英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『双曲線』中田章道七段作 解答

2012-07-12 21:02:52 | 詰将棋
7月6日記事『双曲線』中田章道七段作の解答です。


 初手、▲2八金や▲4八金は△4六玉で詰みません。また、▲3四飛もやはり△4六玉で詰みません(△3五銀打でも詰みません)。どうも、4六に玉を逃がすと駄目なようです。
 そこで、初手▲3七金(変化1図)が有力になります。


 この手に対して△2五玉は、▲2四飛でも▲2六金打でも詰むので△3五玉(変化2図)と逃げます。


 変化2図で▲3六飛は△同飛で詰みません。また、▲2六金の開き王手も、またもや△4六玉で詰みません。
 そこで、開き王手の前に▲4六金打と捨てれば、玉が4六に逃げられなさそうです。変化2図より▲4六金打△同飛▲2六金です。

 しかし、これはぬか喜びで、玉方は▲4六金打に対し、△4六同飛ではなく当然△4六同歩と取ります。▲2六金(失敗図)としても、4五に逃げられてしまいます。

 ならばと、変化2図に戻って、

2五に金か飛車を捨てて玉を2五に呼び込めば、何とかなるような気がしますが、▲2五飛は△3四玉と逃げられてしまいますし、3四に逃がさないようにと▲2五金は△同玉で、この時、持駒に金が残っていれば▲2六金打で詰みますが、あいにく飛車しか残っていません。▲2六飛だと△1五玉とされてしまいます。……[惜しい筋]


 初手▲3七金は失敗に終わりました。とは言え、方向性は正しく、実行するには一工夫が必要だったのです。 


 3六に金を出る前に▲2六飛と捨てるのが、工夫の第一弾。

 上記の青字の部分の[惜しい筋]を踏まえて、この段階で2六に飛車を打っておけば△同飛と応じるよりありません。


 2五に飛車を呼ぶのは上記以外の目的もあるのですが、それは後に明らかになります。
 それはさておき、ここで念願の?▲3七金を実行します。


 これに△2四玉は▲2六金で詰むので、△3五玉と逃げます。


 ここで、喜んで▲2六金と飛車を取ると、△4六玉と逃げられてしまいます。また、▲3六飛も△同飛▲同金△3四玉で詰みません。さらに▲4七金も△3六歩で詰みません。
と、ここまで考えると、玉方の2七の飛車がよく利いて邪魔なのに気がつきます。
 そこで、▲2五金と捨てます。


 ここで△2五同玉は攻め方の思惑通り▲2六金で詰むので、△2五同飛と取ります。取れる飛車を取らずに、金まで与えてまで逃がしてしまうのですが、これぞ詰将棋の醍醐味ですね。


 いよいよフィニッシュです。▲4七金!


 先の金捨てで、飛車を2五に呼び込んだため、合駒が利きません。また、2五に飛車がいるため玉を2五にかわすこともできませんね。

 初図から詰め上がり図まで、先手の金と玉方の飛車の動きを追っていくと、面白い動きをしているのに気づきます。そう、双曲線のような動きをしています。
コメント (2)
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