英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第40期女流名人位戦 システム変更

2012-07-14 17:24:51 | 将棋
将棋連盟サイトから第40期女流名人位戦のシステム変更が発表された。

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 2013年1月から始まりますユニバーサル杯「第40期女流名人位戦」(主催・報知新聞社、公益社団法人日本将棋連盟、特別協賛・株式会社ユニバーサルエンターテインメント)より女流棋士のなお一層の棋力向上を目指し、「女流名人位リーグ」(1リーグ制・10名)と予選から成るシステムに変更することになりました。

 これにともない、現在進行中のユニバーサル杯「第39期女流名人位戦」A級・B級リーグの降級者人数とあわせて下記の通り変更。

第39期
*A級リーグ(10名):降級者 3名→6名
*B級リーグ(10名):昇級者 3名 ※変更なし、降級者 5名→7名
※第39期をもって、B級リーグは休止。
第40期
*A級降級者6名、B級降級者7名、ほか26名、計39名(予定)による予選(3枠)を行い、各優勝者が昇級。
*A級リーグを「女流名人位リーグ」と名称変更、第39期A級残留4名、同B級昇級3名、第40期予選昇級3名、計10名でリーグ戦を行い、最上位者が第39期女流名人に挑戦。降級者は5名。
第41期
*予選は5枠で行い、各優勝者が昇級。
*女流名人位リーグ残留5名、予選昇級5名、計10名によるリーグ戦。
最上位者が第40期女流名人に挑戦。
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 B級を廃止し、10名の挑戦者決定リーグ戦(「A級」という言葉も除かれる)で、優勝者が挑戦、成績下位5名が降級。ただし来期は一斉予選なので、従来B級に落ちたら、1年かけてリーグを戦い昇級する必要がない(A級から降級すると名人に挑戦するには最低2年必要だった)。
 予選の参加資格があれば女流名人に挑戦は可能になった。スピーディになったと言えるが、重みがなくなったとも考えられる。

 それはともかく、39期は既に始まってしまっており、今回の変更には不自然さを感じる
 来期(40期)から予選勝ちあがりのリーグ参加者を設けたかったせいか、今期のA級降級者は過半数の6名。今期降級しても来期に復帰可能とは言えるが、やはり残留はしておきたい。となると、かなり厳しい残留争いになる。
 順位最下位で現在4戦全敗の室田女流初段は、残留は絶望的状況(残り5戦を全勝して、他のメンバーが5敗するよう都合よく負け星が配分されれば残留できる)に陥ってしまった。
 来季は予選勝ちあがりを設けず、今期のA級残留(昇級)は、従来通りA級降級3名、B級からの昇級3名として、その10名でリーグ戦を行う方が自然のように思う。

 さて、リーグシステム変更の理由だが、「女流棋士のなお一層の棋力向上を目指す」とのこと。今期の6名降級、来季から5名の降級という点に着目すると、より厳しいシステムとなり、棋力向上が期待できる気がする。
 しかし、全体の制度が厳しくなったかは疑問である。B級がなくなったことにより、予選参加の資格さえあればタイトル挑戦の可能性が生じた。上記と重複するが、リーグ陥落しての復帰がしやすくなった(時間的に)
 それと、意識の問題もある。現状では、A級、B級、その他という格付けがされているが、リーグ在籍者(5名、あるいは10名)とその他というランクしか存在しない。ランクの意識としては緩くなるように思う。

 さらに、B級リーグをなくすことで、リーグ参加者以外は対局数が減ることになる。
 女流棋士の棋力向上という観点から言うと、この対局減はかなりのマイナス要素だと考えられる。
 昨年度の女流棋士52名のうち、12局以上対局があったものは半数以下の25名。5割以上の棋士が月1局未満の対局生活である。これではプロとしての存在意義があるのだろうか?
 連盟が「女性棋士は望んでも、女流棋界がいらない」という方針ならこれでもいいと思うが、もし、女流棋界の発展を望むのなら、もう少し援護が必要だ。これから女性で棋士になろうと志す者は、正棋士や女流のトップを目指すと思われるので、今回の改正は小事かもしれない。
 ただ、女流棋士としての職業を紹介する時に年に数局では夢を語れない。もう少し、連盟も大局的な視野を持った方がいいように思う。
コメント
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