****このライブレポートもあっという間に最終章に突入です!!心してお読みください。それでは!!****
ステージ前のスクリーンに映し出されているのは「ジェームス・イングラム」「ボニー・タイラー」「ホール&オーツ」のプロモーション・ビデオ。
ミキサー&照明担当のコデラくんは札幌へヴィーメタルバンドの大御所「ELIZA」のベテラン・ドラマー。
マサは以前にイライザのLPとCDを持っていたことを彼に話すと大盛り上がり。
それならばと、最新のCDをプレゼントしてくれました。貴重なライブテイクも収録の全18曲!!ありがとう。
早速膝を正しながら拝聴させていただきますね。楽しみだよ。(写真参照)
満を持して大トリに登場したのは、このブログの主人公でもある「the sapporo transit authority(S・T・A)」
10、20:40~21:10
BGMはシカゴのクリスマス・アルバム。
ムード満点。いやが上にも、グッとくるなあ・・・・・・。
この日締めくくりのライブだけに、力の入りようが半端ではないです。
しかも10人編成。この日2番目の大人数で臨む、飛びっきりにやかましいブラスロック(まあ、いつものことではありますが・・・)
他のバンドで管楽器が所属しているのは、Y-PROJECTのみ(しかも4人がSTAと掛け持ちメンバー)。
徹頭徹尾、ほとんどの曲を初期シカゴで熱烈網羅。
どこでやっても浮きまくりのバンドですが、この日はちょっと事情が違った。
何と言ってもマサのバンド仲間でもある盟友達が一同に集うSTA主催「リブレーション」の集大成というイベント。
よって客層はほとんどが、熟練のロック通で占められているわけです。うるさ型が大挙総動員。
こりゃあ、初心者みたいに下手な演奏をやらかしたら、速攻で袋叩きにあっちゃうという危険も孕んでいる。
初心に舞い戻り、気持ちを引き締めて、ライブに取り組みました。
結果ですか?!もちろん大成功!!大受けでした。それはこれからのレポートで堪能してね(ところどころにまたもや反省点は勃発しているけど)。
で、このホットタイムに以前STAが出演したのは今年の6月(SUN)リブレーション企画でした。早いもので半年が経過していたんだ・・・・。
その際、メンバー達、スタッフ達、オーディエンスから好評を博したので急遽、ホットタイムに舞い戻ってきたわけです。
さてさて、ゴージャスなるツワモノ達が揃いましたよ。久し振りにタクがトロンボーンで復帰(彼は、ここのステージに立つのは初!意外にも)。
ステージに全員が収まるのか?とライブ・ハウスのスタッフさんも危惧していましたが、S・T・Aはすっかりと手馴れたものです。
毎度の事ですからね。相変わらずメンバーの出入りは激しく、人数やらパートやらの移動も頻繁。
その顔ぶれや担当楽器、ライブハウスの空気感、イベントの主旨、客層、出演時間などを慎重にマサが吟味しつつ、メンバーらの意見を取り込んでタイム計測のもとセット・リストを慎重に組み立てました。
現実問題として、毎月、S・T・Aという名前のもとに新しいバンドを組んでいるような事態が続いています。周囲からは「よくもまあ、14年もの間、一時たりとも休みなく活動できるね。コツを教えてほしいくらいだよ」と感心されちゃうくらい。
わかったらこんな苦労しないよお・・・私が教えてほしいくらい。もうこれは単なる意地です。
いつになったら演奏のみに集中できる日が訪れるのか。それを追い求めてただひたすらに、前進あるのみです。
マサが唯一のオリジナル・メンバーとしてバンドを運営していますが、今度こそは心機一転ニューS・T・Aで再起動する所存であります。
そういった意味でも大きなヒントともいえるライブだったのが、今回のホットタイム。
通算171回目のターニング・ポイントを迎えた感が強くて武者震いしちゃいました。新鮮な気持ちでGO!GO!GO!
改めて強力なる布陣の紹介をば・・・・・・
毎度おなじみのマルチで器用なジュン。
ライブの度にファンが増殖しているモテモテのミキティ(この日もカウンターで囲まれていたよ~!)。
彼女から「夜8時からの本番ならば参加オーケー!」と言われた瞬間から、この日のタイム・テーブルは組み立てていったのですよ。キュートで華麗なるサンタ・ファッションも楽しみの一つ。
心強き相棒のヤスはマサとリズム・セクションに専念。
あちこちから常にひっぱりだこの人気者キムキムによる絶妙なるキーボード部門。
この日もマッツ率いる「Y-PRO」で、すでに1ステージをこなしている曲者だ。
ファニーは目を見張るプレイとパフォーマンスに一同、惜しみない拍手を送った次第。
心境著しいクニちゃんも、トランペット・パートに返り咲いた。
先述のタクちゃんも久しぶりに合流。
そして頼もしきギターのクル氏がSTA加入1周年を迎えたということが今年最大の収穫です。
クル氏は今回S・T・A至上最も難しいセット・リストを、ごく短期間で完全にマスターしてきたのです。恐るべき驚愕の男。
ずっと頭を悩ませ続けていたギター・パートも、これで無限の可能性が拡大したわけですから、早くも来年のライブが待ちきれませんよ。
とにかく近年はS・T・A出戻り組みが多くて、懐かしいやら、賑やかやらで盛り上がっています。S・T・Aの長い歴史の重みを痛感する次第。
とにかく人数が多いS・T・A。しかもホットタイムのスタッフはコデラくん一人で切り盛りしているものだから、セッティングに膨大な時間を要します。
まずは立ち位置決めでひと悶着。
パーカッションを含む5管編成。
見た目だけでも圧巻。
その後は各ポジションごとに譜面台を立ててチューニングとイメージ・トレーニング。
マサはミキサー・サイドとステージ上との中継役も担って意思の疎通を図る。
ここいらにてウォーミング・アップは完了。
マサの正面テーブル席に座っている観客の会話から、何やら「テリー・キャス」とかのウンチク話が聞こえてきて、とても気になります。
まあ、時間は押し状態のため、けっこう焦りがありますが、オーナー夫妻から「時間のことは全然気にしないでいいから自由にやって!」と心強い励ましの言葉をもらいリラックス。
タク、STAライブは久し振りなんだけど、そんなこと微塵も感じさせないほどに(そんなことを知らない人が見たら、まるで毎日ステージに立っているような佇まい)不敵な構えでスクリーンの裏側に仁王立ち。
最終チェックとして(この日は10バンドなので時間の都合上、本番トップのリミックスのみリハありで他のバンドは一切リハ無しだった)コデラくんの指示に従って、各パートがマイクから軽い音出しのバランス&音質コントロール。
マサはボーカル用ワイヤレスヘッドセットマイクのチェックで「HA~I!1・2~!オーケー!サンキュー!HEY!HEY!ロックンロールもっとこいや~!!!」と叫んだら、酔いのまわった観客達も熱狂して「がっつりこいや~!」とコブシを突き上げて挑みかかってくる。まるでプロレス会場みたいだ(笑)
モニターやPAに近づくとハウリングが発生するので要注意。
