カンボジア経済

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OECD カンボジア社会保障制度レビューを発表

2017年12月01日 | 経済
 11月6日、経済協力開発機構(OECD)は、「カンボジア社会保障制度レビュー」を発表しました。この報告書は、カンボジアの社会保障制度を分析して、その改善方策を提言しています。
 報告書ではまず、カンボジアの経済について、2000年から2015年まで平均7.8%の成長を達成し、貧困率を約60%から13.5%に低下させたこと、格差を表すジニ係数を2004年の0.38から2014年の0.30まで低下させたことを高く評価しています。しかし、貧困を抜け出した人々もいまだに脆弱で、貧困に逆戻りしやすいことや、母子保健・低就学率の問題等が残っていると指摘しています。
 こうした中で、カンボジア政府は、2017年に「社会保障政策フレームワーク(SPPF)」を策定しました。社会保障には、人的資源開発と緊急対応の二つの目的があります。人的資源開発については、現状、奨学金や学校給食、職業訓練等に取り組んでいますが、効果はまだ限られています。緊急対応については、まだ初期段階にあり、カバー率が低いのが現状です。貧困層については、貧困者対象医療基金(HEF)を導入し200万人程度をカバーしています。縫製業等で働く労働者については、国家社会保障基金(NSSF)が労災・健康保険を提供していますが、年金についてはまだ実施されていません。公務員・軍人については、NSSF-C、NFVにより年金も提供されていますが、原資は税負担となっており、今後は保険料収入方式に改変していくことが課題です。
 OECDではこのような現状に対して、人的資源開発に重点を置いた社会保障制度の拡充、社会保障政策フレームワークのための長期的財政戦略の策定、現在別々に運用されている年金制度の統合、国民皆保険制度の達成に向けた対応の促進等を提言しています。

経済協力開発機構の発表(英文です)
http://www.oecd.org/countries/cambodia/social-protection-system-review-of-cambodia-9789264282285-en.htm


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