英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『20連覇ならず、王座失冠』のコメントの返答①

2011-09-29 17:24:30 | 将棋
 9月28日記事『20連覇ならず、王座失冠』に、コメントをいただきましたが、その返答が長くなりそうなので、新たに記事を立てることにしました。

 ★勝手さん、いつもありがとうございます。
【以下、勝手さんのコメント】
アマ的には、第2局の相掛りは羽生前王座が勝つもの(事実、勝ちの局面もあったよう)と思っていて、英さんが言うほど悪い将棋の造りとも思えませんでした。第3局は終盤猛烈に追い込んだものの、やはり飛車2枚の攻めが細く、受け切られた感が強いです。あの竜王戦の激闘以来、確かに攻め合いではまずいという印象があるのかも知れません。しかしながら、あの大逆転の竜王戦も出だしは3連勝でしたから、それまでの戦略は間違っていなかったようにも思えます。確かに、どこかで方向転換を余儀なくされた印象ですね~。
個人的には、渡辺竜王の将棋は狭い・局地戦での強さが際立っていて、全体的な構想力という点では羽生2冠にはまだ及ばない気がしていますし、その辺が、渡辺将棋が今少し人気を博さない原因ではないかと思っています。(谷川九段の将棋は、明らかに華があった)

ただ、終盤の競り合い・見切りは確かに強いですね~。これは認めざるを得ないですね。

【コメント 了】

 第2局についてですが、「英さんが言うほど悪い将棋の造りとも思えませんでした」……ええ、将棋自体の形勢については、羽生二冠のほうが有利な別れだったというのが大方の見方です。
 ただ、『週刊将棋』によると、渡辺竜王は「桂得してまずまずと思ったが、その後の指し方がまずかった」と述べています(具体的にどうまずかったのかは分かりません)。
 図面を省いて申し訳ありませんが、渡辺竜王が△6二飛と大捌きを狙った手に対し、▲7四歩△同歩と突き捨て、後手角の8五への飛び出しを防ぎ、▲8四角に△6一歩と飛角交換やむなしと受けさせた辺りでは羽生二冠優勢と見られていたようです。
 ただ、桂損を相手の歩切れでバランスを取るのが通常なのに、突き捨てたことにより歩を与え、後手は歩に関しては一歩損であるものの歩を2枚手駒にさせたことは、気分的に嫌なものを感じます。
 さらに、後手が6二に飛、6三に角、先手は6四に飛、6五に桂と駒が接近しており、一触即発状態であるので、桂損を模様の良さでバランスを取る意図の先手にとっては、かなりのプレッシャーになったと考えます。その結果、飛車角交換に踏み切って決めに行ったものの、実際は決まらず苦境に陥ってしまった。
 ただ、正着を指したとしても、かなり難しい変化を読み切らなければならなかったようで、微差だったように思います。△3七歩と金頭を叩く手に対し、玉とは逆方向に2八にかわすのが正解。この手を飛車切りの段階で読めずに本譜の順を選んだようです。ただ、プレッシャーを感じていなければ、飛車切りに危惧を感じ、逆に2八に金をかわす手を読み切っていたような気がします。
 意欲的に動いて先行したものの、ぎりぎりの差を維持するのにぎりぎりの攻めをつないでいかなければならなくなった。このような将棋のつくりを選択したことに不安を感じたのです。それが、渡辺竜王に対する苦手意識によるものなのか、積極的な棋風に転換していこうとしているものなのかは分かりません。
 勝手さんも「竜王戦の激闘以来、確かに攻め合いではまずいという印象があるのかも」「どこかで方向転換を余儀なくされた印象です」とおっしゃっているので、対渡辺竜王戦の戦略の変化は私の気のせいではないようです。
 あと、渡辺竜王の将棋については、局地的な強さ(受け・詰みや受けなしの見切り)もありますが、「この傷を抱えたままでは勝てない」とか「この駒を働かせないと勝てない」といった戦略的方向性に基づいた定理や公式による読みの効率の良さと深さが、竜王の強さだと考えています。
コメント (2)
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