターがメインリフを弾き、ハモンドが絡んできた後にブラスセクション炸裂という図式だ。

トニーは両腕をグルグル回したり、ヒラヒラさせたりのアクションでノリノリ。ハイトーン担当だけにテリー・キャスのドスのきいたボーカルラインではなく、新たなメロディで歌っていてとても新鮮だ。

なるほど、こういう解釈もありだね。

随所に実験的精神が垣間見れます。単なる回顧趣味バンドなんかじゃあない。

熱くたぎるミュージシャン精神は、そんじょそこいらの若造どもには太刀打ちできないでしょうね。

アルバムではダニーとマークがプロデュースしていたけれども、ライブでのバンマスは実質的にはキーボードのエドが任っているようです。

場面転換、回数指示、エンディング、ブレイクなどに差し掛かると必ず身を起こして大袈裟なくらいに左腕を動かして合図を送るのです。

それを見てメンバー達がプレイに専念。(観るもの全てがとても勉強になるよ)

ブラス隊も必死に吹きまくっている。

会場全員が猛然と拍手の嵐。

ところがこの「イントロダクション」は時間の関係上、1番、2番を終えたらいきなりエンディングというエディット・バージョン。

これからが変態的プログレッシブなスリリング展開なだけに残念。

でも私が痺れまくって聞き惚れていたシカゴ初期の曲がオリジナル・ドラマーで聞けるんだからシアワセです。生音までガンガン伝わってくるくらいに目の前なんだから。

エドのアイコンタクトで連打を決めて、間髪入れずにダニー4カウント。

「メイク・ミー・スマイル」だ!

あちこち微妙なズレやラフな部分も散見しているけれども、ノープロブレム。

これぞロック。そんなこと遥か彼方にぶっ飛ぶくらいの勢い。

ダニーの激しいシンバルワークやスネアを中心とした目にも止まらぬ素早いジャジーなフィルインも健在。

マークはあのロニー・モントローズが見い出しキース・エマーソンやグレン・ヒューズが惚れ込んでタッグを組んだ凄腕ギタリストで、良質なソロアルバムも発表している人。でもこのステージでは極力ダニー達先輩を引き立てる役に回っていておとなしめ。もちろんここぞという弾きまくり場面では遠慮なしに爆発していましたが。

エンディングでのギター・ソロもその一つ。そこからダニーによる最初のドラムソロ。

お馴染みの口をやや半開きにして前歯がチラッと見える独特の表情で叩きまくり。

そして「ナウ・モア・ザン・エヴァー」

ここではやはり時間の制約上、7楽章からなる壮大なる組曲「バレー・フォー・ア・ガール・バッキャノン」中、第1楽章と最終楽章にあたる7楽章を連結させてのスペシャル・バージョン。これが聞けるというのも激レア。

この曲はリハで聞こえてきた短いけれども、超がつくほどに難解な曲。実際にホーンがずれちゃった・・・。誰も気づいていないと思うけれど。

たいした事故にもなりませんでした。

観客が一緒に大合唱、手拍子。皆さん最後まで体力持つの?って心配しちゃうよ(笑)

「ハロー!コンバンハ!サンキュー!」ダニーがマイクを手にMC進行。

そしてリード・ボーカルの紹介「ビル・チャンプリン!」

すかさずビルも「ダニー・セラフィン、ドラム!!」

この2人を一緒に見られるというのも感慨深いものがあります。

だってシカゴからダニーを解雇するという伝達役を請け負ったのがビルなんですよ。

その後ショックを受けたダニーは長年音楽業界から引退同然の日々を送っていたのだそうです。ビルから謝罪の言葉をもらい今では良好な関係を築いていますがね。

そしてシカゴ・ファンのマークと出会ったダニーが一念発起して結成したのがこのCTAなのですよ。まさに奇跡の復活劇。

シカゴ結成時のダニーは17,8歳。オリジナルメンバーの中では最年少。今までの空白期間を軽く埋めちゃうほどの活躍を期待しましょう。

そんなことを妄想している暇なんかないよ。

ダニーのスティックカウントから繰り出されたのは、ロック至上最もスリリングなるドラムフィルイントロからはじまる「クエスチョンズ67&68」だあ!