さあ、準備万端整いましたよ。「オーケー!!いいですか!?」
マサとコデラくんとでアイコンタクトを交わして、「いつでもいいよ」のオーケー・サイン,頭上高く円を描いて発信。
次いでキムキムがいつの間にかスペイシーかつプログレッシブなSEを開始。
ヤスへ手拍子でテンポのメッセージを送ると、ハイハットで正確無比なリズムを刻みながらガイドライン。西やんもサンタナばりのラテン色で彩を添える。クニもウィンドウ・チャイムで狼煙をあげる中で、マサによるアナウンス。
「はい、そろそろ盛大にいくよ~~!!」
焦らしに焦らされた状態の観客達からは早くも歓声が沸きあがる。
BGMストップしてスクリーンがゆっくりと上昇。鮮やかなる照明がいっせいに焚かれる。
名物ダンサーのアベサンは、最前列にてネオンスティックを振り続ける。
***MEMBER***
MASA・・・B CHO VO BELL
KUL・・・G
NISHIYAN・・・PER
YASU・・・DR
JUN・・・TS VO CHO
KUNI・・・PER TP VO CHO
FUNNY・・・TP
MIKITYorCANDY・・・AS RECORDER
KIM-KIM・・・KB
TAKU・・・TB
***SET LIST***
1,INTRODUCTION・・・CHICAGO
2、PICK UP THE PIECES・・・AVERAGE WHITE BAND
3、DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS?(一体、現実を把握している者はいるだろうか?・・・CHICAGO
4、VEHICLE・・・IDES OF MARCH
5、SATURDAY IN THE PARK・・・CHICAGO
6、GET IT ON(黒い炎)・・・CHASE
7、GETAWAY・・・CHICAGO
8、25OR6TO4(長い夜)・・・CHICAGO
===ENCORE===
9、SPINNING WHEEL・・・BLOOD SWEAT&TEARS
うねりまくっての追随。
それに便乗するかたちでクルさんも剃刀のごときミュート・カッティング。
プレイが待ちきれないという様子で、ギターのグリッサンドを豪快にぶちかます。
この辺で早くも期待に胸躍る雰囲気作り大成功。
これから繰り出されるS・T・Aワールドに興味津々のオーディエンス。
「S・T・A~!S・T・A~!!」とシュプレヒコールを叫んでいる人も散見。
マサによる洒落た口調での・・・・・・ナレーション開始。
「たいへん長らくお待たせしました。いよいよはじまりますよ!
時間となりました。(拍手があちこちから打ち鳴らされる)
華々しくこれから開演です。
濃厚なる大所帯バンドが登場します。
北国唯一無二の札幌発ブラスロックバンド!
賑やかに、ド派手な迫力ホーンセクションの熱きサウンドを心ゆくまでドップリとご堪能ください!メンバー一同この日この時この瞬間を心待ちにしていました!それではヨロシク!THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITY~!!」
マサは腰を低く落としてスタンバイ。
ジャストなタイミングで「1・2・3~!!」
波状攻撃へと、火蓋が切って落とされました。
猪突猛進の「イントロダクション」。
(四入囃子のGASくんもお気に入りソング)
さすが、このメンツだけに迫力が桁違い。
いつもの倍近い勢いを感じます。それは気のせいではなかったようで友人のバンドマンらにも同様の感想をいただきました。
プレイしている我々でさえ自分たちの音にエキサイトして、アドレナリンの噴出が止まらない。
普段はクールなヤスもスティックを手にスィッチが入ると、ドラム・ビーストに豹変するのです。
彼の今回のいでたちは、スポーティに動きやすい全身を渋くシックなロック系で統一。
去年4月にマサが東京で観て来たCTAの土産話が相当に感動的だったらしくて、今だに刺激を受けている御様子。如実にドラミングの随所でそのダニー・セラフィン成果が現れていますよ。!
ヤスの卓越したツイン・ペダル連打が、速射砲のごとき爆音で後方から襲いかかってきます。
キーボードによる力強いオルガン・サウンドが響き渡る。
イントロが飛び出した途端にミノリーさんらいつものお馴染みの面々が、ドドッとステージ前方へ雪崩れ込んできて、全身リズムの権化に。
皆さん、この変拍子の連続やコロコロ変わる変態的なリズムに、よくもまあピッタリとあわせてくれますねえ・・・と舞台上から失礼ではありますがしばし見とれてしまいました。
もうどれだけの回数この曲をオープニングでプレイしてきたことでしょうか。メンバー一同愛してやまないじゃじゃ馬のような曲。その中でもこの日ほど圧倒的完成度を誇ったことはなかったのでは?!出色の出来と自画自賛。
うるさ型のクルさんでも、絶賛していたくらいだから驚きです。
しかし、何度も言いますがメンバー全員、あの少ないリハ期間で、よくもまあここまで纏め上げたものだ。
結局はフルメンバーによるリハは叶わなかったが・・・・(泣)。
各自は多くを語らないけれどね。
特にニューフェイスの西やんは、さすが何の遜色もなく打ち解けているよ。
もう何年もSTAでプレイしている古参のような佇まいを醸し出してもいる。
多分この日ギリギリまで各人念入りストイックなまでに詰めへと没頭していたのだろう・・・・痕跡がビシビシと伝わってきます(本当にそうだったらしい)。
それぞれに責任重大なるミッションが課せられていたんだよ。
一番若いタクちゃんも、すでに風格さえ漂わせています。
モニター・スピーカーに片足乗せて、マサが野獣のごとく吠える(ミキサースタッフのノブさんに頼んでヴォーカルのリバーヴを深めにかけてもらいました。Wのジョニー曰くマサのベースラインによるヴォーカルは異常だあ!!とのこと。モダンタイムのマスター・タケさんにも同じ事を以前言われたなあ。あれ普通は歌えるようなベースフレーズではないと)。
ミキティはアグレッシブなるプレイで、色気も振り撒いています。
エフェクターを駆使して周到に計算されつくしたクルさん独特なるシャープなセンス良き音色のギターバッキングが、ヤスの冴え渡るパワフルなドラミングに絡みつく。
看板ともいえるホーンセクションのリフは、益々厚みを増してきましたね。
舞台両サイドからの弦楽器達による絶え間ない猛追。後方サイドからは、ドラム&パーカッションが遠慮なしにボトム構築しながらの進撃展開。
会場をまるごと覆いつくすかのような、ホーン隊による異次元空間模様の高鳴り。なんという高揚感であろうか。
鉄壁を誇るホーン・アンサンブルが稲妻のごとく吹き荒れて、全体をリズム・セクションが引き締めるという構図が近年のおおまかなる課題。
マサの知人3人が正面に座っていたんだけど、STAの強引なまでの音像に圧倒されっぱなしだったそうです。
さてさてライブの魔物はどこに潜んでいるのかな?・・・・今回は一体全体何を仕掛けてくるのか??
