英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『アンフェア the movie 』 ……不覚だった。そして後悔、怒り

2011-09-19 17:30:30 | ドラマ・映画
 テロリスト、ウィルス、占拠……番組欄にそういうフレーズがあったので、とにかく録画しました。ただ、頭の片隅に、「アンフェア……一度、観たような…確か、駄作だったような……いやそれはTV版スペシャルだったかも…いや、病院占拠は観た記憶が…まあ、とりあえず……

 ………嫌な予感はあったのです。不覚でした。あまりの映画の出来に、内容を記憶から抹消していたのを忘れていました(抹消したのだから、覚えていないのも当然?)。二度も観てしまうとは……
 バイオテロ、警察上層部の腐敗、占拠、母娘の愛、自動車爆破、そして裏切りと面白そうな要素をてんこ盛り……要素を盛り込みすぎて消化できずに空中分解した『ブルドクター』を先日まで批判し続けていましたが、映画なのでそれよりも規模が大きい空中分解でした。いえ、「分解」はもともとが一塊(ひとかたまり)だったものに使う表現でした。『ブルドクター』も一塊とは言えませんが、『アンフェア the movie』は本当に各要素を映画という枠にぶち込んだだけ、映画館に足を運んで、料金を取るだけ罪が重いです。
 私がこの映画館でこれを見たら、終了後、「金返せー」と叫ぶに違いない。映画のスポンサーだったら、監督、脚本家などスタッフはクビにしたいです。
 テレビ放送当日に続編映画が封切られたので、それの宣伝だったのでしょうが、確実に逆効果です。新作の出来は知りませんが、本作はTVシリーズが好評だったので、「映画化して面白そうな要素だけ並べておけば客が入る」という観客をなめた姿勢しか感じられませんでした。

 きっちりまとめる気力もないので、いつものように箇条書きで羅列します。
①最初の自動車爆破の意義は?
 爆破の目的は、雪平刑事(篠原涼子)を疎ましく思う(ドラマSPで、確か上層部の極秘情報を入手した?)警察上層部が雪平を亡き者にしようとしたらしい。
 らしいというのはその件を映画で追及しなかった。製作サイドが映画では黒幕と人生背景を同調させる材料にしたかったのと、雪平の娘を爆破に巻き込ませ、テロの舞台となる病院に入院させ、雪平を事件に引き込むのが、真の目的だったようだ。ストーリー上の都合というより、映画興行演出の為のエピソードに過ぎなかった。
 爆破に巻き込まれたベビーシッターは非常に気の毒で、しかもこの事件自体は全く解明されなかった。映像的には、車が炎上しているのだが、炎自体はCGっぽく見えた。
 そもそも、警察上層部って、ほとんどのドラマで腐敗しているが、テレビ局などに抗議はないのかな?それにしても、抹殺するために車を爆破するって、危なすぎ。

②意味不明な看護師の死
 占拠の際、派手に暴れまくったテロ集団だが、死亡した被害者は雪平の娘を逃がそうとした看護師ひとり。
 他の人は無事解放したので、無理に逃がそうとしない方が良かったのでは?逃がした娘はバイオテロに巻き込まれ感染してしまい、看護師本人もテロリストに射殺されてしまった。勇気ある行動が仇となってしまった。そもそも、「事件を目撃されたから、射殺した」と言っていたが、それだけの重要な場面を目撃したとは思えなかった

③意味不明の警察病院
 テロに備えたシェルター張りの要塞らしいが、下水道みたいなところから簡単に侵入できる。その上、細菌兵器を研究、或いは、保管している割には、研究員や警護員は全くいない。扉などのセキュリティーも甘過ぎた。
 さらに、警察庁長官も入院(手術)していた割には、まったく関係者(警護)も見当たらなかった。

④凄い偶然で感染してしまった雪平の娘
 看護師(加藤ローサ)の決死の行動のおかげで、病院に取り残された(ウィルス室の階まで降ろされてしまった)。目を負傷していたため、壁伝いに歩き、手で壁を触っている拍子に扉のスイッチを押してしまい、ウィルス室に入ってしまった。
 しかし、それからしばらくすると何故か視力は回復していた。
 凄い偶然の結果、しかし、製作サイドの都合により強引にウィルスに感染させられてしまった雪平の娘だった。

⑤まるでコント
 バイオテロのため、ウィルス保管室に侵入し、ウィルスと抗血清を手に入れるテロリスト。
 防護服にグローブで、危なっかしそうな動作で、ウィルスの瓶(試験管みたいなもの)を落とすんじゃないかという期待を見事に応えてくれた手下(成宮寛貴)。
 しかも、慌てて机の角で防護服を破いてしまう。ボスともう一人の手下、そして成宮の三人が慌てまくり、部屋の机からガムテープを取りだし、破け目をガムテープで補修しようとしていた。
 ………ドリフのコントかと思った。バイオ兵器とのウィルスの瓶がそんなに割れやすくていいの?それを、落として、防護服を破き、ガムテープで補修って………

⑥テロリストリーダー(椎名桔平)はどこから
 地下と思われる所から特殊車両に乗ってリーダー登場。偽装によって第1SAT隊が侵入したのは分かるが、彼はあれだけの車に乗ってどうやって極秘に侵入したのだろうか?

⑦第2SAT隊、弱過ぎ
 待ち伏せされていたとはいえ、音と光だけ(映像なし)で、数秒でせん滅させられる。シーンがないのは手抜き?それとも予算がない?

