英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『Q.E.D. 証明終了』 第9話「加奈のタイムカプセル」

2009-03-08 23:12:30 | ドラマ・映画
【あらすじ】(NHK番組ホームページより)
 可奈(高橋愛)が小学校3年の時に埋めたタイムカプセルが出てきた。掘り当てたのは探偵同好会の3人組(垣内彩未、広瀬斗史輝、渋谷謙人)。
 恐る恐る可奈が開けてみると、そこには宝物と思われる写真と野球の硬球とゲームソフトが入っていたのだが、その写真を撮ったことなどまるで思い出せない。ボールは誰かの宝物だった気もするが、なぜ可奈のものになったのかも思い出せないのだった。当時も同級生だった西丸(中山卓也)は、意味ありげに「よーく思い出した方がいい」という。
 手掛かりはボールに書かれた「中陵」の文字。探偵同好会の3人組が中陵野球部員の野辺(本間健大)を可奈の家まで連れてきて確かめるが、ボールは野辺のものではないという。想(中村蒼)が記憶をたどる手助けをして、写真に写った二人の少年のことを思い出すが、二人とも小学校の卒業アルバムには載っていなかった。ボールはもらったのではなく取り上げたのではないかと西丸が言い始める。
 大切だと思っていたものを、こんなに簡単に忘れてしまうものだろうか?と可奈は不安になっていくが…。
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 加奈が埋めたタイムカプセル(宝箱)の中身を巡る謎(記憶)が、徐々に明らかになっていく。しかも、加奈が中心となって記憶を手繰り寄せていく。想は助言するだけで、あまり頼りにならないが咲坂高校探偵同好会もいろいろ手助けしてくれる。
 なので、混迷しながら断片的に少女時代の想い出が明らかになっていくので、私(視聴者)も捜査に参加しているような感覚に陥る。そう、アドベンチャーゲームをしているような感じだ。

 それにしても、登場人物が多い回です。
 まず、探偵同好会(以後「探偵団」と表記)の3人。少しイラつくキャラであるけれども、ストーリーを勧めるには必要なキャラである。
 タイムカプセルに入っていた写真の6人。
 NHKの番組ホームページの当時の人物評によると、
水原可奈…勝気な性格は子供の頃から変わらない可奈。
梅宮衿子…可奈の知恵袋的存在。小3の頃から要領の良い子。
香坂まどか…可奈の親友。子供の頃からほんわか系。
西丸浩樹…可奈の幼なじみでクラスメイトの剣道部員。子供の頃からジャイアン系?
謎の少年A…写真前列左。可奈たちの小3の頃の同級生。
謎の少年B…写真前列中央。可奈たちの小3の頃の同級生。

 衿子とまどかは、親友の割には初回に出てきたぐらいで、ほとんど出番がなかったが、今回は少し活躍?
 西丸は、今回の鍵になる人物。カプセルに入っていたボールに記憶がない加奈に、「信じられない」と呆れ顔でなじるように言う。
 少年Aはめがねをかけた気弱そうな少年。誰も覚えていない。
 少年Bはサッカー少年。まどかたちは、よく覚えていた。最初の段階では、話題にならず。

 写真に関してはもうひとり。後で話の焦点となるが、写真を撮った謎の人物。


 カプセルの中身には、古いはずれにの宝くじも。宝くじは父親のもの。謎には直接関係ないが、エピソードの味付けになっている。


 ボールについて調べると、かすかに「中陵」の文字(探偵団が発見)。
 で、同じ小学校出身で中陵高野球部の野辺が探偵団に引っ立てられる。しかし、ボールは野辺のものではなく、心当たりもないという。

 悩んでいる加奈に、想が「他にヒントになるものはないか」と助言。写真を見直し、衿子たちは、少年Bはサッカー少年の辛島くんで、辛島君に呼ばれて、夏休みの終わりに撮った写真であることを思い出す。(実は、事実と少し違う)

 その後、加奈は自分の卒業アルバムなどを調べ、めがねの少年は卒業アルバムにも、3年生の終わりのバス旅行の写真にも彼が写っていないことを発見する。
 そのことを、想に報告すると、現場の神社に行くよう助言。(まさに、アドベンチャーゲームだ)

