英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015~16 A級順位戦最終局 その1

2016-03-08 17:20:48 | 将棋
 ドラマレビューにしろ、観戦記事にしろ、観た時の熱が残っているうちに書かないとダメなようです。
 まあ、そんなことは、学生時代の宿題(レポート)で嫌という程体験していますが……

 先ごろ、「将棋界の一番長い日(午後10時現在)」「将棋界の一番長い日、終了」を書き、余力があれば書こうと思い、図面だけは準備しました。
 ところが、≪準備した≫という安心感のせいか、ずるずる先延ばしして今日に至っています。「Wリーグや連続ドラマのレビューに追われ、後回しになってしまった」という言い訳が立ちますが、いざ、書き始めてみると、やはり、時間が経つと、その時の熱も冷め、考えていたこと感じていたことも、忘れかけています。『鉄は熱いうちに打て』『記事も熱いうちに書け』ですね。

▲佐藤康光九段-△渡辺明竜王
 横歩取り戦で、後手が7二銀型から△2四飛と飛車交換を挑む将棋で、横歩取り戦では新しい指し方で、もっともよく見かける戦型のように思う。
 ただ、端歩や先手の右翼の金銀の構えなどの組み合わせが色々あるらしい。本局は先手の3八金型に対し、後手から△1四歩(この局面は過去に10局)と端歩を突き、先手も▲1六歩と応じている。
 △2三銀▲9六歩△9四歩▲4八銀に、渡辺竜王が≪頃は良し≫と△2四飛とぶつけ、佐藤九段が飛車交換に応じ、1筋の付き合いを利用して▲1一飛と打ち込む将棋となった。

 やや強引な佐藤九段の攻めに対し、渡辺竜王も自陣飛車の強防。1筋のやり取りの間隙をぬって△2六歩▲2八歩と利かせたのも大きそうだ。

 この後、手が進み、第2図。

 敵陣に居る飛車を囲う?不思議な形。
 飛車でなく玉なら、敵陣穴熊で必勝かもしれないが、飛、金、成桂の効率が悪く、金か成桂のどちらかがいない方が嬉しいという重い状態。

 第1図から佐藤九段が予定通り▲2二角成△同飛▲3一金と力尽くの攻めを行ったのに対し、渡辺竜王の△4二銀が巧い手で、以下▲2一金△3二飛▲2四桂△3四飛▲1二桂成と駒得はしたが、渡辺竜王が“柳に風”と受け流し、佐藤九段が注いだ力が空回りした図となっている。

 以下は、佐藤九段の必至の肉薄を、渡辺竜王はきっちり読み切る。

 第3図の3四で当たりになっていた飛車を△3三飛と引いて龍にぶつけた手が決め手で、▲同龍△同歩と後手が飛車を手にした瞬間、先手玉が詰めろになる仕組み。かと言って、▲3三同成桂では詰めろにならず△7九馬で手勝ち。佐藤九段は▲6五桂と詰めろを掛けたが、△4三飛と桂馬を手が“詰めろ逃れの詰めろ”で、▲4三同龍に△6六桂で佐藤九段の投了となった。

 以下は▲6六同歩に△6七角▲同玉△7九と▲5八玉△6九銀▲4九玉△6七馬▲3九玉△4九金までの詰み。途中の△6九銀がやや見えにくい。2筋を利かされたのが大きかった。
コメント
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