“夕焼け”いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
つむいていた娘がたって
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが座った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は座った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかしまた立って
席をそのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は座った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押しだされた。
可哀そうに
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をギュッと噛んで
身体をこわばらせて-
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる
何故って
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう
下唇を噛んで
つらい気持ちで
美しい夕焼けもみないで
“愛そして風“
愛の疾風に吹かれたひとは
愛が遙かに遠のいたあとも
ざわめいている
揺れている
風邪に吹かれて 枯草がそよぐ
風が去れば 素直に静まる
ひとだけが
過ぎた昔の 愛の疾風に
いくたびとなく 吹かれざわめき
歌いやめない -思い出を
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にわかるのであってほしい
“SCANDAL”
スキャンダルは
キャンドルだと私は思う
人間は
このキャンドルの灯て、しばし
闇のあちこちを見せてもらうのだと私は思う。
みんな
自分の住んでいる闇を
自分の抱えている闇を
見たがっているのだが
自分ではスキャンダルを灯すことができないので
他人のスキャンダルで、
しみじみ
ひとさまの闇を覗くのだと私は思う
自分の闇とおんなじだわナ、と
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
つむいていた娘がたって
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが座った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は座った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかしまた立って
席をそのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は座った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押しだされた。
可哀そうに
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をギュッと噛んで
身体をこわばらせて-
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる
何故って
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう
下唇を噛んで
つらい気持ちで
美しい夕焼けもみないで
“愛そして風“
愛の疾風に吹かれたひとは
愛が遙かに遠のいたあとも
ざわめいている
揺れている
風邪に吹かれて 枯草がそよぐ
風が去れば 素直に静まる
ひとだけが
過ぎた昔の 愛の疾風に
いくたびとなく 吹かれざわめき
歌いやめない -思い出を
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にわかるのであってほしい
“SCANDAL”
スキャンダルは
キャンドルだと私は思う
人間は
このキャンドルの灯て、しばし
闇のあちこちを見せてもらうのだと私は思う。
みんな
自分の住んでいる闇を
自分の抱えている闇を
見たがっているのだが
自分ではスキャンダルを灯すことができないので
他人のスキャンダルで、
しみじみ
ひとさまの闇を覗くのだと私は思う
自分の闇とおんなじだわナ、と