 神社で、子どもたちが遊んでいるのをぼんやり見ていると、皆に置いてきぼりになりそうな子どもが「僕も連れてって」と叫ぶ。この言葉が、加奈の記憶を呼び起こす(かなり、ご都合主義)。
 その記憶は、その神社でのラジオ体操での記憶。ラジオ体操が今のところ皆勤で、後半分だという会話の後、夜に宝探し探検をやろうという話がまとまる。メンバーは加奈たち3人の女子と、西丸、それから辛島も誘う。そこへ、「僕も連れてって」とめがねの少年が声をかける。
 そこまで思い出したとき、想が声をかけ、回想は中断。

 ふたりで小学校を訪ね、当時から在籍していた現校長にめがね少年のことを尋ねる。
 先生は「おとなしくて目立たない子で新田君で、3年生の夏休みの終わりに転校していった」と話す。体育は得意じゃなかったらしい。ボールと新田君が結びつく感じがしない。

 そのことを、衿子たちに話す。そこで、想が「写真は誰が撮ったのか」と質問。
 衿子が記憶の糸がつながったと言って「辛島君のお兄さんよ」と証言。
 ここで、回想シーン。初めて、写真を撮った人物、お兄さんが登場。
 そして、写真を撮ったのが辛島兄弟なので、「新田君を呼んだのは辛島君ですよね」と、確認。その言葉に、加奈がボールをもらった直後がフラッシュバックされる。しかし、ボールをくれた人物ははっきり思い出せない。

 西丸に聞いてみようと話がまとまると、探偵団が西丸を引っ立ててくる。
「手間が省けましたね」という想の言葉は、まさにそう。
「このボールは、新田君がくれたの?」と問いただす加奈に、西丸はにやりと笑い
「宝探し探検をしようと言っていた場に、新田が「僕も連れてって」と頼んだ。勇気を振り絞って言った新田に対して、加奈は「(大事にしていた新田の)ボールをくれなきゃ仲間に入れてあげない」と言ったんだ」
と、言い放つ。

 さらに
「探検の最中、怖がってうずくまり「もう嫌だ」という新田に対し、置き去りにした加奈が「あんたのような弱虫に、あのボールは似合わない」と言い放たんだ」

 落ち込む加奈に、西丸は追い討ちをかけるように
「だから、思い出さないほうがいいって言ったんだ」と。
 西丸を睨みつける想。そして、
「なるほど。西丸君の話は全部嘘」と言い、その根拠を述べ始める。

①写真は夏休みの終わりに撮ったものだから、新田君に辛島君に呼ばれても来るはずがない
②写真を撮ったのは探検より前と反論する西丸に対し、「皆勤賞にあと半分」という会話から、夏休み半ば、衿子が宿題に頭を悩ませるずっと前と論拠を示し、西丸のお話は嘘と断言
③西丸がうそをついたわけは、カプセルに入っていたゲームソフトが10万円の買取価格がついていることを示す。そして、カプセルの中からゲームソフトがなくなっていることを確認
④西丸が加奈たちにボールに注意が向いている間に、ゲームソフトを抜き出し、その後もゲームに注意が向かないように、ボールについて思わせぶりな態度をとった。そして、宝物を埋め戻させるよう嫌な想い出をでっち上げたのだと追及


 白状する西丸が、「お前の仕打ちも似たようなものだ」と非難。
 ゲームソフトは新田が、宝探しのお礼にくれたものだった。
「勇気要ったと思うぜ、引っ込み思案の新田が。でも、おまえ、何一つ覚えてなかったんだからな」と、胸に突き刺さる言葉を。


 夜、想にお礼を言う加奈だが、「ボールをくれたのは誰か?」という疑問が残っていることに気がつく。
 「やっと気がついたんですか」と言い、卒業アルバムを見て、辛島が映っていないことを確認。そこへ、野辺が再登場(おお、そういや、こいつもいたっけ!)。
ボールの持ち主について思い出したから来たのだと(いいやつだなあ)。

 加奈たちの小学校出身で中陵で甲子園に出たのが辛島の兄であることが判明。辛島の転校の理由は、その兄が甲子園でエラーをしたせいで負けたのだと嫌がらせを受けたからだと。
「嫌な話だよ。(写真の辛島を見て)いい顔して笑っているなあ。辛いこと隠して、笑顔でお別れしたんだな」(ほんとに言いやつだな、野辺!)

