シカゴのオリジナル・ドラマー、ダニー・セラフィン率いる本格派ブラスロックバンドCTA。
4月17日ファースト・ステージのライブ・レポに続いて、今度は第2部です。
20:45開場、21:30開演
再びスタッフの方の案内で会場内へ。
「どの席を希望されますか?」「もちろん少しでもステージに近いところでね。さっきもライブを見たし明後日も来るよ。東京ビルボード全4回観るからね」「おお!了解しました(笑)。お任せください!」
で、選んだ席はマーク・ボニーラの目の前。最前列!さっきはもう一人のギタリスト、ドニーの目前だったからこれでCTAギタリストを2人とも目の前で堪能することに成功!エフェクターの一つ一つを手に取るように確認できます。
メニュー・オーダーに関しては第1部でライブに集中していたために、全く飲食できなかったという反省も踏まえて、今回はおとなしくジンジャーエールの甘口を。
窓の外はさすがに真っ暗です。
都会のビル群が、明かりで照らされている。
クリスマス・シーズンは、イルミネーションで綺麗に飾り付けられるのだそうです。
ここミッドタウンのビルボードが入っているビルの下では、スケートリンクも設置されるのだとか。
で、逆側の公園で、元スマップの草薙くんが例の事件を起こしたそうですよ。
2016年シカゴ来日の際には、ロバート・ラムが一ヶ月早く日本入りして、このミッドタウンに暮していたんです。
続々と集結した日本中のシカゴ・ファン達。ほとんどが見るからにその方面の客層。
顔見知りも多くて、それぞれに近況報告をしあいます。
シカゴ結成50周年を記念して発売された未発表ライブ5枚組ボックスセット「CHICAGO LIVE VI DECADES LIVE~THIS IS WHAT WE DO~」。輸入盤はすでに手元に届きましたが、日本盤は25日の発売。
私は勝手にCTA来日記念盤と決め付けております。
懐かしい仲間達とで、CTAステージをバックに記念撮影。
セット・リストの用紙がメンバーの立ち位置ごとに床へ貼り付けられているのですが、女性スタッフが新しい用紙に張り替えています。
「ええ!?どうして?誰かが盗んでいったの?」
で、よくよく見てみたら、なんとまあ第1部と若干曲が違ったり、順番が入れ替えられているではないかあ!
ダニーの今回のCTA来日公演にかける意気込みはそうとうなものらしく、自分がやりたい曲、ファン達に聞いてもらいたい曲がいっぱい。でも現実問題として時間の制約があり全曲を披露するのは至難の技。メドレーやエディットするにしてもやはり難しい。で、ライブごとに組み替えてみたりしているそうです。ダニーは妥協することなく悩みに悩んだ末、曲目が二転三転しちゃったそうです。それで開演ギリギリになってから、スタッフがセットリストを印刷して貼り付けにきたわけです。ご苦労様。
あれれれ・・・・またドニーがタブレットの調整に現れた。
本当に無頓着な人だ。あなたは今回の来日での、大きなサプライズゲストなんだよ!と教えてやりたいぐらいだ。
本人は全くそんなこと気にも留めていない様子で、気さくに会話も弾んじゃったりします。
ライブはもちろん駄目だけど、開演前のステージ撮影は自由です。私もカシャカシャ撮影していたら、横切っていく人がいた・・・
まったくもう・・・と思っていたらビル・チャンプリンでした。
エエ!!?偶然ちょっと写りこんでしまったよ。
そうこうしているうちにBGM(ここでのコンサートも近い、シャカタクのナイト・バーズなどなど)もおさまり、開演の時間がやってきた!何度体験しても、この瞬間はゾクゾクするね。いきなり暗転して、メンバー達が階段を降りて姿を現した!
スタッフに先導されたダニーを筆頭に、総勢9名のメンバー達。相変わらずダニーは満面笑顔。めちゃくちゃに嬉しそう。
ダニーと数人のメンバー達は、着替えています。
ステージに上がる際には、客席の間を歩くわけですから当然のごとく握手攻めでグシャグシャ。もちろん私も各メンバーの名前を呼んで、ガッチリと力強く握手。
「あ!さっきも君は見てくれてたね!」と彼等も不敵な笑みを返してくれます。
「ダニー!ダニー!」と野太い声が飛び交う。
1989年のシカゴ来日以来だもんね。
最後に登壇の万歳ブラス3人にも「頑張って!」と激励!
