・2013年、「全国学校給食甲子園」という献立ボランティアで男性栄養士として初優勝を果たしたことをきっかけに、メディアや講演会で給食の話をする機会が増えました。
・今では衛生管理の観点から、検便を受けていない人は児童はもちろん教職員も、校長ですら給食室に入ることはできません。
・学校給食の方式はおもに「自校方式」「センター方式」「親子方式」「デリバリー方式」の4種類があります。
・「令和3年度学校給食実施状況等調査」によれば、自校方式以外の方式を採用してい
る小学校が54.6%、中学校では76.2%です。
・給食室では肉と魚を包丁で切ることはめったにありません。指定したサイズにカットされた肉・魚が納品されます。
・納入された食品は、温度や状態を記録して「保存食」を作ります。納入されたすべての食材を50g採取し、冷凍庫でマイナス20℃以下で2週間以上保存することが、「学校給食衛生管理基準」の決まりです。缶詰や調味料はロット番号ごとに採取して保存するという厳密さです。肉や魚の場合は、業者のほうで保存食用に50gをビニール袋に入れて用意してくれています。調理後の完成品も一品一品、50gを冷凍保存しています。
・文京区で定めている給食室の決まり
①原則として前日調理は行わないこと
②皮をむいた野菜は、水が循環している3槽シンクで表面をこすり洗いすること
③虫が付着している可能性のある野菜を使用する場合は、切り目を入れる、バラバラにするなど工夫して、十分に洗浄すること
・給食ができ上がったら、校長に検食してもらいます。
・現代の給食指導はまったく違います。
「無理なら残しても構いませんが、成長に必要な栄養が入っているから、苦手な者でも頑張って食べてみましょう」
・1958年 牛乳の供給が始まる
「学校給食用牛乳取扱要領」が通知され、1月から一部の地域で脱脂粉乳に代わり国産の牛乳が供給され始めます。
・パンもこれまでコッペパンが定番でしたが、昭和30年代の終わり頃から、ぶどうパンなどの加工パンや調理パンが登場します。
・全国の学校給食で、1972年度には牛乳97%、脱脂粉乳3%の割合になりました。
・1976年4月、学校給食に米飯が正式に導入されます。
・2012年食物アレルギー対応指針の作成
・給食の法律「学校給食法」
・<栄養士>
「栄養士養成課程」のある専門学校、短大、大学を卒業することで取得可。資格試験なし。
<管理栄養士>
栄養士の資格を取得後、管理栄養士国家試験に合格することで取得可。2023年台7回の試験の合格率は56.6%。
・「食中毒予防の三原則」
「付けない・増やさない・やっつける」
4つ目「持ち込まない」
・2020年の6月から食品を扱う全事業者に対してHACCPによる衛生管理の義務化が開始されました。
・食の安全を守るため、給食調理では毎日「作業動線図」を作成し、それに基づいて作業しています。
・給食で使う野菜は3回洗っている。
・床を乾いた状態に保つことで、はね水による二次汚染を防ぐとともに、室内の湿度を低く保てるので細菌や害虫の繁殖が抑えられ、食中毒の発生要因を減少させる効果があります。
・アレルギーによってアナフィラキシーショックが起きた時に、緊急の処置として行うエピペンという自己注射があります。注射のタイミングが生死を分けるケースもままあります。文部科学省の調査によれば、2008年からの5年間で、学校では408件の使用がありました。
・アレルギー原因となる食品はひとりひとり違うので、保護者向け対応表は、児童ごとに必要です。私の勤務する小学校では内容の違うものを約30枚作成しています。命に関わることなので、何度も見直して作ります。
・文京区では現在、宗教にまつわる給食対応は「しない」ことになっています。
・年度末の時点で1人あたり1食ぶん以上の給食費が余った場合は、児童ひとりひとりに返金しなければなりません。給食費が1人あたり1食250円・児童数が600人の学校の場合、予算が15万円以上余ったら返金です。・・・
そのため、3月の献立は豪華になりやすいのです。
・小学校の給食費の平均月額
高い都道府県
1位 長野県 5,090円(年間実施回数200回。280円/1食)
2位 新潟県 5,080円(年間実施回数194回。284円/1食)
3位 徳島県 4,969円(年間実施回数192回。285円/1食)
安い都道府県
1位 滋賀県 3,920円(年間実施回数189回。228円/1食)
2位 長崎県 3,975円(年間実施回数190回。230円/1食)
3位 茨城県 4,011円(年間実施回数197回。224円/1食)
・今は「お金がなくて給食費が払えない」という状況は制度上は”起こらない“ことになっています。
「平成28年度の学校給食費の徴収の実態」によれば、未納者の割合は小学校で0.8%、中学校で0.9%となっています。
収入が低い家庭には2種類の援助があるからです。
①家庭の収入が一定以下の場合には給食費を全額補助する制度
②生活保護のなかに給食費が含まれていて、こちらに該当する場合も、給食費の心配がなくなります。
・2022年度に給食を無償化した自治体の割合
徴収している自治体 72%
無償化した自治体 28%
・約半年、毎週のように畑に通ってお手伝いさせてもらいながら段々と交流を深め、そのうちに、実は給食で江戸東京野菜を使ってみたいのです、と言う話ができるようになりました。有名シェフがこぞって契約しているので、余っている野菜なんてありません。
ところが、
「じゃあ、次はたくさん作付けして、松丸君のところに卸そう」
といってもらえたのです。
・「のらぼう菜」(江戸東京野菜)
のらぼう菜を使った自信作は「のうらぼうめし」です。
のらぼうめしを含めたメニューを給食甲子園に応募し、見事に応募校2266校の頂点に立ち、優勝することができたのです!
・「三種の神器」
「緑黄野菜」の人参、「その他の野菜類」の玉ねぎ、キャベツは野菜の摂取量を増やすための三種の神器と称されています。
・「球根皮むき機」
・「残されない給食」を実現する7つのテクニック
①人気メニューの力を借りる
②魚料理はお寿司を見習え
「骨がない」「臭くない」「見た目がきれい」
③子どもの口の大きさを理解する
④人参やパブリカを多用して鮮やかに
⑤野菜をな子さず食べてもらうドレッシングの工夫
⑥デザートは人気のなさそうな献立の日に入れる
⑦まぜごはんパワーを使う
・「なんとかしてもっと美味しいラーメンを作りたい!」
仕事帰りにラーメン店に並び、ひたすら食べ続ける日々を送り、わかったのは「とにかくにもスープが味の決め手」ということでした。
どうしたものかと悩んでいたある日、ラーメン店の裏手に積まれた段ボール箱に目が止まりました。そこには出汁の専門業者の電話番号が書かれていたのでした。・・・有名ラーメン店ではブランド昆布を使用しています。給食の予算では到底手が届かないと教えられたのです。
しかし諦めきれず、「銘柄に拘ってはいないので、他におすすめはありませんか?」と粘ると、業者の方は「うーん」としばらく考えてから、こんなことを教えてくれました。
いわゆる高級昆布とは、羅臼昆布、日高昆布、真昆布などのことを言い、決まった海域で採れる昆布だけがブランドを名乗れるそうです。ただ、その海域のすぐ近くで採れる、ぎりぎりブランドを名乗れない昆布があるというのです。値段は一気に下がりますが、正直質も味も変わりません。考えるまでもなく即決しました。
次に力をいれたのが味の決め手となる「塩」。私が目を付けたのは、東京都青ヶ島で造られている天然塩「ひんぎゃの塩」です。「ひんぎゃ」(火の際=火山の地熱蒸気)を利用した世界唯一の製法で作られています。・・・(「塩」は)少量しか使えないから(高価でも)予算は大丈夫。
こうして超一流の昆布出汁と天然塩で丁寧に作り上げたラーメンは、子どもたちも教職員も唸るおどの美味しさで大人気となりました。
・「たかが給食のために、なぜそこまで頑張るのですか?」
そう尋ねられることがよくあります。私がなぜ“給食バカ”と言われるほど給食のクオリティを上げることにこだわっているのか、それは、未来を担う子どもたちの食べものだからこそ、最高のものを目指さなければならないと考えているからです。
私自身も学校給食に助けられたひとりでした。小学校に入学したての頃は体が弱く、野菜も魚も苦手で給食が苦痛だった私に、給食先生(学校栄養士)はこう声をかけてくれました。
「ひと口でいいから食べてみて。給食には松丸君のためになるものしか入っていない。頑張って食べたらいいことが起きるよ」
その言葉に励まされて、給食をひと口、2口と食べられるようになりました。するとどうでしょう。不思議なことに、苦手だった縄跳びや、鉄棒の逆上がりまでできるようになったのです!・・・
気が付くと風邪をひかなくなり、背が伸びて、体が大きくなりました。給食のおかわりジャンケンの常連になり、休み時間には給食の先生から給食のレシピを教わることもありました。
そんな私が「給食の先生」を志したのは高校3年生の進路選びです。「自分が一番好きな物を仕事医すると楽しいかもよ」と担任の先生に言われ、すっと頭に浮かんだのは自分の成長をたすけてくれた給食のことでした。こうして学校栄養士になる道を選んだというわけです。
感想;
学校給食、知らないことたくさんありました。
小学校は6年間、脱脂粉乳とコッペパンでした。
法律では牛乳や他のパンもOKになっていたのでした。
私の小学校はその対応ができなかったのか、しなかったのか。
印象は「まずかった」です。
それと給食は残してはいけないとのルールでした。
コロナで学校を強制的に閉鎖したのは、間違った政策でしたね。
この本を読むとなおさらそう思いました。
栄養を摂ることが出来なくなったり、食費に困った家庭もあったでしょう。
何よりシングルマザーだと子ども一人家に置いていけないので、大変だったでしょう。
子どもは出会った先生によって大きく変わることがあるようです。
それは教育者にとってもやりがいになるのでしょう。
子どもたちのために一生懸命取り組む松丸さんの姿が浮かんできました。
のらぼう飯、美味しそうです。
ラーメン食べてみたいです。
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