こりゃあ、たまりませんよ。マークの奏でるギターラインがテリーキャスに対するリスペクト精神で漲っています。

ブラス隊もそろそろリラックスしてきたのか、切れ味が増してきました。

ダニー、紛れもない本物がプレイしている。冷静さを装うにも興奮が抑えられない。

レコードで聞きまくったドラミング。私が最初に「いかしたドラマー!」と思った人です。

小柄なんだけども引き締まった体、固い腕はさすが。それでなければあのドラミングは再現不可能でしょうね。

トニーの高音はピーター・セテラのボーカルに迫るほどに突き抜けています。

中間部での聞かせどころでもあるブラス隊によるアンサンブルでは、メンバー一同がニコヤカに見守っています(一瞬よれたけど大奮闘)。

エンディングで歌われるタイトル「クエスチョンズ67&68」の入り方がちょっと早めなのはトニー流のこだわりか。

「トニー・グラント!」とダニーが紹介すると万雷の拍手が鳴り止まない。

そして続けて「ビル・チャンプリン!」とコール。大御所のコーナーだ。

虫の息だったシカゴをデヴィッド・フォスターとともに再生させた功労者。AOR界の重鎮だ。

ビル自身によるMC

「この曲はジェイ・グレイドンやTOTOのスティーブ・ルカサーと作った曲。ジョージ・ベンソンが歌って大ヒットしたねえ!」と手の平を上に上げて「自分もセルフカバーしたんだけど・・・・・」下の方・・・と自虐的ギャグを繰りだす。

これが正真正銘オリジナルの「ターン・ユア・ラブ」だ!

ビルのソロでの来日ではお馴染みのレパートリーだけど、私が生で体験するのは初。

ここでは膝を正してじっくりと燻し銀の技を堪能。

ビルが小さく指でダニーにカウントを送ると、スティックにてアクセントを叩いてもろにジャズ・スイングのイントロへ。

おお!アルト・サックスのタカくんが咽び泣くようなソロを吹き鳴らした。

ブラス隊初のソロ。

安定感のあるブルージーでソウルフルなビル・ヴォイスに酔いしれる。一向に衰えたところなんてなし。

やっぱり素晴らしいなあ。改めて名曲だなあ・・・と痛感した次第。

理屈抜きに聞き惚れてしまいました。

特の女性達はウットリしていましたよ。

ダメオシは年季の入ったビルのハモンド・ソロが一際冴え渡る。

ダニー「ビル・チャンプリン!!タカ、サクソフォン!!」

拍手が一旦収まった頃合いを見計らったかのように流麗なるキーボードの戦慄が漂いはじめます。

「オーケー!ピーター・セテラ!!」とダニーがかつての盟友の名前をコールする。

そうです、シカゴの大ヒット曲「ユア・ザ・インスピレーション」のはじまり、はじまり!

ドラマティックなイントロでたちまちノックアウト。

再びトニーの真骨頂。高音の張りや伸びが絶妙です。

美しきハーモニー。繊細なるアレンジも聞き応え満点。この曲に関してはオリジンルに忠実再現。

こんなにもデリケートな楽曲をもサラッとこなしちゃうんだから,CTAってやっぱり偉大だ。ブラス・ハードロックからAORバラードまでも一挙に網羅。

エンディングでのマークによるアーミングを交えた巧みなるギターソロは神業的。

あのぶっとくてごつい(失礼)指でよくもまあ、あのように器用なフィンガリングができるのだろう・・・と変な感心をしちゃいました。

ダニーがもういちど紹介「トニー・グラント」

「サンキュー」大歓声!

さあ、ここでサプライズ・ゲストの登場だ!来日前にビルとダニーがビデオで告知していた目玉だよ。

ゆっくりとステージサイドの階段を上がってきたのは,ギターを抱えたドニー・デイカス!!

