カンボジア経済

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カンボジア経済2017年10大ニュース

2017年12月30日 | 経済
 2017年も押し詰まりました。カンボジア総合研究所チーフエコノミスト鈴木博の選ぶ「カンボジア経済2017年10大ニュース」です。

第1位 政治の動揺 最大のリスク要因に

 2018年7月の総選挙に向けて、フン・セン首相は攻勢に出ました。野党救国党の党首逮捕に続き、同党を解党に追い込みました。これに対し、欧米の反発は強く、ビザ等の制裁が始まっており、今後、特恵関税資格の停止等の強力な制裁も可能性が出てきています。好調なカンボジア経済にとって政治状況が最大のリスクとなってきています。

9月4日 「カンボジア最大野党党首を逮捕 米中冷戦の狭間で」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/68ae41c64643f9e3228b16ce3368882a

11月20日 「カンボジア最大野党の救国党に解党命令」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1b9e75e4cab74238cfd6730271b72fc9

12月13日 「米国 カンボジアに制裁 ビザ発給制限」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/6c005b0dfbc623ddd4aee77bc48694c1


第2位 カンボジア経済の好調続く

 カンボジア経済は、引き続き好調を維持しています。2018年についても、アジア開発銀行、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、AMRO等の国際機関は、こぞってカンボジア経済の好調を予測しています。

9月29日 「アジア経済見通し2017秋 カンボジア経済は好調続く」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/ea585fa2db313ff22ce95fa65b0f8662

11月1日 「IMF IV条協議結果2017 マクロ経済の好調を評価」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/e8ed19b7e4b10acc9e9256dbf8e00c3e

11月28日 「世界銀行 カンボジア経済アップデート 経済の好調続くと予測」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/0e0ce51de2c309b697bccb0a1165ecf1

12月18日 「AMRO カンボジアとの年次協議結果を発表 高成長が続くと予測」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/b1e13e273c3ea7db4db05887091499f3


第3位 カンボジアのサンボー・プレイ・クック寺院地区が世界遺産に

 7月8日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は、ポーランドのクラクフで開催された第41回会合で、カンボジアの「古代イシャナプラの考古遺跡サンボー・プレイ・クックの寺院地区」を世界遺産に登録することを決定しました。カンボジアでは1992年にアンコール・ワット、2008年にプレアヴィヒア寺院が世界遺産に登録されており、サンボー・プレイ・クック遺跡群はカンボジアで第三の世界遺産となります。(上の写真は、2008年撮影)

7月15日 「カンボジアのサンボー・プレイ・クック寺院地区が世界遺産に」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/846ec2ac793a7b3e01c3afa1d93ecf6d


第4位 中央銀行 マイクロファイナンス貸付金利に上限設定へ

 4月1日から、マイクロファイナンスの貸付に上限金利規制(18%/年)が導入されました。2016年の平均貸付金利は、リエル建て34.5%/年、ドル建て29.6%/年だったため、マイクロファイナンス機関の財務状況にかなりの影響が出るものと懸念されています。

3月21日 「中央銀行 マイクロファイナンス貸付金利に上限設定へ」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1a2b7f352c5ae7b6dd4304194e1c5d7b

4月7日 「マイクロファイナンス機関に支援措置」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/dc8493f48d467c52dfecdb7405abf373

5月1日 「マイクロファイナンス機関 今年の利益減少の予測」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/5184f0a550e048af2123a8c17f42696c


第5位 シアヌークビル港湾公社 悲願の上場

 6月8日、新規株式公開(IPO)手続きを進めていたシアヌークビル港湾公社(PAS)は、カンボジア証券取引所に上場を果たしました。カンボジア証券取引所が開設された2011年から上場を目指しており、関係者の努力でついに上場に漕ぎつけました。また、この際、株を買い占めようとしていた中国勢に対し、日本は官民協力してこれを打ち破りました。

6月12日 「シアヌークビル港湾公社 悲願の上場」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/e3ae0a27ced7af1ee7c2d9f73e33f37d

