今更、先々月号なの?という気もします。もたついたのは、竜王戦ショックというわけではありません。大逆転で竜王位を逃したのは、すごく悔しいのですが、そのことについて報じられている2月号を読むのには、それほど抵抗を感じませんでした。逆に、敗れた将棋を見極めようとする気持ちのほうが強かったです。
それとは逆に、1月号はほとんど読むことができませんでした。3連勝の快進撃、その後の結果が分かっていると、すごく空しくて空しくて……。
さて、2月号は渡辺竜王が永世竜王位の資格を獲得したという点では、歴史的な号でしたが、雑誌の内容としては、疑問符がたくさん残りました。
まず、竜王戦第5局の谷川九段による観戦記(8ページ)。谷川九段らしくない切れのない解説だった。渡辺竜王の仕掛けの成否、羽生名人の受けは最善だったのかが、言及されておらず、いつの間にか、羽生名人が苦戦になっていた。
また、最終盤で、羽生名人に飛車打ちが2箇所、角打ちも2箇所あり、受けに回る手もある。どの組み合わせで、どの順番で打つのが最善かが、非常に難解であると、しかし、それについての結論が書かれていない。結局、その後、角の王手に対する竜王の歩の中合いが絶妙手で、渡辺竜王が2勝目を上げている。
次に、倉敷藤花戦第2局の吉村達也氏のドキュメント。女子高生がタイトル獲得というインパクト充分の出来事であるので、特集を組むのは理解できる。しかし、カラーグラビアで2ページ、池崎氏による観戦記が9ページ、そして、ドキュメントが12ページ、少しページを割きすぎの感がある。これなら、竜王戦第5局にもう少し紙面を割いてほしかった。
で、ドキュメントの内容は、前日の対局場検分や前夜祭での両対局者の素顔や様子、里見女流の少女時代や家族との関わり、そして、対局場での主催者側、連盟の棋士たち、舞台裏で対局やネット中継を支える裏方たち、さらに、対局後のインタビューを絡めた里見女流の素顔など、詳細に語られている。
確かに、舞台裏の苦労や両対局者の様子など、有用な情報だと思う。ただ、ページが多いせいなのか、あれもこれもという感じで、内容が散漫。他に観戦記があるので対局の様子はほとんど触れないように意識したのかもしれない。しかし、それが、主題であるはずではないのか?観戦記とダブルところがあっても、構わないし、かえって厚みが感じられるように思う。
この吉村氏、名人戦の契約問題で騒動になったときも、やたらページを割いて、将棋世界誌で、詳細にその事情を述べている。かなり連盟寄りの内容だったと私は感じた。
その印象があるせいで、私には、今回のドキュメントも、かなり連盟に気を使って書かれているように思えてしまう。
それとは別に、最後のほうで、記者会見での彼女の様子を
「圧倒的な数の報道陣を前に、ひとり席に着いた里美香奈・新倉敷藤花の答える声は訥々(とつとつ)として、ときに消え入るようにかぼそく、部分的には聞き取れないほどであった」
と書いている。
確かに、すごい数の報道陣に、熱戦を終えたばかりで、新タイトル保持者という通常ではない場ではあるが、ここは多少厳しく、「聞き取れるような声で話すべき」という趣旨の文があってもいいのではないだろうか。
『熱局探訪』(野月浩貴七段)は、もう少し、局数を絞るか、局面を絞ってほしい。1図面辺りの手数が長いので、読むのが大変。
ページ左上の模様は、汚れと勘違いしてしまうので、なくしてほしい。
『最強ソフトを遊んじゃおう!』(上田初美女流初段)
内容は、普通のレビュー。わざわざ、女流棋士に書いてもらう意味を感じない内容だった。上田女流が対局した手ごたえや感想。できれば、ソフトの特徴や強さを表した局面を取り上げて解説するというような工夫があってもいいと思う。