メンバー達がポジションについて準備完了の頃合いを見計らったかのように、第1部同様にバックスクリーンへ上映されるダニーとCTAヒストリー、そして場内アナウンス。
ここからは私が個人的に思いついたことや、第1部のライブ・レポートで書かなかったこと、1部では演奏しなかった曲などのことを書いてみたいとおもいます。
<2nd stage> 1:40
1. Introduction Overture
2. Saturday in the Park
3. Questions 67 & 68
4. Turn Your Love Around
5. You're the Inspiration
6. Turn Back The Pages ※Donny Ducas sings / from『STILLS』
7. Ain't It Time ※Donny Ducas sings / from『HOT STREET』
8. Dialogue
9. I Don't Wanna Live Without Your Love
10. Look Away
11. Ed Roth Piano Solo ~ Just You 'N' Me
12. Take Me Back To Chicago
13. Hard Habit to Break
14. Make Me Smile
15. I'm A Man
-Encore-
16. 25 or 6 to 4
CTAのセカンドアルバムタイトル「セクレッド・グラウンド」は、セット・リスト表に書きこまれていますが、今回の来日公演ではどこでも演奏されずじまい。とても素晴らしいクールな曲なだけに残念・・・というかCTAのオリジナルはかなりあるのに、一つも披露されずじまい・・・。
初のCTA来日公演ということで名刺代わりにお披露目の意味合いを狙ったのかな?ダニーの本心としては倍の時間は欲しかったはず。時計とニラメッコしながらの進行だったもんね。
まずはオープニングお約束「イントロダクション」のエディット・バージョン。
これはなにがあろうとも揺るがない。
今回の日本公演6回共不動のポジションです。
これをド頭でぶちかまされたらもうイチコロですからね。定番中の定番。
そして、ビックリしたのは2曲目メドレーでの「サタディ・イン・ザ・パーク」
第1部ではアンコールだったのに。
ベースのトラヴィスがリード・ヴォーカルね。
間髪入れずにダニー稲妻フィルインでの「クエスチョンズ67&68」
鳥肌の連続だ!マークのギター奏法やコードが一種独特で個性的。それでいてしっかりとロックしているし。
只者じゃあないね、やっぱりマークは。チラチラと弾き出すピッキング・テクニックが、すこぶる光っています。
でもダニーのドラムが、どんな場面でも結局は主役なんだよね。
大歓声の中、ダニーがMC。
その最中におどけてマークがギター・ミュートでけったいでこっけいな音を発する!しっかりと私は目撃していましたよ(笑)。
「サンキュー!ビル・チャンプリン!」
ビルをクローズ・アップする「ターン・ユア・ラブ」
この曲はジョージ・ベンソンのアレンジとは違って、さすがはオリジナルだけあってスイング感やジャジーテイストがすこぶるご機嫌。
シカゴのパワーバラード「ユア・ザ・インスピレーション(ギターが滑らかにちょっとよれた・・・じっくりと聞く曲なので目立つ)」に次いで、ドニーが登場!
「ドニー!ドニー!」大声援に迎え入れられる。しばし、ドニーとダニーとのコミカルでリラックスしたやりとりを皆で堪能。
意外にも細身で小柄なドニー。彼のコーナーでは暴れん坊の本領発揮。縦横無尽に仰け反ってのやんちゃなギター・プレイで観客を煽りまくる。「ターン・バック・ザ・ペイジス」
会話の生声も、歌声もまぎれもなくドニー節炸裂だあ!ときおりダニーのリズムがずれてドニーが振り返るも、ダニーは真剣そのものでお構いなし。
「エイント・イット・タイム」
ロックに限らずジャズでもフュージョンでも軽々と器用に弾きこなすドニーの、スピーディなるギター・ワークを観ていてふと思い出したのはシカゴ時代。ドニーは「ドニー・ホットリックス・デイカス」と呼ばれていましたね。
シカゴでもこのようなステージングを展開していたんだなあ・・・と感無量のひととき。ドニーとマークのツインギターを間近で見れるなんて贅沢中の極み。時折2人は確認の仕草や、アイコンタクトで進行していたけれど。
ちなみにドニーはジミ・ヘンドリクスのライブを2回も観たんだそうですよ。
お洒落なドニーは、日によっては帽子を被って演奏していました。
CTAのUSツアーにも参加していたドニーではありましたが、まさかここ日本で彼のライブを目前で体現できるなんて今だに夢を見ているようです。
そのドニーは今回の「バンザイ・ブラス」のことを、帰国後のフェイスブックで「ボンサイ・ブラス」と紹介していました(爆笑)
上手いこと、勘違いしてくれるなあ。座布団1枚だあ!
