アジア経済研究所が毎年発行しているアジア各国の動向についての報告書です。カンボジアを含むアジア23か国・地域の2018年の動向が、国別に政治、経済、対外関係にわたって分析されています。また、「2018年のアジア 米中の覇権争いのはざまで対応を迫られるアジア」、「アメリカとアジア 対中強硬姿勢とインド太平洋構想への影響」、「ロシアのアジア政策 欧米による制裁強化、アジア諸国との関係強化」を取り上げ、アジア情勢の総合的な分析も行われています。
カンボジアについては、アジア経済研究所の初鹿野直美先生が執筆されています。国内政治については、「前年に最大野党の救国党が解党されるなど、選挙の正当性に疑義がもたれるなか、7月に第6回国民議会議員選挙(総選挙)が行われ、与党・人民党が125議席を独占するという結果となった。選挙後、野党関係者や活動家らが釈放されたり、選挙に参加した政党を招いての評議会を設置して意見を募るなどの懐柔策がとられており、今後の政治的和解がどのように進むのかが注視される。」と分析しています。
国内経済については、「2018年も7.3%の成長率を見込んでいる。カンボジア国内の人権状況が悪化しているとの評価から、EUがカンボジアのEU向け縫製品輸出の成長を支えてきたEBA(「武器以外すべて」に適用される特恵関税)の適用を見直すことを通告した。しかし、観光や建設セクターは中国からの資金に支えられ好調が続き、縫製品の輸出についてもEBAをめぐる議論とは関係なく伸び続けた。」としています。
2018年の課題としては、政治面では、国際的な信頼の回復が必要としています。経済では、欧米諸国による特恵関税停止がリスクであり、輸出入手続きを簡素化する取り組み等により競争力を高め、事態の影響を最小化することが重要と指摘しています。対外的には、政治的な対立が残る欧米諸国との関係改善を模索することが必要としています。
この他、重要日誌、参考資料、主要統計等のデータも満載です。全文がネットで公開されていますので、ぜひご覧ください。
アジア動向年報2019
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Doko/2019.html
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