縦横無尽で、空間を縫うように駆け巡るアンサンブルは相変わらず天下一品。
今年からSTA合流して数ステージを経験してきただけに、西やんにも遊び心が芽生えて、随所に思わずニヤリとしちゃうようなエッセンスが盛り込まれてもいます。
キムキムによる包容力ある心地よいピアノの響きは、安心印。完成の領域に達した感あり。
さあ、第一関門の不気味なリズム地獄にガッシリと突入だ(2番の歌詞をエディットする本番チャレンジは、もうすっかりと染み渡ってきたね)。
先月共々に見事クリアでワクワクゾクゾクだ。手堅く突破した後に待ち受けていたのは、ブレイクによる一瞬の静寂。切り込み隊長タクちゃんによる卓越した鋭きトロンボーン・ソロが食い気味に吹き鳴らされて場面転換。
涼しい顔で見事にこなしたのです。
しかも、やる気満々のガッツポーズで構える。
大した度胸の持ち主だ!
最近は多方面で揉まれているという百戦錬磨の達人だからこそ成しえる技。何事もなかったかのような表情で振る舞っていたよ(ヤスと西やんによる縁の下の力持ちも忘れてはいけない)。
さりげなくジャジー・フレイヴァーのファンファーレ風アドリブを散りばめているところも、彼の凄いところ(ジュン&クル氏談)。
能あるタカは爪隠す!とは昔の人もうまいことを言ったモノだねえ!
あふれ出る意気込みが全身からビシビシと伝ってくるようだ。
そしてマサが「STAのバディ・リッチ」と言わしめた手数王から、リム・ショットに切り替えてのヤスが期待通りに猛然と先導しつつ、お次はとうとうファニーの出番。
スポット・ライトを全身に浴びる瞬間が訪れた。
そこへの架け橋ともいえるベースによるピッキングタッチラインがオリジナルライブ音源に入っているのですが、STAでは今までにも、そこをマサが、再現しているのです。
慎重にヤスが注視する中、マサが丁寧にプレイ。
マサとヤスは阿吽の呼吸だけに、おかげさまで綺麗に入れた!気持ちいい!スライドまで加えて、また一つ前進だ。
西やんは「現在自分が大好きなシカゴを演奏しているなんて信じられない!」と大喜びしているのです。
ファニーのソロは熟練の極致なので、大船に乗った気分に浸れます。
意外にもエモーショナルで、色香漂う艶かしき音色もナイス。感嘆の声があちこちから漏れてきましたよ。
本人は照れからなのか苦笑いしていたけれど、不安要素なんて微塵も露呈していなかったよ。
安定感抜群で、時折ヒステリックなハイノートなどもヒットしてニンマリ。
ヤスはことあるごとに遠慮気味な振る舞いが多いんだけど、ここぞという場面では見事バッチリと決めてくれるんだから頼りになるんだよね。
バッキングによる強弱のサポートも効果覿面で鳥肌が立ちっぱなしだ。
もうこのあたりにたどりついた時点で会場中の空気は一変。
なにやら恐ろしいことがステージで起こっているぞ・・・てな感じですでにかぶりついている。
それにしてもジュンは、いつでもどこでもナイスガイ。
そのジュンに指をさされた第3の男、クルさんのギターが火を噴く。
しっかりとク二とタクは彼のために花道をつくる。
いきなり過激なサスティーン・ピッキングが導入部分で一気呵成に飛び出して、益々進化したアヴァンギャルドなるソロを、これでもかあ!と言うくらいにぶちかます(よくもまあチューニングが狂わないねえ)。ただひたすらにテクニカル。
序盤はテリー・キャスに敬意を表して、ラインを奏でる。
へヴィーなサウンドは、これだけにとどまらずフィードバックにより加速。
音数がドンドンと増していき、とどまることを知りません。身をのけぞらせての恍惚状態。
チョーキングなどを交える際にはギターを揺さぶって身をよじる。あれだけのプレイだけでも引き攣るところなのに、エフェクター操作での効果もすこぶる大きい。
テリー・キャスのギター・ソロをリスペクト込めてほぼ忠実にコピーしちゃったんじゃあないのかい!?ビブラート、グリッサンドに至るまでバッチリ。
色々な本家の動画やら、マサから送られたキーボード・コード譜なども研究資料の一環として相当参考にしたらしいです。
それは現在でも進化の途中なんだよ。ストイックに決して妥協を許さないその真面目すぎる真摯な姿勢は誰もが見習うべき。
リズム・セクションはここでも全身全霊込めてのバックアップ。
極めつけはヤスが、紆余曲折を経て第2期JBG時代のコージー・パウエル直伝による力漲る究極稲妻フィルインで拍手喝采。
サンキュー!(ファニーは楽屋でヤスを絶賛していたよ)
マサもヤスのドラムセット手前にまで何度も駆け寄ってコミュニケーションを図る。
いつもは沈着冷静なるヤスもノリノリな様子で、このヒトトキを満喫している。すっかりと脳天ヒューズはスパークしちゃったみたいだ。
エンディングにおいて冴え渡るベルトーンも、クルさんを筆頭に見事な連携で流れるような繋がりをみせた。
クルさんからキーボード、そしてホーンセクションへとバトンを受け渡す。ここで繰り出したクルさん入魂の1音がジミヘンのようにウォームで破壊力があって戦慄が走りました。これぞまさしくロックの原石。いかなるアクロバティックなテクニックをひけらかすよりも、「ギュウイ~ン!」一発でひれ伏させるほどの衝撃と説得力。
マサとヤスとで取り決めたダメオシ6連打も今年から導入。
マサが右手を天井高く掲げてグルグルと回転。ヤスと呼吸合わせて、トドメはジャンピング・フィニッシュ(タイバンの先輩からは「ムラカミくんはエネルギッシュだね!」とお褒めの言葉を頂戴しました)。