スラッとした細身のスタイルはあの時のまま。

なまら年季の入った黒い「ロックの殿堂入り」ジャンパーを着こんでいるよ。これに関してはドニー自身そうとう誇りに思っているんだろうね。

「ドニー!ドニー!」

皆、必死に名前を呼ぶ。ドニーも満面の笑みを浮かべて嬉しそうに応える。

テリー・キャス亡き後、シカゴに加入したシンデレラ・ボーイ。

「ホット・ストリート」「13」という2枚のアルバムでは中心的存在で注目を浴びながらも残念なことにシカゴでは日本の土を踏むことなくシカゴを去っていったのです。だから今回のCTAでの来日発表は、まさしく晴天の霹靂。

しかもビルとドニーってシカゴ在籍期間は被っていないのですよ!

CTAがあったから実現した夢の共演だ。

そうこうしているうちに、ドニーがフェンダーアンプにギターを接続したんだけれども、音が出ない・・・。あれ・・・?

ドニーは私の目の前で色々と操作したりチェックを入れる。スタッフも飛んでくる。ときおり私とドニーの目が合う。「どうしよう?どうしたんだろうねえ・・・?」てな感じで。

アンプの裏や配線、連結部分を覗き込む・・・。

ビルやエドも心配そうにアドバイスを送る。

その間中、ダニーがつなぎのトークを繰り広げる。

しばらくすると「チャラ~~ン・・・・・」と音が出た。

「やった!出た!」と私が声を出すと何度もドニーは私と目を合わせて「オーケー、オーケー!」とスマイル。

ホッとしました。まあ、ドニーらは余裕の表情でしたが。

ダニーは「ヒア・ウイ・ゴー、ハア~~~~(笑)」

改めて紹介「ドニー・ディカス!」「ワア~~!」

「1・2・3~!!」

ドニーが初めてワールド・ワイドにその名を轟かせたステーブン・スティルス・バンド時代にステーブンと共作した名曲「ターン・バック・ザ・ペイジス(アルバム「スティルス」のトップに収録)」が飛び出した。めちゃくちゃにマニアックなセレクション。往年のロックファンにとっては涙なくしては聞けない代物だ。

バック・スクリーンには若きシカゴ時代のドニーのライブ映像が流れる。

カーリー・ロングヘアをなびかせ白のサテン生地衣装をサラッと着こなしたドニーが、アクション繰り広げながらギター・ソロを弾きまくる姿。

例の仰け反り大股アクションもね。

それが私の目の前でも同様に決めまくっているのです。短髪にはなったけど、軽快なる動きはそのまま。

あちこち歩き回るものだからシンバルスタンドやトラヴィスのベースヘッドにギターがぶつかりそう。でもそこをするりと交わしながら、遠慮なく暴れまくる。

ボーカルの際にもバッキングギターの際にも、常に全身でリズムをとってパフォーマンス。

信じられない。目の前で、腕を伸ばせばすぐ届く位置にドニーが立っているなんて・・・。感無量。こんな日がくるなんて。生きていて良かったああ・・・。

ドニーのギター・ソロは、マークとは全然違うタイプ。

明らかに60~70年代を渡り歩いたドニーだけに、洗練されたアメリカン・スタイルの音色を貫いています。

ダニーがもう一度紹介します「ドニー・デイカス!!・・・オーケー?」

すかさずダニーのスティック・カウント「1・2!!」

ここでの曲にはビックリ。誰も予想がつかなかったであろう「エイント・イット・タイム」

ヒット曲でもないシカゴの12枚目の「ホット・ストリート」からのセレクション。

ここでのドニーのこだわりも思い入れも半端ではない御様子。だってシカゴでのシングルは一杯あるのに、あえてわざわざこれを持ってくるということは譲れないドニーの信念があったのでしょう。

