英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

15-16 Wリーグ プレーオフ・ファイナル 第3戦

2016-03-16 23:25:27 | スポーツ
両チームの気迫がぶつかり合った好ゲームだった。
 互いの長所を出し、また、それを抑え込もうとするせめぎ合い、
 勝負の流れも押し引きがあったが、高いレベルのプレーを維持し続けるチーム力を持つJXが押し切った。




 第1Q、富士通は、町田、三谷の3Pシュートと篠崎のペネトレイトと、前試合に引き続き、良いオフェンスを展開。JXは、ペイントを封じられていたが、岡本のペネトレイト、吉田のジャンプシュート、渡嘉敷のリバウンドからのシュート(バスケットカウント)と個人のポテンシャルで追撃、JX7-8富士通(2分15秒)。
 この後、富士通が2度、JXが1度、オフェンスが成功せず、やや停滞。均衡を破ったのは岡本のドライブシュート(3分28秒)。さらに富士通・佐藤のシュートが外れた後、JX・間宮がドリブルしながら押し込むパワープレーでねじ込み、11-8(4分9秒)。
 さらにこの後、篠崎のやや強引なジャンプシュートが外れ、すかさずJXがファストブレイク。吉田から間宮に絶妙なアシストパスが通り、イージーシュート。しかし、これが外れてしまう。
 このミスの後、連続ではないが富士通・三谷が3Pシュートを2本沈め、JX11-14富士通(5分50秒)。流れがJXに行きかけてただけに、間宮のミスと三谷の活躍の落差は大きい。しかも、例によって、三谷の3Pシュートは1本目はかなり遠い位置から、2本目は、虚をつくタイミングで放たれたものだった。
 しかし、JX・吉田、嫌な流れを断ち切るかのようにジャンプシュートを決める(13-14、6分11秒)。吉田はゲーム開始1分、三谷に3Pシュートを決められ2-6となった直後にもジャンプシュートを決め、流れを押し留めていた。
 さらに、吉田がドライブシュートでファールを誘い、フリースローを2本沈め、15-14と逆転(6分45秒)。

 ここで富士通、山本、篠原を投入(長岡、佐藤がアウト)。JXは吉田、大沼を下げ、宮崎、中村をコートに。第2戦で爆発した山本、このゲームでも暴れられるか?
 この後、やや膠着状態。3分20秒間でJX・宮崎のドライブ1本のみ。富士通はシュートが外れ、JXは攻めあぐねている感。そこで、JXは吉田を2分間休ませたあとコートに復帰させていた。
 9分38秒、ファストブレークで吉田からペイント中位にいた間宮にパス。間宮がターンシュート、19-14。
 富士通は、スクリーンを利用してゴール下でフリーになった山本にパス。振り切られかけた中村がチェックしたが、ファール。山本が2本フリースローを決め、JX19-16富士通(9分54秒)、そのまま第1Q終了

JX………吉田6点、岡本4点、間宮4点、渡嘉敷3点・8R、宮崎2点
富士通……三谷9点、篠崎5点、山本2点、町田アシスト3本、3R
 JXのオフェンスは良いとは言えないが、個人のポテンシャルで繋いでいる感じ。吉田の要所でのポイントが光る。岡本も鋭いドライブを2本決めて気合を感じた。ディフェンスはきっちり守っている。3Pシュート4本決められたが、仕方ないシチュエーションだった。
 富士通は、3Pシュート(4/6)は好調だが、2Pは1/10と決まっておらず、リードして前ゲームの流れを強調したかったが、3点ビハインドで済んだのは上出来だったかもしれない。ディフェンスはよく守っていた。



 第2Qは守り合い。お互い決め手を欠くなか、富士通・篠崎のドライブが切り裂く。さらに、山本が中村のしつこいマークをかわしてのドライブを決め、JX19-20富士通、逆転(2分34秒)。
 しかし、JXも渡嘉敷が遠目のジャンプシュートを決め、流れを渡さない(2分53秒)。
 さらに、吉田スティールの後、間宮のスクリーンを利用して岡本がサイドステップしての3Pシュートを決め、24-20(3分19秒)。

 この後3分強、JXは吉田、宮崎、大沼、宮澤、渡嘉敷がよく動き、富士通のオフェンスを封じ、攻めてはオフェンスリバウンドで繋ぎ、宮崎(3P)、大沼、宮澤がシュートを決め、JX31-20富士通(6分58秒)と引き離す。
 町田にドライブを返されたところで、JXタイムアウト。
 吉田と渡嘉敷を下げ、岡本と間宮を戻す。タイムアウトの指示は、
「点数を取らなくてもいいから、相手に取らせるな。イーブンで良い。
 慌てて攻める必要もないし、ギャンブルする必要もない。
 ちゃんと時間を使って、プレーすること」