あるミュージシャンに言われた事があります・・・・・「マサとヤスは何かにとりつかれているようだった」と。
めくるめくSTAのスピーディなる音像シャワーを、一身に浴びまくって酔いしれている観客達は身をゆだねるのみ。
ただただ目が点の放心状態・・・・。
「YEAH!改めまして、THE SAPPORO TRANSIT AUTHORITYです!皆さん、楽しんでますか!?我々のことを知っている方もはじめての方もよろしく。
貴重なるジャンルのブラスロックバンドです。今日このメンツでのライブは初。遠路はるばる駆けつけてきたメンバーもいたりして、毎月S・T・Aと言う名のもとニュー・バンドを結成しているような活動状況です。
実は伝説のバンド、クリームのドラマー、ジンジャーベイカーが今年の10月に亡くなりました。
先月、トリビュートでサンシャイン・オブ・ユア・ラブを演奏したのですが、ちょうど同じ頃にアヴェレージ・ホワイトバンド創設メンバーのテナーサックス奏者マルコム・モリー・ダンカンもガン闘病の末に74歳で亡くなりました。
そこで、彼に哀悼の気持ち込めて今日唯一のインストをお送りしたいと思います。
ホワイト・ファンクの代表作を一発。皆さんはキャンディ・ダルファーのカバーでお馴染みじゃあないかな?
STA紅一点のミキティを全面的にフューチャーしますよ。今回限定で彼女をキャンディーと呼んであげてください!(笑・・・・そういえばYプロでもマッツはキャンディと紹介していたね)」すかさずあちこちから「キャンディ~~!!」のラブコールが飛び交う。「アヴェレージ・ホワイト・バンドで・・・ピック・アップ・ザ・ピーセス!」(去年1月以来の演奏。キャンディ、ヤス、西ヤンは初演奏)
マサがタイトル・コールをした途端に会場から「わあ!!」「いいねえ!!」
ドッと湧き上がりました。
セクシーな響きが伴う、たまらなく官能的なイントロ。
クル氏はお得意の必殺ワウペダルを踏み込んで独自の音色アレンジを施しています。ただ単にベタベタ踏むだけではなく、ペダルを駆使しながらも足元が歌っているのですよ。脅威だ!ピッキングタッチもより滑らかでソフトに艶やか。
S・T・A新生面がここでも露に。
一種独特のタメがクセモノなんですよね。ヤスくんもじっくりと噛み締めるように、カラフルな間合いを解き放ってビシバシ跳ねています。
かと思えば、千手観音のごとき素早いバチ捌きも繰り出すんだからね。
向かうところ敵なしの完全無欠ドラミング・グルーヴで魅了してくれます。
クル氏は黙々とコードカッティングに専念。味わい深いブラス・セクション。
印象的で逞しきリフのコントラストで皆、ガッチリ無難に頑張っています。
ジュンが横で構えるキャンディを指差す!
キャンディのアルト・サックス・ソロが彩を添えてくれた。見るからに気持ち良さそうで、やっぱり役者が違うねえ。
これに一番賭けていただけに鬼気迫る雰囲気。
YOU TUBEを見てドハマリしちゃったらしいよ。
曲の表情にチラホラと変化を与えている西ヤンは、相当に聞き込んだ痕跡が随所に見え隠れしています。
これも努力の賜物だ。報われたね。
曲ごとに花形スターがちょくちょくと変わる、ユニークで贅の限りを尽くしまくったバンドです。
知性漲る沈着冷静なファニーと、アットホームで人懐っこいクニとの異色のトランペット・コンビネーションも、お互いの信頼関係により相乗効果が現れて、それがバンドに波及、何倍ものケミストリーが生まれるわけであります。
怒涛の拍手が渦巻く中、マサのMC「ありがとうございます・・・・・キャンディに拍手!!」もちろん温かい拍手が送られた。
「ドンドンといかしたやついくよ~隠れシカゴファン垂涎の・・・・・・DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS?」
間髪入れずヤスによるスティック4カウントが打ち鳴らされる。なるほど、イキイキとしているね。
これは、一昨年の12月に、ここホットタイムで演奏して以来だ。
ヤス、マサ、西やんがズッとライブ用に熱望していた曲。遂に実現。願いが叶った!初のエディット・ヴァージョンだけど。
今度は「時間に対する哲学的固定概念の意義を真摯に全人類へ問いただす」という、何やら小難しい、そしてカッコイイ曲。(クル氏もスタジオリハ中にスコアを覗き込んで、原題の長さに驚いていたしね。)
イントロだけでも数パターンのリズムに変化する、ほどよいホーン・ポップ・ロック
(何人かのメンバーは手こずっていたね)。
小刻みにヒットするピアノの躍動感。ポール・マッカートニー直伝のピーター・セテラによるベース・ラインが印象に残るパートを経て本題へ突入。
この曲も正直な話、消化不良気味で不満の種が山積みだったのですが(お蔵入りの原因)、ここにきてかなり本家本元に迫る勢いで嬉しくなっちゃうよ。
スローガンは「地道に小さなことからコツコツと」だね。
今度もファニーによる巧みで張りのあるトーンのトランペット・ソロ。
なかなかにやるじゃんか。
マサのメイン・ボーカルに絡むクニの個性的なコーラスも渋い。
そして英語が大の苦手というクニなんだけど、3番でのナレーションなんて堂々たるもの。発音もしっかりしているよ。
エンディングではタクちゃんがトロンボーン・ソロでまとめ上げた。
マサも水を飲みながら、黙ってタクちゃんの方を猛アピール。