もちろんドニーとダニーによる共作。

重いリフを中心とした、物凄く印象に残るヘヴィーな佳曲。

ちなみに私はドニーもドニー時代のアルバム2枚も、誰がなんと言おうともずっとお気に入りなんですよ。

だから想定内の曲でサービスされるよりも、この曲のほうが個人的には数倍大歓迎。

ドニーもここではロッカー然とした風情で取り組んでいましたね。

ドニーは分厚く大音量で歪ませるタイプのギタリストではなく、ピッキングも滑らかです。

目前でずっと見ていたけれども、フェンダー・ストラトキャスターがとてもよくお似合い。

ブラス隊、特にトランペッターのタツくんはハイ・ノートを連発でヒットしていたよん。嬉々迫る迫力だ。

ダニー「ネクスト・ソング・・・」と言いながらマークの方をチラ身。

ナイス・タイミングでマークのコード・カッティング「ダイアログ・パート1&2」だ。

会場全体から自然と、いっせいに拍手が沸き起こる。

コードに絡んで、ダニーとトラヴィスのアクセント決め。

そしてダニーのハイハットワークが巧みの技で痺れてきちゃいます。たまにボトムシンバルにもスティックを回して装飾音的に叩いているし。

ビルがテリーの低音ボーカル・パート(シカゴ時代も同じ)、そしてトニーがピーターやジェイソンの高音ボーカル・パートを担当。

2人のメリハリのつけ方がさすがプロ。

ああ、思い出すなあ。1973年の札幌厚生年金会館でもこの曲をやったんだっけ。

エンディングでのパート2大合唱ではキーボード・ソロのあとにマーク、トラヴィスも加わってドンドンと華やいできました。

ドラムビートのみでアカペラ体勢となったコーラスはお約束「ウイ・キャン・メイク・ハッ!!」でぶつ切りTHE END!!

「ビル・チャンプリン、トニー・グラント!」とダニーが名前をコール。「サンキュー!ダイアログ!!」

この最中、ドニーがずっと熱唱しながらノリノリだった私に自ら歩み寄ってきてピックを手渡してくれました!

「ええ!!??サンキュー!!」ビックリです。

一生の宝物がまた増えた!(この後、更なるドニーの私に対するお茶目ぶりがあります)。ドニーがギターを抱えたまま一旦退場(といっても横のテーブル席でくつろいでいましたが)

そしてビルがハモンド・オルガンの前の狭い通路をなんとか歩いてドニーの横ポジションにてギターを抱える。フェンダーの鮮やかなレッド・サンバースト・ボディのストラトキャスターだ(PUはセイモア・ダンカンのSSH配列)。

弦に挟んであったティア・ドロップ型ピックを手にとって、フッと吹くジェスチャーをしてから「ポロ~ン」

足元にはBOSSのコンパクト・エフェクターがズラリ。ダニーとビルがなにやらコミカルなやりとりをはじめた。

どうやら次に演奏する曲の解説をはじめたダニーにビルが突っ込みを入れている模様。ここでの微笑ましい光景も、彼らの紆余曲折を経ての友情があってのものでしょうね。曲に関する年号の食い違いに関してボケと突っ込みのやりとりが楽しい。そこいらから笑いも沸き起こっています。

深めのリバーブとコーラス、ディレイエフェクターをカチッと踏み込んで本編スタート。

「ルックアウェイ」

シカゴAOR期における珠玉のバラード大作だ。

ビルみたいに歌えたら魂を悪魔に捧げてもいいや・・・てなぐらいに大人の男の魅力たっぷりだ。

ギター・コードストロークに交えて、さらっとこなすソロも説得力に満ち満ちている。

シーンと静まりかえった場内。

さっきまでの沸点全開の熱き場面とは別世界。

ダニーらがやや控えめにバッキング・ビートで加わってくるけれども、あくまでもビルの引き立て役に徹する。

後半での転調部分でエクスタシーに達するのです。マークのナチュラルサウンドのギターソロが延々と続いた後で(ちょっと外してた・・・)再び静かに幕を閉じるという演出。

魂の咆哮のビルが絶品だ。「フフフッ!」とビルの不敵な笑い声で締めくくり。

この曲のみビルはギターを弾くのです。だからこそ、じっくりと目に焼き付けておきました。

次いでエドのピアノ・ソロ・コーナー「フリー・フォーム・ピアノ」。

ダニーがキーボードのエドワードを紹介。そこへクールに応えるエド。

ジャジーでクラシカルなピアノ・タッチで迫ってくる。

百戦錬磨のエドらしく、アドリブも交えつつ余裕で旋律を紡ぎだしています

ダニーは汗を拭いて一息入れた後に、リズムを刻んで参戦。

ここでは、ジャズバーのような雰囲気を演出。

よくよく考えてみたら「フリーフォーム・イントロ」を生で体験するのも私は初だ!