6月13日 「日本 シアヌークビル港への中国の野心を挫く」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/6e36d18f1f7a7c8fe0ef0f3fe9002db9


第6位 海上油田ブロックA ついに生産契約締結

 8月23日、カンボジア初の原油生産に関する生産分与契約が、カンボジア政府とシンガポール系のクリスエナジーとの間で調印されました。当初の計画では2012年12月12日に商業生産が開始される見込みでした。大分遅れましたが、今回の契約調印により、2019年末~2020年初頭には、商業生産が開始されることとなります。

8月30日 「海上油田ブロックA ついに生産契約締結」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fc965876c5b0c0a8684f69d392d2fdf5


第7位 カンボジアから2本の光海底ケーブルが開通

 1月にカンボジアにとって初の光海底ケーブルである、カンボジアとアジア・アメリカ・ゲートウェイ(AAG)を接続する光海底ケーブルが完成したのに続き、11月30日、カンボジアにとって2本目の光海底ケーブルのAAE-1(Asia-Africa-Europe 1)への接続が完了しました。

3月22日 「光海底ケーブル 開通式典」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/54788baca163068c52a20feb48ef06b2

12月14日 「2本目の光海底ケーブルが接続」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/a1a58b288cde8e3f3bb79027f865908d


第8位 カンボジアの在留邦人3000人を突破

 2016年10月1日時点で、カンボジアの在留邦人は、3049人となり、初めて3000人を突破しました。前年は、34位2492人でしたので、22.4%の大幅増加でした。

6月8日 「外務省海外在留邦人実態調査 カンボジアの在留邦人3000人を突破」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1dbff735243e5765724934855c47c9ee


第9位 2018年の最低賃金 170ドルで決着

 2018年1月1日から適用されるカンボジアの最低賃金は、170ドル/月で決着しました。2017年は153ドルで、11.1%の上昇となります。2018年は選挙があるため大幅な伸びになることも懸念されましたが、客観的基準に沿った想定の範囲内の概ね妥当な金額となったものと見られます。

10月9日 「2018年の最低賃金 170ドルで決着」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/915ef720ba0fbee85f7ba5ca2a76b9c6


第10位 配車アプリのウーバー カンボジアでも事業開始

 タクシー配車サービス大手の米ウーバー・テクノロジーズはプノンペンで正式に事業を開始しました。日本では、未だに配車サービスが認可されませんが、カンボジアのような途上国であっても「技術ジャンプ」により、最も進んだ技術を一気に導入して、低コストで効率的なシステムを構築していくことが可能となっています。この意味で、カンボジアが便利で低コストの社会を早期に実現して、日本を追い抜いていく可能性もあることに注目が必要と見られます。

10月5日 「配車アプリのウーバー カンボジアでも事業開始」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/95f21b8b06d32e4d92ea2794243559be


番外その1 新刊「躍動・陸のASEAN 南部経済回廊の潜在力」発行

 「躍動・陸のASEAN、南部経済回廊の潜在力 - メコン経済圏の新展開」(浦田秀次郎・牛山隆一編著。文眞堂。税込3780円)が刊行されました。カンボジア総合研究所CEO/チーフエコノミストの鈴木博もメンバーの一人として、第6章「存在感高まるカンボジア――南部経済回廊を活用して国際的サプライチェーンの一環へ」を執筆しております。

3月1日 「新刊「躍動・陸のASEAN 南部経済回廊の潜在力」」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fe5a01c846d23347ed9574b7ffb28302

7月2日 「書籍「躍動・陸のASEAN 南部経済回廊の潜在力」が日経新聞で紹介されました」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c7a6a3f43f5dcb67a675c37828ed2c76


番外その2 十年一昔 カンボジア経済2007~2017

 10年前の2007年11月3日にカンボジアに着任しました。私には、あっという間の10年でしたが、カンボジア経済にとっては大きく飛躍した10年と言えます。カンボジアのマクロ経済は、2008年のリーマンショック時を除けば大変優秀な実績を残していると言えます。

11月3日 「十年一昔 カンボジア経済2007~2017」
http://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/5a22340590ffd5efa9ee8ce7172593b2



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