ダニー「ドニー・ディカス!ドニー・ディカス!!コンバンハ~!ネクスト・ナンバー・・・シカゴ・ファイブ・シングル・・・エンジョイ?・・・・」
マークによる乾いたギターコードの響きで「ダイアログ・パート1&2」
賑やかに手拍子の嵐だ。トニーとビルによる、ややフェイク気味のボーカル・リレーがとても聞き応えありますよ。
ドンドンと熱を帯びてくるバック陣も、泣けるほどにうねっている。
ドニーの次はビルのコーナー。ジョークをかましながら、ポロンポロンと弾き出すギターの音色だけでも心地よい。
なにやら打ち合わせしながら、ダニーがステイック打ちをはじめた。
それが延々と「カチカチ・・・」と叩き続けるんだけど、一向にビルの演奏がはじまらないので、痺れを切らしたダニーは叩くのを止めちゃった。笑いもおこるんだけど、皆とてもアットホームな雰囲気。このような状況も共有しながら楽しんじゃおう!ってなあ具合さ。
やっとビルによるエレピがはじまった。
おお!!第1部では演奏しなかったシカゴの「アイ・ドント・ワナ・リブ・ウィズアウト・ユア・ラブ」ではないですかあ!
超感動です。
ビルのように歌えたらなあ・・・憧れちゃいます。
今までにも数えきれないほどに聞いてきたこの曲だけど、この時が一番心に沁みましたよ。
「ビル・チャンプリン!ネクスト・ソング・・・」と言って、今度はギターに持ち替えた余裕の表情のビル。
「ルックアウェイ」だ。
前半でのピアノとのコラボから、ダニー渾身のドラミングが追随してドラマが演出されます。
ビルの独壇場。ビルのなだらかなるコード・ストロークに対するマークのギター・ソロは縦横無尽。スポットライトが映えるなあ。臨場感を発揮するために、ミラーボールも回転し始めた。
「ビル・チャンプリン!ナンバー1ソング!・・・キーボード、エドワード・ロス!」「サンキュー」
あれ・・・エドはどこ行っちゃうの・・・?
舞台の袖の後方へ、スピーカーを乗り越えて行っちゃった。
なんと第1部では使用しなかったグランド・ピアノのイスに着席したのでした。
荘厳なるピアノソロで「フリー・フォーム・イントロ」。いっときのオアシスだ。
クラシカルな響き。ちょっとダニーが、シンバルのリズム刻みで合流。
遊び感覚で次に何が飛び出すのかわからない、ビックリ箱みたいなライブ。
「エド・ロス!!」
この流れならば、絶対にお次は第1部同様に「一体、現実を把握してる者はいるだろうか?」だよね。
ところが、ダニーのスティックカウントからはじまったのは「君と二人で」だあ!
憎い選曲だね。
しかもボーカルはトラヴィス!
爽やかに歌い紡がれるシカゴの名曲。
中間部分のダニーによるスネア・ロールからはじまったのは、タカ入魂のソプラノ・サックス。
ウォルターのテイストも目一杯に出ているよ。若いのにお主なかなかにやるねえ!!
ダニー「タカサン!」
ここで再びビルとダニーによる、丁々発止の会話が繰り広げられます。
途中で降参したのか時間を気にしたのか、ダニーが話を戻す。
「ネクスト・ソング・・・シカゴ・・・」
ダニーはこう言っています「元ルーファスのデヴィッド・ホウク・ウォリンスキーとの共作で、シカゴのテイク・ミー・バック・トウ・シカゴ(邦題:シカゴへ帰りたい)をやります!」と。
デヴィッドはシカゴの弟分的存在だった伝説のトリオバンド「マデュラ」の中心人物として、多方面で活躍したミュージシャンです。
この曲はCTAのセカンド・アルバムにも収録されていて、もちろん日本で演奏されるのは初なんですよ。この瞬間は貴重(第1部ではマークのギター・ボリューム奏法からカラー・マイ・ワールドだった)。
イントロはオリジナルとは違い、力強いダニーのドラミングから。
そこからトニーの情感溢れるボーカルへとドンドン場面転換するという設定。
またもやマークのギターソロが連射されて刺激的。
ダニーによるメンバー紹介。
「サンキュー・・・キーボード」と言った途端に「ジャーン!」とビルがおどけて鍵盤を鳴らす。どうもダニーはいじられ役?
マークは自分の名前を呼ばれても、一瞬気づかないフリしておどけてみせるしね。
日本のブラス隊には「バンザイ・ブラス!CC!タツ!タカ!バンザイ!バンザイ!」と言って3人にバンザイをダニーが強要。その様がホールド・アップさせているみたいで、ちょい危なかっしかったりしてね(笑)
最後は控えめに自分の名前「ダニー・セラフィン」を、ちょいハニカミ気味に自己紹介。でも、もちろん歓声は一番大きいよ!
ビルによる、ややアバンギャルドなピアノ・ソロから「忘れ得ぬ君へ」
トニーのクリアな高音ボーカルと、渋いビルとのボーカルは国宝モノ。
デヴィッド・フォスター印の派手派手オーケストレーション・サウンドも、ものの見事にさらっと再現しちゃうんだから、このバンドの底力といったらもう計り知れないものがあります。
後半ギター・ソロでのミストーンはうまくアーミングでごまかしていたマークだけど、これはもろにわかっちゃったよ~!