ダニーは往年のファン心理を考慮して、出来うる限りの再現に挑戦してくれているのだ。

あの70年代初期ニューロックが、ここでも蘇る。

そうさ、万雷のワクワク拍手が打ち鳴らされた後は、もちろんダニーのスティック・カウントで「一体、現実を把握している者はいるだろうか?」(ボビーいわく、シカゴがはじめてレコーディングしたという曲)が飛び出した!

ダニーのドラム・ビートが涙で霞んでよく見えない・・・。

タツくんもトランペット・ソロで奮起。

おお!驚いたことにリード・ボーカルはベースのトラヴィスだあ!

私もSTAのベースでこの曲を歌っているので、飛び上がるくらいに熱狂してしまいました。

ピーター・セテラ直伝のメロディアスなベース・ラインやポジションが私と同じだったりすると「うんうん・・」とうなずいてしまいます。

コーラス隊も総出で合流。さりげないピアノ&ハモンドが隠し味。もちろん全体の引き締め役はダニーです。

エンディングでは、千手観音のようなドラム・ソロに絡みつくトロンボーン・ソロでフル演奏の完結。

「トラヴィス!」とダニーがトラヴィスにスポット・ライトを当てる!

「ネクスト・ソング・フューチャー・・・」と言いつつ、ダニーがマークを指差す。

マークが深呼吸(そのスゥーッという呼吸音が聞こえた)をした後、ボスのボリューム・ペダルをゆっくりと巧みに踏み込みながらの繊細なるギター・ソロ。

エドが荘厳なるシンセサイザー・サウンドで盛りたてる芸術的世界は「ぼくらの世界をバラ色に」

マークがボリュームを絞った瞬間に、小さくピッキングする「ピーン」という音まで聞こえてきます。

今改めて聞いてみても、やっぱり美しいメロディだ。こういうCTA解釈も素晴らしいね。

ひととおりメロディが終わると、ピアノではなくクリア・ギターでのアルペジオ。

トニーのボーカル真骨頂。ここぞとばかりに歌い込み。ダニーのシンバルを交えてのバッキングも光る。

エンディングでのトニーによる駄目押しともいえる澄み渡るハイトーン絶叫と、マークの超絶技巧派豪快無比なるギターソロもたまりません。

ダニーの感情爆発ドラミングが憎いばかり。思わず、失禁しそうだ(笑)。

ダニーが誇らしげに紹介「トニー・グラント!」

トニーはニコヤカで貫禄たぷり。

ダニーは心を込めて「ありがとう!日本は私の第2の故郷だよ。久し振りに戻ってこられて嬉しい!次に来る時にはそんなに待たせないからね!(笑)」とメッセージ。

ジャズ・テイストをまぶしたピアノ・ソロからの流れで「忘れ得ぬ君へ」

トニーが切なく序盤のボーカル。バトンを受け継ぐのは御大ビル。

次いで2人によるボーカル・リレー。

キーボードが後方から守り立てつつ、ダニーがアクセントとして加わる。

トラヴィスはいでたちからベース・プレイに至るまでが、もろにベーシストの鏡だ。

曲もドンドン熱を帯び始めてコーラスが加わりボーカルの感情移入が激化した頃合いを見計らったかのように、ブラス隊がドラマティックに彩りを添える。

ここまできたら、もうこれは立派なロックの芸術作品。

サウンドの合間を縫うようにマークのギターが滑り込むように駆け抜ける。

「トニー・グラント!ビル・チャンプリン!!」

ここでドニーが再登場。

そのドニーが笑顔で私に向かって「さっきあげたピックを返して!」と手を伸ばしてきた!