「HEY!ありがとうございます。ひじょうにマニアックなものも開き直って織り交ぜつつ、さて早くも4曲目へ突入します。次の曲は5大ブラスロックの一つでシカゴの強力なるライバルとも言われた一発屋の悲劇バンド。曲調一転してダンサンブル・ビートが大受けしてもてはやされた、アイズ・オブ・マーチで・・・・ヴィークル」
これも、「イントロダクション」「一体、現実を・・・・」に引き続いてのエディット・バージョン。
観客席から出てきたマッツもメメ嬢もミノリーもアベさんも、ミキティ嬢と共に両手を高々とあげ、全身全霊を込めて大歓迎のジェスチャーを掲示しながらも拍手で合流。
タイバン達も最早いても立ってもいられない、といった様子でホイッスル鳴らしての参戦だ。
好き者にとっては極め付けとばかりに、血液逆流しそうな炎のナンバー。
文句のつけようもないくらいに、ヒップなアタック感で熱狂。
伊達男ジュン、ここではテナー・サックスとボーカルの二刀流。
彼はライブごとにアルトだったりテナーだったりと、よくもまあ混乱をきたさないものだね。
それでも十八番だけに、まるで自分のオリジナルソングのように捲くし立てる。
ボーカルが優雅で圧巻。
熱唱に次ぐ熱唱という構成。
今回のライブセットリスト構造はマサ、ジュンとでボーカルを2分するというシステム。
ホーン隊は体を仰け反らせて、渾身の吹き込み。
マサは、ネックをグルグルと上下にひねり回し振り上げてのピッキング。
後ろへ振り返ったり、お馴染みのブレイク・パートではドラムセット前にてクルクル。
前後左右にと行き来しながらキックをぶちかます。
一時たりともジッとしていません。ロックバンドのライブはやっぱりこうでなきゃあね。
それだけにとどまらず、何度もドラムセットまで駆け寄って右足をバスドラムに乗せてシンバルを蹴りまくる。
ニシやんもタンバリンの連打で対応。
調子にのりすぎて左肩がぶつかったシンバルスタンドが傾いて倒れそうになるも、グイ~ンと元に戻った。
ジェームス・ブラウンのマイクパフォーマンスさながらの状態にマサとヤスは苦笑いさ。
長年ライブをやっていると予期せぬ突発的なことが起こるというもの。
後日に気付いたんだけど、この曲中マサはベースヘッドをミキティのスコアにぶつけて床に落としてしまったのさ。丁重なる謝罪をしたら許してくれたよ。本当に申し訳ない・・・・。
それはともかく、時折ジュンとマサが向き合っての相乗効果を煽りあう、火花散るインター・プレイも微笑ましい。
ジュンが「ギター!!」とシャウトしながら、ギターソロへと橋渡し。
時代を反映してか、サイケデリック臭を狙ったかのようなクルさん渾身のギター・ソロは確実に的を得ているね。(クニとタクはサッとしゃがんでクル氏にスポットライトスペースを与える)
フロントにまで飛び出してきたクルさんはこの手の曲でも、的確なるコードワークの度に腕を突き出して盛りたてる。
そこへといっせいに群がるオーディエンス。凄まじき光景。
ギター・リックも伸びやかなるサスティーンも一際異彩を放ち、ここでも獅子奮迅。
決めのブレイクタッチ・フレーズでは、メンバーと観客達が何度も大合唱。
観客の中にはプレイ・スタイルを真似ている輩も出現。
エンディングにおける一瞬の空間を突き破るがごとく、目一杯にエモーショナルなひねりもきかせて喉を振るわせる官能的でブルージーなジュン絶叫ソロボーカルパートでは自己陶酔!
このひとことで観客達が「ヒューツ!!」と大歓声。
プレイしている我々でさえも、手前味噌ながら震えがくるほどの高評価を下したくなるほど。
皆が皆、一様にエキサイトしていて、万雷の拍手が鳴りやみません。
イスに腰掛けたキムキムちゃんが素早く音色チェンジとスコアめくりをこなした後に、流麗なるピアノ・ソロをBGM代わりとして爪弾いる中、マサのMC・・・・・・なんという夢心地な空間であろうか。
「YEAH!残すところ、4曲となりました・・・・・折り返し点だ。アベさんの大好きな、今日は日曜日なんだけど土曜日の曲・・・・キムキムちゃん、どうぞ~~!!」
シカゴ発の記念すべきミリオン・ナンバーがはじまった。
SATURDAY IN THE PARK・・・・・マサがキムキムちゃんの方向へ向き直った瞬間、絶妙のタッチでシンコペーションを基調としたあまりにも超有名なるイントロを響かせる。
当然ここでの主役は、最初から最後までキムキムちゃんのピアノ。
一番彼が演奏することを夢見ていた曲なんだから、そりゃあ至福の瞬間で天にも昇る心持ちでしょうねえ。
全身汗まみれながらも、気持ちよさそう。
もちろん、それに呼応するように会場全体は熱烈なる声援へと反応が変わっていく。
キャンディ姉さんが今回着てきた、目にも鮮やかなサンタ服も似合っているよ。回を増すごとに派手さも増してきているし。永遠のコギャル・サックスプレイヤー、ミキティはSTA名物ファッションリーダーと化してきている。もっか男性ファン層を開拓中。
マサは相変わらず絶え間無く左右に、トレードマークともいえる軽快なステップを踏む。
とにもかくにもキムキムちゃんによる知性に満ち溢れたピアノ・プレイのおかげで、より誰もが贅沢極まりないハッピーモード全開に浸れちゃうのだから不思議なものですよね。
オール・スタンディング!
腕組みして目を閉じ、唸りながら、ジックリと聞き入っている人も発見。
よくよく見てみると会場のあちこちで嬉しそうに、ピョンピョン飛び跳ねている人たちが見えるではないか!?
