英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

羽生、王位奪取 通算タイトル最多タイ80期に

2011-09-17 19:15:37 | 将棋
 王位奪取から日が経ってしまいました。決着した直後に、記事をアップするのがファンとしての義務?だと思いますが、即行アップというのは、如何にも大喜びしていると思われてしまいそうで(余計な心配だ)、少し間を置きました。
 と、そうこうしている間に、私の敬愛するブログ棋友さんたちが、次々に記事をアップされていきました。shogitygooさん『羽生が王位奪還 2011王位戦第七局 広瀬vs羽生』で、戦術面から将棋の思想に至るまで掘り下げ、nanaponさんは、『羽生二冠、王位獲得で三冠へ、そして、通算80期に』で、多方向から立体的に分析し、せんすさんは、『羽生、三冠返り咲き』で、最終局の指し手を解析しています。
 そして、ssayさんが、『第52期王位戦七番勝負第7局は挑戦者の羽生二冠が勝ち、王位に復位、通算タイトル獲得数80期で大山十五世名人に並び歴代1位タイに。』という少し?長いタイトルで、素直な感想を述べています。

 ここで、ssayさんについて述べなければならない。彼の分析は鋭い。そして、彼は羽生ファンではない、こともあろうか渡辺竜王のファンなのである。羽生ファンではない渡辺竜王ファンである彼の鋭い眼で、ちょっと(ちょっとだよ)愚かな羽生ファンを斬られてしまうのではないかと心配していた時期もあった。断っておきますが、斬られると心配したのは「羽生ファン」であって、羽生二冠、おっと、三冠(笑)ではない。
 彼の存在は、nanaponさんを通じて意識していた。あとで判明したが、彼も私のことを意識していたらしい。私の場合、ファンの対象は違うが、時には辛辣、あるいは、余計なことをと思うような事を言ってしまう点で、似ていると思っていた。
 羽生ファンじゃない、鋭い、私と似ている……と言うわけで、「触らぬ神にたたりなし」で、チラ観するものの、正対したことはなかった。
 でも、彼の記事は、鋭くて、正直で、おもしろい。我慢しきれず、パンドラの小箱をあけるように、彼の記事にコメントをつけ…いい関係(笑)が続いている。う~ん、「盟友」と言えばいいのかな、ちょっと、くすぐったい関係。こういうことを書くと、某n氏により横から槍が飛んでくるかもしれない。
 それはともかく、羽生ファンではないssayさんが、即、記事をアップしたので、これは素通りできないと、コメントを付けたのが下の文章。(多少修正、加筆しています)



 名人を失冠し、無敵を誇った王座戦においても、最強の挑戦者に緒戦を落とし、暗雲が漂っていました。今回、王位に復位し、ホッとしています。本来なら「勝って当然」という顔をしたいのですが、広瀬王位は強く、今回の勝利も紙一重で、逆の目が出ても不思議ではないと思っています。
 広瀬王位の勝ち方は強さを感じさせます。羽生戦だけでなく、他の棋士との(特に順位戦)対局を見ていると、「彼にはどうやったら勝てるのだろうか」と思わせる内容です。
 今期王位戦では、斬り合った瞬間、大勢が決してしまった将棋が多かったです(押し切って勝ってしまうのは、両者が共に中終盤が強いから)。特に羽生二冠が完敗した第5局、昨年の王位挑戦者決定戦は、広瀬王位の独特な将棋観に羽生二冠の感覚が方角を狂わせてしまい、気がつくと、致命傷を負っていた、そういう印象です。終盤もつれた第2局もこれに類するかもしれません。
 また、広瀬王位の攻めを見切り優勢に進めていたにもかかわらず、終盤の入口で疑問手を連発したのも、不可解な負け方です。これも、広瀬将棋に方向感覚を狂わされていたのかもしれません。(新聞の観戦記には、「羽生二冠に疲労が蓄積されていたのではないか」と推測されていた)
 最終局は、その広瀬将棋を真正面から捕らえ、がっぷり四つに組み、引き付けて寄り切ったという横綱相撲でした。ここまで6局王位戦を戦い、将棋だけでなく、前夜祭、食事、相対した時の所作すべて広瀬王位を感じ取り、広瀬王位の将棋の本質を感じ取り、研究の裏づけをして、最終局に臨んだと考えられます。
 