 その話を聞いて、写真の場面のすべてを回想する。
写真を撮った後、探検のお礼にとゲームを渡す新田。それを見て、微笑む西丸(お前もほんとはいいヤツなんだな)。それから、大切なボールを投げてよこす辛島。笑顔で去っていく辛島に、「ありがとう、またね」といって手を振る加奈。

 辛島が写真を撮った意味。新田の勇気を振り絞った「仲間に入れて」と言ったこと、そしてお礼の気持ち。辛島のボールに込めた思い。
 少女時代の、甘酸っぱい思い出ですなあ!
 きっと、辛島も新田も、加奈のことが好きだったんだろうな。


 想い出を綺麗さっぱり忘れていた加奈、落ち込む、そして、落ち込む。

 そんな加奈を見て、想は宝くじの番号に託した父の思いを推測し話す。
「この宝箱には、水原さん(加奈)のことを想う気持ちがぎっしり詰まっています。
 宝物をくれる人は、自分を思い出して欲しくてプレゼントするわけじゃありません。宝物を上げる相手が元気一杯生きていってくれたらいいなとそう願っているんですよ。
 だから、水原さんは二人のことを忘れてなんかいません。新田君や辛島君が今の水原さんを見たら、きっと嬉しいと思います。あの頃のままの水原さんでいてくれて、ありがとうって。きっとそう言うと、僕は思います」

 無茶苦茶やさしいやないか!最初の頃の想とはえらい違いだ。
 心安らぎ、笑顔になる加奈。想の後姿を見送る加奈は、恋する乙女モード。うらやましいぜ、想! 




 登場人物(小学時代の子役もいるし)、思い出満載。すべての会話やシーンが、全く無駄なくつながっている。アドベンチャーゲーム的に、捜査、探索、推理し、ミスリードまである。
 また、宝箱を開けたとき、西丸がゲームソフトを抜き取ったらしいシーンも、手の部分だけ隠されていましたが、良く見るとその様子が分かるようなシーンになっている。
 そして、少女(少年)時代の甘酸っぱい思い出。こちらまで、胸がキュンとなりました。おもしろかったです。


 でも、そんな想い出を綺麗さっぱり忘れてしまってる加奈って、やっぱり……。
まあ、加奈が忘れないと、この話は成り立たないんだけど、作者としてもジレンマを感じたでしょうね。

 で、小学校の想い出ってどうなのかな。私は、友達全部をソラで思い出すのは無理だけど、写真を見れば思い出せる自信はある。
 エピソードは、自力で鮮明に思い出せるシーンが断片的にあります。あと、思い出せなくても、写真をがあれば思い出せると思うけれど、全部は無理かな。
 加奈の場合、宝箱に入れるほどほどだから、よほど大切な思い出と思ったはず。写真を見ても、思い出せないって、やっぱりひどいかも。でも、最終的に思い出したんだから、赤点ギリギリかな。

【補足・訂正】
 加奈が想の後姿を見送るシーン、私の解釈不足がありました。
 想の言葉によって、笑顔を取り戻した加奈が、玄関先で想を見送る時、指で四角(カメラのフレーム)を作って、カシャッと声を出します(シャッター音)。そして、その撮った写真が加奈の胸に溶け込んでいきます。
 私、これを加奈の恋心が芽生えたシーンと誤解してしまいました。

 本編からのつながりを考えると、当然、想は加奈にとって大切なもの、大切な宝であって、それを写真に撮ってそれを加奈の胸、つまり加奈の宝箱にしまったと考えるのが妥当なようです。
 神代さん、コメント、ありがとうございました。
コメント (5)
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