左サイドでも両手をあげて大はしゃぎの人がいるし。
ニシやんも右膝にタンバリンを巻いて、ずっとタンバリンを打ち鳴らしているよん。
ステージ手前では、ある女性が簡単な振り付けを指導しながら皆と一体になって踊っています。
クルさんも時折横目でバンドを確認しつつも、リズムカッティングにのって延々と体を揺らす。目の前の観客達の笑顔にもすこぶる癒されたそうですよ。
世界平和を声高らかに提唱する、スケールの大きいヒット。
まさしくシカゴ版「イマジン」との呼び声高きアンセム。
マサが歌いながら最前列に歩み寄ると、客同士肩を組んでニコニコと微笑み返し。
他のミュージシャンらも、すこぶる気を吐いていますよ。
ジュンもクニも、コーラスには人一倍のこだわりをもって挑んだ曲。「WOWOWOW~!!」
エンディング最後の1音に至るまで、気合十分パーフェクトに完奏。
普段はホノボノと佇んでいるクルさんではありますが、やる時は綿密にバッチリと決めてくるところなんかさすがですよね。
「はい!今凄いというありがたきお言葉を頂戴しました。とても励みになりますね。残すところあと3曲となりました!まだまだ続くよ。
いっぱい色々なタイプの曲を用意しています。(とここで観客席からシカゴのトドメともいえるリフを口ずさむ・・・・ダダダダダン!と・・・・)なんだ、なんだあ。営業の邪魔をしている奴がいるな。それは、もうちょっと待っててね。
シカゴばかり続いたから次も強力なるライバルバンドのちょっとのりのいい過酷この上ない曲を・・・・シカゴときたからには、このバンドをやらないわけにはいきません。
ブラスロック界における重要なるターニング・ポイントと言われているもの。
それでは、俺たちSTAなりのアレンジで勇猛果敢にプレイ。アベちゃん、ついてきてる?なんか、がおってないかい?あ!?これって北海道弁ね!!(笑)
このメンバー達でなければできない、メチャクチャに強烈な、ディスコでも人気だったというわずか3分足らずの踊れる曲です。ブラック・ビスケッツ風(爆笑)リフ一発で皆さん、わかってくれると思いますよ(これにどよめく会場内)。うちのジュンちゃんが情熱的に思いの丈を込めて歌います・・・・燃え上がってください(と、ここでジュンちゃんの方を指指すと大きく手を振り返す・・・・アベさんがジュン、マサにハイタッチ)。」
とここで、また別のテーブル席の男性が「黒い炎!」という声が飛んできた(ドキッ!!・・・・)
「そうだ!正解!!(笑)日本歌謡界にも多大なる影響を与えた、すこぶる燃費の悪い曲です。皆、聞いてね!チェイスで・・・・・GET IT ON~~!!!」
ヤスが、待ってました!とばかりにスティック・カウントで・・・1・2・3・4(マサも)1・2・3~!
アグレッシブな「黒い炎」が帰ってきた。8月の小樽北運河以来だ。
歌詞の内容は卑猥そのものだけど、火傷しそうなくらいのヴォイス攻め。
このようなやさぐれたボーカル・スタイルのジュンちゃんを聞けるのも激レア。ハードロックも歌いこなせる器用なシンガーには脱帽だ。さりげない仕草が板についてるね。
会場内では大きく手をあげて手拍子を打っている人々の姿が見えてきていますよ。
STA勢も、積極的に観客へ向けて手拍子の要求。
クル氏折り紙つきの、キムキムによるジャジーなオルガンソロがこれまた秀逸。
クルさんはアドリブをこなしながらも、嬉しそうにプレイ。全編にわたって捲くし立てるように掻き鳴らされるストロークが絶妙なるスパイスだ。
ジャズのエッセンスをたぶんに含んだ超絶技巧ワウワウ・ペダルを踏み込んでのアヴァンギャルドなギター・バッキングがドライブしていて光っている。
これがあるとないとでは雲泥の差。
タクちゃんも常に半身のポーズにてジュンとアグレッシブに暴れまくりながらのプレイが鮮烈だ。普段はポーカーフェイスな佇まいのタクちゃん、適材適所に要所要所でしのぎを削るかのように燃え上がる。
ここでもホイッスルが絶え間なく鳴り響いてきて、益々の活況を繰り広げています。
マサは調子にのりすぎて足元に設置されていたドリンクを、途中でステージ床に倒してしまいました。
「ウオー!」とアイドルタレントに対する声援にも似た図太い声が沸き起こる。
タイバンの連中もマサの正面にて、煽りをかましてきますよ。
ヂョーちゃんも頭上高く両手を突き上げて悦に入ってる。
脳天がメラメラと炎上しているようだ。会場内の熱気は沸点に達した感あり。
ヒステリックなホーンセクションは、バック陣も腰を抜かすほどの威力を確立している。
メイナードファーガソンか、はたまた本家ビルチェイスを彷彿とさせる悶絶なる真骨頂サウンド。
後半のダメ押しに至っては、レッドゾーン振り切れギリギリで命がけ。
ジュンちゃんが必死に会得した転調箇所と、オルガンでガッチリと埋め尽くしたキムキムの捌き方も惚れ惚れするほど。
ジュンを筆頭にホーンがダメオシとばかりに競い合ってピッチを上げるところなんか、ぶっ倒れるんじゃないか?と、これには心配になってしまったよ。
突き抜け感が尋常ではない、ファニーのハイノート・ペットがやはり群を抜いてる。
スタミナ消耗率が激しい・・・・わかってもらえたでしょう。体力の温存が課題だね、ここでは・・・・。
ボンゴに切り替えた西やんも、一種独特なるSTAワールドに手ごたえを感じているはず。
それだけにやりがいがあり、一度味をしめたら脱出不可能なジャンルでもあります。
なるほど・・・と目から鱗が落ちるほどに、世界観がガラッと変化するのです。
ここでもマサはキムキムに、シンセプラスとソロという二重苦ともいえる過酷なる試練を求めたのですが、またもやサラッとこなしてくれました(オリジナルはトランペット4本なもので・・・)。実は彼ならば平然とやってくれると思っての、確信犯なんだけどね。
大喜びで受け入れてくれる、頼もしい存在だ。ソロなんてゾクゾクしちゃって、横でプレイしているメンバーさえもが聞いていて鳥肌立っちゃった。
クルさんは、昔取った杵柄とばかりに、ここへきてもスパイスがピリリと効いていて燻し銀の光沢を放っていたのでした。
決めのエンディング目印では更なる進化を遂げたヤスが、目一杯にタメをきかせてフロアタムにてのブレイク。美味しいトコ独り占め。
マサとのリズムコンビネーションも、ピッタリ絶好調。
ブラス隊含めて全員が合図の残響音を轟かせる中、息も絶え絶えな暴れん坊。
燃え盛る炎で焼き尽くされて、真っ白な灰になったかな・・・?
まあ、いずれにしても勇壮なるハードロック直撃弾逆落としに対して口笛がピューピュー!
熱狂の余韻そのままに、キムキムによるクラシカルな繊細なる旋律が指先から発せられる。
漢ヤス入魂のリズムが発せられました。
俄然地鳴りをあげて、ジャストなタイミングでダニー・セラフィン直伝、伝家の宝刀フィルでドラムセットを破壊するほどに応戦。
スティーブ・ルカサーのギター歪みをクルさんが好演してのストレート・ロックンロール「ゲッッタウェイ」に雪崩れ込んで捲くし立てるS・T・A。
この僅か1分ほどの曲もある事情によってしばらく棚上げにされていたんだけど、このたび晴れて封印が解かれたという曰く付きの隠れた名曲。(去年の11月小樽ゴールド・ストーン以来)
数回過去に披露したことがあったんだけど、あろうことかキーボードとギターがキーを間違えてとんでもない事に・・・。
不協和音塗れで、まともにできたことがなかったという苦い思い出のあるかわいそうな曲だったんです。
でもこの日、そんなくだらない事を払拭するほどの感動を与えてくれました。
ブラス隊一体となりながら、リズムにあわせ体をくねらせて吹き鳴らすプレイ・スタイルは何度も見慣れていますが、やっぱり様になっていますね。
追い討ちをかけるようにマサ&クニちゃん&ジュンの3人がロックンロール・シンガーよろしく迫真の叫び。
絶頂に達した瞬間、不意をついたかのようなブレイクも立派に達成。
「ラストです!・・・・・今は何時くらいかな?(チラッと時計を見る)いい時間帯だな・・・・・・それでは正真正銘のこれがラスト、極上のミッドナイト・ソングで締めくくってみたいと思います」
この時、すでにクルさんはギターを掲げて小刻みに震わせつつも不気味な唸りを発する・・・・・「ウィ~~~~ン・・・・・・」
マサは前傾姿勢で、モニター・スピーカーに左足を乗せたまま「泣いても笑っても最後です!いきます!盛大に盛り上がっていきましょうー!松山千春の曲ではないですよ(笑)・・・・・・25or6to4!!!」(EDIT VER)
マサがクルさんの方向を左手で指差すと、「ギュイーン!」のスライディングから
「ガガガガガーン!」
メンバー全員が「ヘイ!ヘイ!」
「会場後ろの方も一緒に!!HEY!HEY!」
驚いたことにメンバー全員がそれに連動して、ノリノリに手拍子を交えている。
その上、しきりに楽器を振っている。
ギターも、これ以上ないほどに過激でへヴィーメタリック。
マサも一緒にメインリフを弾き始めると、ヤスもシンバル類総出で
便乗する形にて熾烈になぞってくる。
疾風のごとく耳をつんざくホーンセクションの狭間に、西やん交えてリズムの鬩ぎ合い!
あるバンドは「STAはスーパー・スペシャル軍団」
あるギタリストいわく「ニュー・ギタリストは上手いし、いい音を出していますね~!」
あるパーカション奏者いわく「STAはレベルが高い」
あるトランペッターいわく「STAはブラス殺しのナンバーばかり・・・・」
あるミュージシャンいわく「STAは歴史と伝統あるバンド!」
マサは1フレーズごとにステージフロント右から左に並べられているモニター・スピーカーに左足をのせながら移動。
クルさん&マサが両サイドのフロントにて陣取り。この躍動感あるロックなコントラストが長年の理想形だったのさ。
ギターがスポットライトを浴びる場面になると、必ず最前列に飛び出してきて自己主張。
白熱するホーン隊も拳を突き出すタイミングが絶妙。
誰言うともなくメンバー達が合間を縫って
「イェーッ!!」観客も「イェーッ!!!」のコール&レスポンス要求で半狂乱。
もうこれが本当にラストだと察してか、余力を振り絞って全員グチャグチャでどこもかしこも総立ちです。
STA全員が右手を何度も振り回しての熱演。
更にはホップステップでニシやんの目前にまで駆け寄って、コミュニケーションをはかる。
ヘッドバンギングにて中央で両膝ついて、気迫のヴォーカルを続行。
クルさんは、虎視眈々、隙間という隙間をびっしりと雷鳴のごときソロで埋めつくすほどに我を忘れて、ギターの鬼と化しています。
でも、起承転結のメリハリはバッチリ!!!
ありとあらゆるテクニックをぶち込んでいる様は、まるでギターの教科書、お手本を提示しているかのよう。
締めはエフェクター設置スペースにもどって、ワウワウペダルを踏み込む艦砲射撃で爆発寸前。
そしてクニが近年ギターソロの後半でやりはじめた、シカゴ・ライブバージョンでのブラス・フレーズをクルさんの合図を待ってホーン隊全員が吹き込む。トドメはきっついハイノートで息の根を止める。
ウォルター顔負けなアルト・サックスで対等に渡り合うミキティ。完成の領域に到達したのではないか!?
マサが3番を歌いながらベースのネックを観客方向に突き出す。
これもライブでなければ味わえないハプニングのシーンだ。
メンバー達が色めき立ってきた・・・この状況。
どいつもこいつも、ビックリするぐらいに凄い奴らばっかりだ。
何が飛び出して、どんな展開になるのか。我々にも皆目見当がつきません。
まあ、こういったスリリングな崖っぷち綱渡りパターンもSTAトラの穴(クニ曰く)ならではの持ち味のひとつだね。やはり役者が違います。
マサが自分の楽器を垂直に突き上げて、揺すりまくるの図。
尚もクルさんのソロは轟き渡り、ホーンセクションは管体が破裂するんじゃない!?と、思えるほどの気迫プレイをクローズ・アップ。
照明もSTAのメンバー達を追うのが大変な作業だ。
エンディングではベースギターを天高くに突き立てホップステップしながら、ベースギターを肩からはずして、マシンガン乱射のポーズ。
そしてハイタッチ後はベースを掻き毟ってもらうように観客に向けて突き出す。呼応するように我先にとベースへ群がる観衆。
ノリが最高!やはりこうでなきゃあね。
モニターやPAスピーカーめがけてベース本体をワイルドに擦りつける。
片足上げて思いっきり床に振り下ろした。「YEAH!!」一礼して、マサがジャンプ一閃でTHE END!!!