 吉田と渡嘉敷を休ませるのが第一で、現状維持で前半を終えればいいということだろう。

 しかし、宮崎、再開12秒でドライブシュート。確かにトップから左側ががら空きだったが、これは富士通が誘ったディフェンスで、しっかり寄せられて阻まれてしまった。
 吉田、渡嘉敷はいないうちに点差を詰めたいところだが、町田から篠崎へのパスが合わずターンオーバー。
 直後のディフェンスを激しく守ったが、パスを回されて岡本が3Pシュート、JX34-22富士通、8分10秒。
 富士通・篠原、JX・宮澤が入れあった後、富士通・山本のシュートが外れたのに対し、宮崎→間宮のファストブレークが決まり、38-24(9分12秒)。
 町田がドライブを返して、JX38-26富士通で第2Q終了
 タイムアウト後はJX7-4富士通と、JXの思惑以上の展開だった。
 
 第2Qの明暗を分けた大きな要因はリバウンド。JX11本(オフェンスリバウンド5本)に対し、富士通は5本(オフェンスリバウンド0)。富士通がリバウンドで劣勢になるのは覚悟していたと言え、これではさすがに苦しい。
 また、アシストもJXの6に対し、富士通は1。ターンオーバーも5。富士通のオフェンスが機能していなかったことを示す数字だ。武器の3Pシュートも、このクォーター序盤に三谷が2本打てただけで、0/2。
 多少難があるが、JX・中村のしつこく激しいディフェンスが利いたように思う。



 第3Q。後半開始早々、吉田の3Pシュート。大沼のスティールから岡本の3Pで、一気に18点差に(JX44-26富士通、31秒)。

 ここで、≪レビュー記事は、ここまでで、あとは、スコアだけで記すだけでいいかな≫などと思ったが、とんでもなかった。

 このあと、富士通も得点できなかったが、JXは大沼、岡本、間宮、大沼、間宮と続けてシュートが入らない(オフェンスリバウンドを2回とっているので、オフェンスターンは3度)。少し、心に隙ができたのであろう。ここら辺りでタイムアウトを取るべきではなかったのだろうか?
 2分30秒、町田が3Pシュートを決めたが、吉田がファールをもらいフリースローを2本決め、46-29(2分51秒)。
 富士通オフェンス、コーナーに開いた長岡が3Pシュート。JXのゾーンディフェンスの弱点を突いたオフェンスだった(46-32、2分51秒)
 JXオフェンス、パスの精度が悪く、最後は吉田と渡嘉敷が息が合わず、アウトオブバウンドのターンオーバー。
JX、タイムアウト。
「ドライブしてキックアウト。横に逃げてはダメ。横にパスを出すな」という指示。

(試合内容と関係ないが、公式サイトの『プレイ・バイ・プレイ』だが、町田の3Pシュートが決まったタイムが17秒遅くなっていたし、長岡の3Pシュートが三谷になっていた)


 タイムアウト明け、互いにオフェンス不成功の後、富士通・山本がサイドの3Pライン付近からジャンプシュート(2P)決める。対してJX、間宮がボードのマイナス角度からジャンプシュートを入れ返す。48-34、5分12秒。
 さらに、町田に対し吉田と間宮がダブルチーム、苦しいパスを岡本が難なくスティール。JXのオフェンスはバタバタしたが、24秒オーバータイム寸前に、吉田が跳び上がってジャンプシュート(ジャンプシュートだから“跳び上がる”のは当たり前だが)。(50-34、4分53秒)
 タイムアウト時の指示が功を奏したのか、16点差に戻し、再びJXペースかと思えたが、町田がスルリとドライブを決め、50-36(5分12秒)。
 渡嘉敷のジャンプシュートが外れた後、富士通・長岡とJX・間宮がペイント内で1対1。長岡が弧を描くようなパワードライブでシュートを決め、50-38。一桁点差が見えてきた(5分55秒)。
 JXのオフェンスは、ボール保持者以外のプレーヤーが、見てしまっている状態になり、24秒オーバータイム。
 富士通は、長岡の3Pシュートのこぼれ球を繋げ、インアウトパスを受けた山本が3Pシュートを沈め、JX50-41富士通、9点差(6分43秒)。
 このプレー、リバウンドの後、ゴール下でボールを持った篠崎に、中村がプレッシャーを掛けに行ったが、篠崎には岡本がマークについており、中村が寄せる必要はなかった。中村が寄せたため、山本が完全フリー、しかも、真正面からパスを受ける絶好のシュートシチュエーションとなってしまった。
 『JXの24秒オーバータイム』→『オフェンスリバウンドを繋がれての山本の3Pシュート』とJXにとっては痛いプレーの流れである。