⑧内通者(裏切り者)の伏線だが
 雪平と一緒に侵入した検視官・三上(加藤雅也)、車爆破の直前、「車はやめた方が良い」と忠告。第2SATせん滅の直後、テロリスト達に見つかり、雪平を逃がすために囮になるが無事、雪平の安否を確かめるために雪平と連絡を取り、ロビーで落ち合う連絡を取るが、テロリストに待ち伏せされる。その時、テロリストの一味・蓮見(濱田マリ)が「薫ちゃん(三上)も使えないなあ」と呟く。
 結局、最後まで雪平と共に闘うが、疑惑が残る。次作に持ち越しか?

⑨けっこう間抜けな雪平
 テロリストを自分の携帯のアラームを鳴らして誘導し手刀で倒すが、ホッとしたところでもう一人に銃口を後頭部に当てられてしまう。二人いるのを確認しているのだから、アラーム音を鳴らしたら当然二人目にも気を張らないと。

⑩主人公の特権
 ⑨の大ピンチで、ぼこぼこに殴られるが、なぜすぐに殺さないのだろう。そうこうしているうちに、公安の上司・斉木(江口洋介)に救われる。まさに、主人公特権。

⑪超能力でバイオ爆弾を発見
 何の情報もなくバイオ爆弾の位置にたどり着く、凄いとしか言いようがない

⑫小賢しいカウントダウン
 バイオ爆弾解除の際、緑のコードを切った時、残り1分4秒でカウントダウン表示が消え、電源が切れたように見えた。一瞬ほっとする。しかし、再びカウントダウンが始まる。これって、単に視聴者をぬか喜びさせる演出?
 斉木も一本ずつコードを切っているだけのように思える。コードの色で切る順番があるのかもしれないが、淡々と、勿体ぶって切っているだけ。お約束通り残り3秒で解除。

⑬意外に痛みに弱い雪平
 雪平が腕を撃たれる。腕を撃たれただけなのに、瀕死の重傷のように歩くのがやっとという状態になる。しかも斉木も「この傷じゃ、感染病棟にたどり着く前に死ぬぞ」って、大げさ。
 斉木に傷口付近を縛ってもらうだけの治療で回復。意外と不死身?

⑭意味不明の裏切り
 蓮見が本性を表し、テロリストを裏切り金を奪って(口座操作)仲間を射殺、その蓮見の相棒の斉木が蓮見を射殺、さらに、斉木の真の協力者だったはずの後藤も撃つ。
 「正義に犠牲は付き物だ」という訳のわからない言葉を残す。
 いや、本当に訳の分からない斉木。
 蓮見が信用できないのは理解できるが、後藤を殺す理由が分からない。一応、奪った80億円を犯罪被害者団体に寄付したらしいが、後藤を殺す必要があったのか?
 それに、銃を向けたのを一旦降ろして、また撃つ。アンフェアと言えばアンフェアだが、⑫と同じ小賢しい演出。
 後藤と斉木が結託していたのなら、⑪のバイオ爆弾発見、⑫の斉木がバイオ爆弾を解除出来たのも一応納得がいく。バイオ爆弾は脅しのネタで、爆発させるつもりはなく、回収して切り札に使う。
 本来ならテロ側と警察側にそれぞれがいて、うまく金を奪う手筈で、脅しが上手くいかなくても、蓮見がハッカーの腕で裏金をゲット。それを斉木が回収。
 しかし、雪平の存在がイレギュラーで、斉木が現場に行かざるを得なくなったのだろうか?雪平に協力したのは、雪平が得ていた警察の情報を欲しかったからか?

 ここら辺の説明を是非して欲しい。

⑮おい、そこで撃っちゃあだめだろう!
 斉木に撃たれたものの絶命はしていなかった後藤は、警官隊に囲まれながら、ウィルス容器を振りかざす。しばしの間の後、一斉に発砲。容器を持ったまま倒れる後藤。うわ、割れると思った瞬間、三上がナイスキャッチ。
 ああいうシーンで発砲って、有り得んだろう。馬鹿としか言いようがない。
 ⑫、⑭に続いての小賢しい演出だ。

⑯最後の小賢しい演出
 命からがら娘のところにたどり着き、抗血清を打つ。しかし、その後、娘の意識が途切れ、「目をあけて、美央」と叫ぶシーンが1分30秒弱続く。
 ハラハラさせた後、美央が意識を取り戻す。最後まで、アンフェアな小賢しい演出だった。

⑰最後までアンフェア
 ビルの屋上で対峙する雪平と斉木。
 一応の心の内や目的を説明する斉木だが、お互い銃口を向け合うこととなり、最後の緊迫シーン。「私は撃てますよ」と言い、斉木が発砲する。しかし、雪平は「あなたのやり方は復讐の連鎖を生むだけ」と言って銃口を下ろす。その後、4発連続して斉木が発砲。しかし、倒れたのは斉木。
 斉木は雪平を撃つつもりがなかったのか、それとも、下手くそだったのか?敵を見つけて、発砲したのだろうか?
 斉木を撃ったのは誰なのか?謎を残して終了。
 キャッチコピーは、「雪平夏見、最後の事件」・「信じられるのは、自分だけ」だったはず。最後の事件じゃなかったのか!最後までアンフェア。
 そもそも、なぜ、雪平は撃たれないのか?

⑱雪平の魅力
 この事件では、雪平の魅力が全く感じられなかった。人間性もそうだし、活躍もしなかったし。

⑲タイトルを免罪符にしている
 このタイトルが卑怯。これを免罪符に、何をしても許されると思っているらしい。
コメント (6)
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