「ありがとうございました!」
温かい拍手に感謝です。
「アンコール!アンコール!!最初からやれ~~~!!」
「その声はマッツだな~(笑)」
ピッタリと30分で収めたよ!!どんなもんだい。
メンバー達の表情は至ってクールだけど、なにもかもやりつくしたという達成感で清々しい表情。
「ありがとうございます!予定にはなかったんだけど、それではせっかくと言うことで・・・・・お言葉に甘えてもう1曲。
さあ、黄金期のシカゴ一直線でお送りして参りましたが、次のバンドも、ブラスロック三羽烏に数えられるであろう決定版です。
シカゴと常に比較もされていた彼等の、バンド名や曲名を知らなくてもブラスセクションのフレーズ一発で、あ!あれだ!!と皆さん、わかると思います。当時ウィークエンダーのテーマリフにも起用されていた・・・・ブラッド・スェット&ティアーズのスタンダードから・・・スピニング・ホィール!」
「オオオ!!」と会場のあちこちから感嘆の声が聞こえてきたよ。そうだろうねえ。これを取り上げるロックバンドって今時いないと思うよ。
それが狙いなんだけどね。
ヤスがナイス・タイミングで高々と掲げたスティックでカウント4つ打ち。
イントロからガンジガラメなクセモノ。
入り組んだブレイク構成にいつも冷や汗タラリ・・・。
ここでは御大ジュンくんに初めてボーカルを託す。
彼のボーカルはセッキーはじめ周囲の人々に高評価を得ていました。それも当然のこと。
サビ部分のボーカル音取りに苦慮していたけど、そこはそれで本番に強い男。アップテンポなバッキングにのってバッチリ堂々と歌いこなしていたよ。
歌いだし部分に入るカウベルも、バッチリと力強いアクセントで駆使していたね。
西やんさすがだ。
ファニーのトランペットも嘶きまくり。しかし何度演奏してみても、究極に贅肉を削ぎ落とした全く無駄のない個性的な傑作です。
決めの箇所に差し掛かるたび、心配そうに各メンバー達が周囲を見回しながら合図を送るので次々と難所もクリアできます。まさに手に汗握るシーンだ。
決してごまかしのきかない曲ばかりだもんね。一旦躓いたら総崩れになること必至。
オーディエンスも、あの一番有名なフレーズが炸裂する箇所に差しかかると一緒に腕を突き上げる。
しかしユニークなアレンジが目白押し。
先の読めないスリリングな進行具合が、一度でもはまり込むと癖になりそう。
(と、ここでこの日最大のトラブルがよりにもよってマサに襲い掛かってきた!
ネックサイドのロックピンからストラップが外れた!
モダンタイム以来だ。あの時は2度もベースを床に落としたけど今回はセーフ。
何事もなかったかのようにマサは、苦笑いを浮かべつつ屈んでプレイを続行。
まあ、アンコールの中盤で良かった・・・と思うことにしようっと。
帰宅してから確認したら、ピンが磨り減っていた。もう何個のパーツを交換したことだろうか。
どうしてリハではなく本番でこんな目にあうんだろうねえ。不思議だ。万全な体制に戻したよ。これもひとえに修行の一環だ。)
一番脚光を浴びる100%ジャズに場面転換する中間パートへ突入。ジャズ畑のルー・ソロフばりに、ファニーの血液逆流しそうなほどのけたたましきトランペット・ソロ。
それを的確に支えるバック陣も、プレイが冴え渡る。
タクくんもところどころに出没するトロンボーンによるアクセントや、難解この上ない楽曲をスムーズなアプローチで完全克服。
食い入るように見入っている観客達。
この山場を乗り越えたら、メンバー達もかなりリラックスしてきたね。肩の荷が降りて楽になった気分に浸ってる?いや、STAトラの穴はそれほど甘くないのであった。
ミキティの必殺リコーダーが可愛らしく吹き鳴らされるエンディングでは、西やんが口笛を吹きながら伝家の宝刀マラカスをシェイク。マサとタクもシャンシャンと鈴を鳴らす。キムキムもコミカルなオルガンにシフトチェンジ。
ミキティがジングルベルのメロディに切り替わってのプレイ。クニはじめ他のメンバー達もそれぞれにルーズな雰囲気そのまま和やかユーモラスに機転をきかせてまるでオモチャ箱をひっくり返したようなムード漂うアドリブ・フェイドアウト。
「OH YEAH!FEEL SO GOOD!!ハッピー・メリー・クリスマス!サンキュー!!これで全てが終了!!」
とにもかくにも、メンバー達がオリジナルにはないおかずやフレーズをストイックに投げかけてくるので、その実験的精神に互いが感化されるのです。
コピーだけではつまらない・・・それプラスアルファを常に追求する姿勢が潔し。
追い求める水準が並みじゃあない。
マサが希望提出していたアドリブ合戦にいつのまにか誘われているという、趣向が見事にはまっていたね。
期待以上の効果を盛り込んでくれました。どんな注文もなんのその。
こんな事くらい説明不要!とばかりに、このメンツならばお安い御用かな。
STA久し振り参加ライブのメンバーらの振る舞いが初々しく映って、古株の我々にとっては眩しいくらい。
苦節14年にして最強のメンバー達がここに結集してお披露目の図といった塩梅だ!
ザ・ロング&ワインディング・ロードの旅路はまだまだ果てしなく続く・・・・・。
恒例のマサによる感謝のお言葉が贈られます。
タイバンの名前を1つ1つ読み上げる。
スタッフにも、最後にはもちろんオーディエンスにもね。
そのたびに拍手、拍手~~!!フィナーレも盛大にとどこおりなく迎えたのでした。
シカゴのクリスマス・アルバムによるBGMが疲れを吹き飛ばしてくれるよ。
VERY SPECIAL THANKS TO・・・ABESAN&SUBARU&TOSSY&KANCHO&SIGUCHAN&WATANABESAN&CHIEMISAN&MI-KO&MR,KENETH&NOBUSAN&CHIESAN&COCA-CORA&BEER&OOLONG TEA&TAIYOH PARKING&TANPY&CURRY RICE&ELIZA&MINORY&JON&GE-CHU&JOHNNY&HIRO&MA&SAYA&TOMOZOH&SOHMEI&MATTU&KNIGHT&MR,MAYAMA&RATCHO&MEME&JOE&MINERAL WATER&CHICAGO CHRISTMAS CD!!