「えええ!??ノーノーノー!さすがにドニーでも絶対に嫌だ」と焦って首を横に振ったら「ハハハ!冗談だよ!」と新しいピックを取り出した!

わあ!ドニーにからかわれた!これも貴重なる体験だ(笑)

もうライブの興奮がピークに達したような状況なんだけど、次で完全に息の根を止められました!

マーク渾身のストロークで「ガガガガガ~ン!!」

観客がここで初めてステージ前方に雪崩れ込み。

「長い夜」

やっぱりこれをやらなきゃあ、収まりがきかないでしょうね。

それまでは年齢的にも、会場の雰囲気的にも皆、大人しく自分の席でライブ鑑賞だったんだけど、これをぶちかまされたら自然と体が爆発してしまって押さえがきかなくなるのです。

制御不能。世間体も場所もお構いなしさ。

全員が拳を突き上げての大合唱。

ドニーがフェンダー・アンプでギターボリューム&トーン操作を行って合流。

ツインギターだから分厚い!重い!迫力倍増。見栄えも抜群。

タイプの異なるマークとドニーのギター・スタイル。

まずはドニーのギター・ソロ。お手並み拝見とばかりにマークはサイドから優しい視線でそれを見守る。

ドニーが「そろそろ受け継いで」と視線を送るもマークは「いや、まだまだ!」

苦笑いを浮かべたドニーは再度ギター・ソロ。ひととおり弾き終えたら今度はマークの出番。

ギューン!と唸りをあげてマーシャルアンプが火を吹くほどの爆音であのテリー・キャス・バージョンを切り込んできたあ!

へヴィメタルのサウスポー・マークに豹変だあ。

もうここまでやられちゃったら、ひとたまりもないよ。

ステージも客席も関係ないくらいに一体化でグシャグシャ。大満足。

完全燃焼で真っ白な灰になりました!

ダニー「ドウモアリガトウ!サンキュー・ソーマッチ!」

しかし、拍手は鳴り止まず!

メンバー全員がダニーを中心にステージ前方へ並んで感謝を込めて深々何度もお辞儀。

私も両腕を上げて叫んじゃった!

いやあ、お礼を言いたいのはこっちのほうですよ、ダニーさん!そして階段を昇って名残惜しそうに楽屋へ引き上げていったメンバー達。

でもアンコールの拍手は鳴り止みません。

再登場のメンバー達。

何度も何度もメンバーらが喜びの言葉を投げかけてくれます。

飛び出したのは「サタディ・イン・ザ・パーク」

エドのピアノとビルのハモンドによるイントロ。

ダニーのトリッキーなステイック・ワークからホーンセクションも合流。

この曲でもベースのトラヴィスがリード・ボーカルを担当。

マサもSTAで同ポジションだけにウルウル状態。

もうなんの悔いもありません(笑)

どの顔もハッピー・モードに満ち溢れてるよ。

これにて第1部のライブは終了。

メンバー達は引き上げてしまったけれども、ダニー一人がステージに残って観客に懇切丁寧に挨拶。

「サンキュー・ヴェリー・マッチ。

シー・ユー・ネクスト・タイム!ドウモアリガトウ!」

CTA黒キャップ(これがずっと目印)の私のところにも笑顔で来てくれて握手(レイコさん、写真サンキュー!)。

そしてCTAのセカンドCDジャケット・ステッカーにサインを貰いました。

「ドウモアリガトウゴザマイタ・・ゴザマッタ・・・ゴザ・・」とうまく言えないダニー。私が何度か「ございました」を繰り返して教えてあげました(笑)

「ございました」の発音が難しいみたい。

ダニーはスタッフにエスコートされて、楽屋へと戻っていきました。

会場が明るくなって現実に戻っちゃった。

オーダーしたドリンクも食事も手付かずのまま。

ライブに集中していたんだから、飲食するなんて至難の技。

女性によるアナウンスが流れてきました。

さあ、第2部に備えて一旦退場です・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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