 ここで、吉田を下げ、宮崎をコートに入れ、流れを変えようとするが、間宮と中村の意思の疎通が不十分でパスミスとなり、ターンオーバー。間宮と中村を下げ、大沼と宮澤をコートへ。
 しかし、佐藤をマークしていた宮崎がスクリーンに阻まれ、リング下でパスを受けた佐藤が楽々シュート、JX50-富士通43、7分17秒。
 ここで、JX・宮澤がフリーの状態でパスを受けミドルシュート、52-43(7分33秒)。今度は宮澤をマークしていた長岡が、宮澤を見失っていた。
 富士通はめげない。町田のドライブからのキックアウトパスを長岡が3Pシュート。JX52-46富士通、7分52秒。
 JXも、宮崎がドライブシュートを決め対抗。しかし、富士通の勢いは止まらない。山本が早いタイミングで3Pシュートを決め、JX54-49富士通、ついに5点差!(8分22秒)
 JX宮崎も早いタイミングで3Pシュートを放つが入らない。この場面で3Pシュートを迷いなく打てるメンタルは評価できるが、ポイントガードとしてはどうだろうか? レギュラーシーズンの3P成功率は35%以上あっても、プレーオフに入ってからは15%と確実性がないのである。
 富士通オフェンス、長岡が切れ込んでサイドの山本へキックアウトパス。“やられた”と云うシチュエーション!しかし、これが外れ、渡嘉敷が保持。宮崎がドリブルで運ぶが、前を走る三谷の踵にぶつけ、ターンオーバー。
 富士通、三谷が切れ込んで、サイドの長岡にパスをするが、これが逸れてターンオーバー。
 残り28秒で、吉田と間宮を戻し(宮崎と宮澤がアウト)、このクォーター最後のオフェンスに臨む。吉田が果敢にドライブシュート。両チーム、リバウンドを競り合うが、こぼれ球を吉田が保持し、今度は3Pシュート。しかし、これも外れ、リバウンドを捕った間宮がクイックジャンプシュート…これも外れ、第3Q終了。JX54-49富士通。

 このクォーターは、出だしからJXが良いバスケットを展開し、リードを広げこのまま快勝する流れだったが、控え選手の若さが出てしまった。
 5分18秒、50-34の場面で、宮澤に代え中村をコートに入れた。これは、中村の運動量で富士通のオフェンスを押さえようという意図。
 しかし、中村が下がる7分7秒までの2分弱の間では、0-7。これは単なる巡り合わせかもしれない。ディフェンスに関しては、先述した山本をフリーにした以外は大きなミスはない。オフェンスもターンオーバーはない。しかし、ディフェンスに関しては、その運動量ゆえ、ボールを追い過ぎで無駄な動きが多く、オフェンス面では他のプレーヤーとの連係が出来上がっておらず、彼女だけが浮いてしまい、オフェンスが停滞する。富士通5人に対しJX4人で攻めている感があるのだ。
 吉田の代わりにコートに入った宮崎はスピードは非常にあるが、それゆえ、≪自分がやる≫という意欲が強すぎる。それと、コート全体を見る目がない。6分53秒、50-41と流れが悪い中で起用されたが、9分32秒までの2分40秒間は、4-8と劣勢。ゲーム展開から覚悟の範囲内とも考えられるが……
 佐藤HCは、宮崎のスピードを買っていて、吉田にはないオフェンスパターンを期待しているようだが、彼女の起用のタイミングを間違えた。起用するなら、この第3Q開始早々、JXがスパークして18点差をつけた場面か、その後、オフェンスが停滞してしまった時であろう。宮崎ではなく、山田を使うという選択肢もあったと思うが。

 富士通は、点差をつけられても気持ちを切らさず、よく追撃した。3Pシュートを絡めたオフェンスは爆発力がある。3Pシュートは5/9。リバウンドは8対8の互角。アシストも7本と増えた(JXは3本)。