第1部では2曲目に演奏した「メイク・ミー・スマイル」がここでやっと登場。マークはブラスのリフをよくトリッキーなギターでユニぞっていますね。
これはテリーの時代から今に至るまで、シカゴではやってない手法なのでとても興味深い。
ボーカルのトニーはアイフォンを手に、ダニーや観客席をズッと撮影して盛り上げています。
あれをやられちゃあ、ジッとなんかしていられませんよね。
「ナウ・モア・ザン・エヴァー」の最終楽章ではダニーにしか叩けない、スネア中心の素早いドラムソロが爆発。皆の視線がそこへ一挙に集中。
ライブもピークに差し掛かってきたか。
男も女も皆が皆ダニーの名前を呼び続ける。口笛をピューピューと吹き鳴らす。
トニー・グラントも、リスペクトを込めて「ダニー・セラフィン!」
満足そうにドラムセットに座りなおしたダニーが十八番ともいえる「アイム・ア・マン(この曲は第1部では演奏していません)」のドラム・ソロを叩きはじめた。
しかもあのスタジオ・バージョンのなかでも一番過激な部分からね。マークの空ピッキングもテリー・キャス直伝だ。
カチャカチャチャカチャカ・・・と。
トラヴィスの地鳴りのような5弦ベースからのリフも強力。
そこから本編にやっと辿りつき、ハモンドがグッと引き寄せてくる。
ボーカルの入りにちょっと迷いが生じたのか、ドニーとトニーとで目配せ。
ピアノ・ソロから素早いベース・ランニングがはじまって、衝撃のジャズ展開。
トラヴィスの職人芸が垣間見えたよ。
そしてダニーのドラム・ソロに突入。
待ってました!チラッと聞いただけでも、すぐにダニーとわかるんだから凄いね。
締めくくりは、ツインペダルによる乱れ打ち。
ボーカルに戻ってエンディングもダニーのドラムソロ。つまりはこの曲、イントロ、中間部、エンディングと3箇所にドラムソロが差し込まれているといういやはやなんともへヴィーな曲です。
ダニーも汗まみれで、何度も帽子を脱いでタオルにて流れる汗を吹いていました。
そして横に置いてある進行表も読みながらMCもこなすんだから、リーダーはやることがたくさんあって大変です。
「ドウモアリガトウ!サンキュー!ワンモア・オーケー?」
鳴り止まない拍手。
マーク渾身のギターが唸りをあげる「長い夜」
第1部では「サタディ・イン・ザ・パーク」だったけど、やっぱりこの曲のほうがアンコールにはしっくりと馴染みます。
ドニーとマークとのギター・バトルなんだけど、マークがいきなり最前列にいた女性の腕をワイルドにムンズと捕まえて自分のギターを強引に掻き鳴らさせた。
思いつくままにやりたい放題で、ただひたすらにロックだなあ・・・女性も多分ビックリしたことでしょうね。
ステージに、ひきずりこまれると思ったんじゃないかなあ・・・・。
有名なリフに戻ってもコードのたびにブレイクするのはCTA仕様。
斬新なアレンジだ。これって勢いを半減させてしまう危険性も孕んでいるけど、実際に聞いてみると新鮮でまるで違和感なし。
マークのコード進行も含めてね。
ダニー「サンキュウ、どうもありがとう!日本は第2の故郷です!」
ダニーの汗にまみれたガッシリした腕を私は何度もなでさせてもらいました。これで、ご利益があるでしょう!
トニーは元AS YETのシンガー。そうです!シカゴの「素直になれなくて」のカバーヒットを出したグループ。
だからトニーにこの曲を歌ってほしかったなあ・・・・(でもトニーはあの曲の時には、まだ在籍していなかったんだけど・・・・)
これにて初日の2部制ライブは終了。結局は第2部のほうが10分ほど長めでした。
と、そうではなかったよ・・・・!
スタッフ女性のアナウンスが流れてきた。
「皆様にご案内があります」
どうやらグッズ購入者限定で、サイン会が催されるとのこと。
やったああ!上の階で行われるんだってさ。
荷物を片付けたら早速、参加しようっと!
グッズ売り場にはキーボードのエドが発売したソロアルバムが2枚ビルの物と一緒に並べられていました。
どうせならばマークのも陳列すればよかったのに。あれはギタリスト必聴盤です。ドニー参加のシカゴ「ホット・ストリート」「13」とかもね。
おっと、シカゴの最新未発表ライブ5枚組ボックス・セットも。
ビルは旧譜が2枚売られていました。最近新譜を完成したのですが(ジャケもすでに発表されています)商品バーコードの印刷ミスで生産やりなおし・・・でCTA来日には入荷が間に合わなかったそうです・・・残念。
~~~まだまだ続く~~~