 なんにせよ、今後も楽しみなカードで、広瀬王位も楽しみな棋士です。今後は、対森内、対渡辺、対佐藤、対久保などにその本領を発揮していただきたいです。



 この文章(コメント)で、記事を済ませてもいいのですが、少し芸がないので、羽生二冠の最終局に対する姿勢、そして、封じ手の考え方について考察してみます。

 自分で言うのもなんだが、伝家の宝刀・広瀬振り飛車穴熊を真っ向から受けて立った羽生二冠、格好いい!しかし、羽生二冠は格好良さを考えたわけでなく、ある程度、広瀬振り飛車穴熊を攻略できる、いえ、攻略とまでいかないが、対抗できる自信があったように思える。
 もともと、羽生二冠は居飛車穴熊の優秀性を認め、それを実際に実証している。
 振り飛車についてはどう考えているのだろうか?
 勝率は先手振り飛車0.766、後手振り飛車0.624、振り飛車採用勝率は0.661。通算勝率0.722と比べると苦戦している。しかし、振り飛車をダメな戦法とは思っておらず、振り飛車の採用率は11%で、矢倉26%、対振り飛車20%に比べると低いものの、角換わり14%、横歩取り13%、相掛かり9.6%とは大差ない。ただ、対振り飛車の勝率は先後合わせて0.774と高率で、戦法別では最も高い。(『玲瓏』さんの戦型別データを引用させていただいています
 これらから推測すると、羽生二冠は振り飛車は指せない戦法とは思っていない(最善を尽くせば容易に負けない)が、相対する戦法としては怖くないと思っているはずだ。
 では、振り飛車穴熊はどうなのだろうか?旧タイプの振り飛車穴熊を採用する棋士はごく限られている。これは、戦法としてはあまり優秀とは思われていない。羽生名人もあまり採用しないので(これは私の記憶のみなので、実際は違うかもしれない)、よい戦法とは思っていないと推測できる。
 相穴熊戦を理論的に見ても、玉の堅さは同じでも、飛車先が伸びている居飛車の方が攻勢を取れるし、破るべき方角に飛車、角両方利いていて、桂香を大駒2枚で効率よく手にすることができる可能性が高い。よって、相穴熊戦においては居飛車側が利があると考えられている。
 しかし、広瀬王位はこの戦法で勝ちまくり(他の戦法でも勝っている)、王位を獲得するに至っている。さらに、羽生自身も、今期、王位戦で相対してみて、一刀両断に近い負けを喫している。
 これはどういうことなのか?
①広瀬王位が戦法のハンデをもろともしないほど、手合い違いに強い
②振り飛車穴熊が実は非常に優れた戦法だった
③広瀬流振り飛車穴熊の弱点を見抜けていない

 他にも理由があるかもしれないが、これら3つと仮定しよう。
 このように書くと、この3つは独立した事柄のように感じるが、実際は絡みあっているように思える。広瀬王位がとても強くて、振り飛車穴熊は優れている。しかし、それと同時に広瀬将棋、広瀬流穴熊ともに、その弱点をつかめていない。
 羽生2冠も、常々、そう考え、そして、実際に対してみて、その感触を確かめていた。
 そして、最終局に向かい、広瀬穴熊への対抗法をある程度確立し、広瀬穴熊・広瀬将棋の感覚もほぼつかめたという手ごたえを得て、広瀬穴熊を受けて立った。
 羽生二冠の最終局の指し回しを見ると、歩を渡さない(8筋の飛先の歩を突き捨てなかった)、捌かせない(9二に飛車をかわしとにかく振り飛車の角の捌きを封じた)、具体的に点数を稼ぐ(あっさり飛車角交換をした、と金を作る)……実利を稼ぎ、しかも、勝ちを急がないことを心がけたように感じる。がっちり盤面全体、読み全体、大局観すべてを駆使し、広瀬将棋を抑え込んだ、そんな印象だ。


 封じ手についても考察してみます。
 羽生二冠は、この一手と思われる△4二銀引に時間を消費し、手を進めずに、封じ手にして一日目を終えている。
 これは誰でもそうだと思うが、一日目の段階で劣勢に陥ってしまうことは避けたい。しかし、優位に立つのは歓迎、そうでなくても、研究範囲の局面で互角以上の見通しがつくのなら指し手が進んで終盤になってもかまわない。局面が進むことより、持ち時間を消費するのを避けたいという棋士も多いようだ。
 しかし、羽生二冠は、若干違うような気がする。一日目はあまり局面を進めたくなく、いろいろな可能性のある局面で終え、その可能性を一晩かけて考え、検証したいのではないかという気がする。
 ただ、それだけでなく、1時間半ぐらいの持ち時間の差なら、2日目に指し手の可能性をたくさん残した方が、相手の方が間違える可能性が高い。そういう自信があるのである。


 昨日、順位戦で羽生-渡辺戦があった。羽生完勝と言ってもいい内容だった。
 王座戦20連覇が懸かる、通算タイトル獲得数新記録が懸かる王座戦、しかも、相手はあの渡辺竜王。その最中に、両者が順位戦で当たるのも凄い。渡辺竜王先勝、羽生三冠が順位戦で勝利、ますます盛り上がる王座戦、目が離せない。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歳時メモ……コスモス、ススキ、蕎麦、セイタカアワダチソウ

2011-09-17 17:33:45 | 歳時メモ
2、3日前から咲きかけた蕎麦畑を見かけるようになった
コスモスがそろそろ見ごろ
1週間前辺りから、ススキの穂が開き始めた
セイタカアワダチソウのてっぺんが黄色く色づき始めた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする