世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

サル化 思考しない人間

2020年03月01日 | 100の力
パスカルは《パンセ》の中で

「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。

しかしそれは考える葦である」といって、

人間の、自然の中における存在としてのか弱さと、

思考する存在としての偉大さを言い表した。


ところが、どうだ!?


現代人は、

考えない人が増えている。

いや考えられないのかもしれない。


         (考える人)


思考しない(できない)のであれば

単なる「葦」にしか過ぎない。


教育制度の中で、

自分の頭で考えるという技術を習得することなく

世の中に出てしまう。


人間が人間たる所以は

思考することにある。


思考するにせよ、

短絡的思考が多すぎる。

つまり、

長期的スパンで物事を考えられない。


「今さえよければ、自分さえよければ、それでいい」という発想をする。


利己的で近視眼的なものの見方をする人々が増殖する社会を

思想家・内田樹氏は、

“サル化”と定義した。


そして、

目の前の出来事について、どういう歴史的文脈で形成されたのか、

このあとどう変化するのかを

広いタイムスパンの中で観察・分析する習慣を持たない人たちのことを

“サル”
と呼んだ。


       (サルの集団に見えてしょうがない)


内田氏は言う。

「今の日本では、

政治家も官僚もビジネスマンもメディアも、

論理的にものを考える力そのものが急速に衰えた。


広々とした歴史的スパンの中で「今」を見るという習慣がなくなった。

時間意識が縮減したのです。

それが《サル化した社会》です」と。


人類は、

農業社会から

工業化社会へ、

そして

コンピューターからインターネットの

第三次産業革命を経て、

AI、ロボットの活用時代である

第四次産業革命へと移っている。


ここへきて

人は経済の時間的スピードについていけなくなった。

経済活動が人間的時間を超えた速度で活動し出したのだ。


今の経済活動の基本時間は

もう人間的時間ではない。

人間の身体感覚や知性が賦活される時間の流れ方ではない。


農業人口が50%を占めていた

つい70年ほど前は、

四季折々のサイクルといった

ゆったりとした植物的な時間の中で生活も子供も育まれていた。


ところが、

親も教師も、社会人も子供も

ゆったりとした時間などない。


時間に追われ、

考えようにも

何をどうすればいいのかさえ思いつかない。


思考を時間が追い越していく。


そうして勢い、

「今さえよければ、

自分さえよければ」と

未来思考放棄して

日々、ただ生きるためだけに

東奔西走しているのだ。


ネットという匿名の下品なデマに踊らされ、

トイレットペーパーの買い占めは

その最たる一現象に過ぎない。


これは

人類が「退化のフェーズ」に入ったことの徴候でなければいいのだが。