その他の、企画モノや自戦記、観戦記、講座などは、(ひとまとめにするのは申し訳ないが)非常に充実していて面白い。特に大平五段の自戦記は面白かった。
それとは逆に、1月号はほとんど読むことができませんでした。3連勝の快進撃、その後の結果が分かっていると、すごく空しくて空しくて……。
さて、2月号は渡辺竜王が永世竜王位の資格を獲得したという点では、歴史的な号でしたが、雑誌の内容としては、疑問符がたくさん残りました。
まず、竜王戦第5局の谷川九段による観戦記(8ページ)。谷川九段らしくない切れのない解説だった。渡辺竜王の仕掛けの成否、羽生名人の受けは最善だったのかが、言及されておらず、いつの間にか、羽生名人が苦戦になっていた。
また、最終盤で、羽生名人に飛車打ちが2箇所、角打ちも2箇所あり、受けに回る手もある。どの組み合わせで、どの順番で打つのが最善かが、非常に難解であると、しかし、それについての結論が書かれていない。結局、その後、角の王手に対する竜王の歩の中合いが絶妙手で、渡辺竜王が2勝目を上げている。
次に、倉敷藤花戦第2局の吉村達也氏のドキュメント。女子高生がタイトル獲得というインパクト充分の出来事であるので、特集を組むのは理解できる。しかし、カラーグラビアで2ページ、池崎氏による観戦記が9ページ、そして、ドキュメントが12ページ、少しページを割きすぎの感がある。これなら、竜王戦第5局にもう少し紙面を割いてほしかった。
で、ドキュメントの内容は、前日の対局場検分や前夜祭での両対局者の素顔や様子、里見女流の少女時代や家族との関わり、そして、対局場での主催者側、連盟の棋士たち、舞台裏で対局やネット中継を支える裏方たち、さらに、対局後のインタビューを絡めた里見女流の素顔など、詳細に語られている。
確かに、舞台裏の苦労や両対局者の様子など、有用な情報だと思う。ただ、ページが多いせいなのか、あれもこれもという感じで、内容が散漫。他に観戦記があるので対局の様子はほとんど触れないように意識したのかもしれない。しかし、それが、主題であるはずではないのか?観戦記とダブルところがあっても、構わないし、かえって厚みが感じられるように思う。
この吉村氏、名人戦の契約問題で騒動になったときも、やたらページを割いて、将棋世界誌で、詳細にその事情を述べている。かなり連盟寄りの内容だったと私は感じた。
その印象があるせいで、私には、今回のドキュメントも、かなり連盟に気を使って書かれているように思えてしまう。
それとは別に、最後のほうで、記者会見での彼女の様子を
「圧倒的な数の報道陣を前に、ひとり席に着いた里美香奈・新倉敷藤花の答える声は訥々(とつとつ)として、ときに消え入るようにかぼそく、部分的には聞き取れないほどであった」
と書いている。
確かに、すごい数の報道陣に、熱戦を終えたばかりで、新タイトル保持者という通常ではない場ではあるが、ここは多少厳しく、「聞き取れるような声で話すべき」という趣旨の文があってもいいのではないだろうか。
『熱局探訪』(野月浩貴七段)は、もう少し、局数を絞るか、局面を絞ってほしい。1図面辺りの手数が長いので、読むのが大変。
ページ左上の模様は、汚れと勘違いしてしまうので、なくしてほしい。
『最強ソフトを遊んじゃおう!』(上田初美女流初段)
内容は、普通のレビュー。わざわざ、女流棋士に書いてもらう意味を感じない内容だった。上田女流が対局した手ごたえや感想。できれば、ソフトの特徴や強さを表した局面を取り上げて解説するというような工夫があってもいいと思う。
その他の、企画モノや自戦記、観戦記、講座などは、(ひとまとめにするのは申し訳ないが)非常に充実していて面白い。特に大平五段の自戦記は面白かった。