 第4Q、JX大沼がサイドからミドルシュートを決め、56-49(18秒)。
 富士通・三谷がドライブシュートを試みるが、間宮が上手く体を寄せ、阻止。吉田のジャンプシュートが外れ、今度は長岡がドライブを試みるが、またもや、間宮が密着、長岡がトラベリング(岡本も寄せていた)。
 次の得点をどちらが挙げるかが、大きそう。吉田が、富士通ディフェンスのエアポケットを突くかのようにドライブで切り裂くが、外してしまう。このリバウンドルーズボールに跳び込んだのが大沼と吉田。ラグビーのモールような状態から、ゴール下の渡嘉敷に渡り、簡単なバンクシュート。58-49(1分28秒)。
 次の富士通のオフェンス。ミスマッチになり山本に対した間宮がうまく防ぎ、24秒オーバータイム。この第4Q、間宮の守備が光る。
 富士通、タイムアウト。(1分57秒)
「時間がなくなった時、この人とこの人(三谷と長岡)にドライブまかせたらダメですよ。ドライブできるのはこの3人(町田、篠崎、山本)じゃないですか!(三谷と長岡には)申し訳ないけど」
 思わず、笑ってしまった。

 JXのオフェンス。今度は長岡が間宮のドライブを止める。しかし、篠崎が岡本を振り切ってのドライブを渡嘉敷がブロックシショット!
 ファストブレイクで吉田のドライブが外れたところを渡嘉敷がリバウンドからバンクシュート。バスケットカウントの3点プレーとなり、JX60-49富士通(2分32秒)
 富士通も三谷の3Pシュートで反撃するが、ペイント外でパスを受けた渡嘉敷が力でドライブを決める63-52(3分7秒)。
 富士通・長岡が3Pシュート!町田のペイント内からのナイスパス。3Pシュートの威力で、じわっと点差を詰める。63-55、3分31秒。
 やや膠着状態が続いた後、エンドラインからのスローインをコーナーで受けた大沼がジャンプシュート(2P)を決める。65-55、4分20秒。大沼には“仕事人”の称を与えたい。
 ペイントゾーンへドライブした長岡から篠原へパス。篠原が落ち着いてジャンプシュート。65-57、5分5秒。
 JX、ポストアップした渡嘉敷から大沼へパス。ジャンプシュートが外れ、富士通、篠崎→町田→篠崎とサッカーで言う“壁パス”を通したが、ボード付近で篠崎の足がもつれ、ターンオーバー。この辺り、両チームの気迫や技がぶつかり合う、見ごたえある攻防だ。
 残り4分20秒。JX、吉田がドライブを見せるが篠崎が好守で阻む。岡本にパスが回るが、やむなく打ったような3Pシュートはリングに弾かれる。これを渡嘉敷が跳び込んでそのままシュート!バスケットカウント。3Pプレーとなり、68-57(6分0秒)
 富士通・山本のドライブでファールをもらい2スロー。これを1本外し、68-58、6分16秒。
 富士通、オールコートでプレスディフェンス。しかし、JX、これを掻い潜り、ファストブレーク、大沼が決め、70-58((6分21秒)。
 富士通、24秒オーバータイム寸前に町田が3Pシュートを放つが外れる。JXはパスを回して吉田が3Pシュート。これも外れ、今度は富士通、町田と三谷のコンビで三谷がフリーで3Pシュート。しかし、これが惜しくもリングに嫌われ、70-58のまま。残り、2分25秒、12点差。
 ここで、岡本がフローターシュート。14点差、残り2分。

 タイムアウト後、富士通は山本がフリーで3Pを放つ状況を作ったが、これが決まらず。残り1分50秒。
 この後、JXがじっくり攻め時間を消費し、JX72-59富士通。2勝目を上げた。
 

 両チームが戦術を駆使し、気迫と長所をぶつけ合い、また、長所を封じ込めようとした好ゲームだった。
 総合力で上回るJXが第2Q以降、ゲームをリードしたが、富士通も第3Q半ばから見事な反撃を見せ、白熱した。
 両チームとも、序盤から激しく動き、解説の萩原美樹子氏(永田睦子氏だったかも)が、「両チームともガチンコ勝負(気持ちがこもった)で動きが激しい」と終盤のスタミナを心配していたが、それが杞憂だったと思えるほど、両チームとも衰えなかった。
 勝敗を分けたのは、勝負どころできっちり力を発揮できるJXの強さ。特に、要所での渡嘉敷の“リバウンド&シュート”が光った。
 それぞれが「自分の仕事をしっかりする」……当たり前のことだが、なかなかできない。7連覇の底字からを感じさせた。
 富士通も健闘したが、あと一歩、及ばなかった。第2Q、富士通本来のオフェンスができず、その影響で3Pシュートをほとんど放てなかったのが痛かった。
コメント (4)
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