プノンペン経済特区内に位置する、住友電装の現地法人Sumi (Cambodia) Wiring System社の工場を投資ミッションに随行して見学しました。
住友電装は、自動車用ワイヤーハーネス(組立配線)を製造する世界でも有数のメーカーです。最近の自動車は、エンジンもコンピューター制御であり、パワーウインドウ等様々なところが電動となっています。このため、一般の乗用車で、1台当たりの電線の延長は、3000メートルから4000メートルに達します。ハイグレードクラスの乗用車では5000メートルに達するといいいます。この工場では、電線を切断、両端に端子を付け、さらにこれを組み立てて、自動車工場で簡単に配線できるようにしたワイヤーハーネスを製造しています。
プノンペン経済特区内の住友電装の工場は、昨年から建設され、本年4月17日から製造を開始、4月27日に初出荷し、5月16日に開所式も行ったところです。敷地面積3万平方メートル、建物面積1万5000平方メートルです。
カンボジアに進出した理由としては、これまでの中国一極集中が、中国の人件費高騰、人民元高、離職者増等で難しい状況となりつつあり、新立地を探していた中で、カンボジアが、労働コストも安く若年人口に富んでいるため労働集約産業に適しており、政府と経済特区による誘致も力が入っており、投資優遇措置も充実していること等から決定したとしています。
インフラについては、概ね問題ないものの、停電があることが懸念材料とのことです。物流については、日本からの部品輸入、日本向製品輸出がほとんどであり、プノンペン経済特区~プノンペン港~メコン河~ベトナム・ホーチミン港~日本のルートを利用しており、問題ないとのことです。シアヌークビル港については、プノンペンからの陸送費が高いことがネックであるとしています。現在のところ、生産を開始したばかりであり、月間でコンテナ8~9本程度ですが、今後は輸送量が増大する見込みです。
労働者については、問題なく雇用が進んでいます。現在、一般ワーカーで約500名。今後1,500名程度に増強していく予定です。一般労働者は、アジア諸国と比べても素直で真面目であり、「親切な指導と丁寧な指導を実践する」をキーワードに研修を行って生産性を上げていきたいとしています。労働者は、女性が83.9%を占め、平均年齢は21~22歳です。賃金は、最低賃金61ドルに規定の手当を付けています。ただ、独自のものとして、特別技術手当、リーダー手当等を準備しており、労働者の熟練度を高めるインセンティブとしています。これに加えて、目を引いたのが、冷房完備の立派な食堂です。昼食は無料としており、2種類のメニューを準備しています。日本人社員も全て同じ食堂で、同じメニューを食べているとのことで、これは中国等とは大きく異なります。住居についても、経済特区に近いアパートを3棟借り上げて、無料で供与しており、一般労働者の8割が居住しています。このような手厚く、思いやりの行き届いた福利厚生は、家族的経営を行う日本企業の良いところです。今後の労働者の雇用のためにも、現在勤務している労働者の郷里での評判を高めていくことが重要と考えているとのことです。なお、労働者については当初2か月間が試用期間ですが、この期間内の離職率は10%程度となっています。離職の主な理由は、ワイヤーハーネス製造の主要部分は立ち仕事で行われるため、体力的にきついところがある点だと考えられています。
冷房を完備し、最新式のベルトコンベアが動く、近代的な工場内部は、それだけでもこれまでカンボジアになかった、サプライチェーンの重要な一環である部品製造産業を実感させるものです。隣接するミネベアの工場でも昨年12月の第1工場稼働に引き続き、第2工場の建設が早くも始まっています。現時点のカンボジアには最も適した労働集約的部品製造産業の今後の発展が大いに期待されるところです。
↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村
住友電装は、自動車用ワイヤーハーネス(組立配線)を製造する世界でも有数のメーカーです。最近の自動車は、エンジンもコンピューター制御であり、パワーウインドウ等様々なところが電動となっています。このため、一般の乗用車で、1台当たりの電線の延長は、3000メートルから4000メートルに達します。ハイグレードクラスの乗用車では5000メートルに達するといいいます。この工場では、電線を切断、両端に端子を付け、さらにこれを組み立てて、自動車工場で簡単に配線できるようにしたワイヤーハーネスを製造しています。
プノンペン経済特区内の住友電装の工場は、昨年から建設され、本年4月17日から製造を開始、4月27日に初出荷し、5月16日に開所式も行ったところです。敷地面積3万平方メートル、建物面積1万5000平方メートルです。
カンボジアに進出した理由としては、これまでの中国一極集中が、中国の人件費高騰、人民元高、離職者増等で難しい状況となりつつあり、新立地を探していた中で、カンボジアが、労働コストも安く若年人口に富んでいるため労働集約産業に適しており、政府と経済特区による誘致も力が入っており、投資優遇措置も充実していること等から決定したとしています。
インフラについては、概ね問題ないものの、停電があることが懸念材料とのことです。物流については、日本からの部品輸入、日本向製品輸出がほとんどであり、プノンペン経済特区~プノンペン港~メコン河~ベトナム・ホーチミン港~日本のルートを利用しており、問題ないとのことです。シアヌークビル港については、プノンペンからの陸送費が高いことがネックであるとしています。現在のところ、生産を開始したばかりであり、月間でコンテナ8~9本程度ですが、今後は輸送量が増大する見込みです。
労働者については、問題なく雇用が進んでいます。現在、一般ワーカーで約500名。今後1,500名程度に増強していく予定です。一般労働者は、アジア諸国と比べても素直で真面目であり、「親切な指導と丁寧な指導を実践する」をキーワードに研修を行って生産性を上げていきたいとしています。労働者は、女性が83.9%を占め、平均年齢は21~22歳です。賃金は、最低賃金61ドルに規定の手当を付けています。ただ、独自のものとして、特別技術手当、リーダー手当等を準備しており、労働者の熟練度を高めるインセンティブとしています。これに加えて、目を引いたのが、冷房完備の立派な食堂です。昼食は無料としており、2種類のメニューを準備しています。日本人社員も全て同じ食堂で、同じメニューを食べているとのことで、これは中国等とは大きく異なります。住居についても、経済特区に近いアパートを3棟借り上げて、無料で供与しており、一般労働者の8割が居住しています。このような手厚く、思いやりの行き届いた福利厚生は、家族的経営を行う日本企業の良いところです。今後の労働者の雇用のためにも、現在勤務している労働者の郷里での評判を高めていくことが重要と考えているとのことです。なお、労働者については当初2か月間が試用期間ですが、この期間内の離職率は10%程度となっています。離職の主な理由は、ワイヤーハーネス製造の主要部分は立ち仕事で行われるため、体力的にきついところがある点だと考えられています。
冷房を完備し、最新式のベルトコンベアが動く、近代的な工場内部は、それだけでもこれまでカンボジアになかった、サプライチェーンの重要な一環である部品製造産業を実感させるものです。隣接するミネベアの工場でも昨年12月の第1工場稼働に引き続き、第2工場の建設が早くも始まっています。現時点のカンボジアには最も適した労働集約的部品製造産業の今後の発展が大いに期待されるところです。
↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村