英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015~16 A級順位戦最終局 その5

2016-03-26 21:36:51 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」の続きです。


 「その4」の第3図から50手ほど進んだ第4図、3八に歩を謝らされていたため、3五に桂馬を打たされたところ。この他、3九の金は△2九飛を防ぐため4九の金を寄ったモノ。1九の成桂、9九の成香も先手の苦戦を物語っている。後手、森内九段の勝勢に近い局面だ。

 森内九段は△1八飛▲2七玉を決めてから△2四銀▲3六馬△3五銀▲8一馬と先手玉への包囲網を狭める。
 ただ、△2四銀では一旦△3八香成▲同金と利かせてから△2四銀~▲8一馬と進めた方がよかったかもしれない(先手玉が上部に逃げた時に3八金を飛車で取れるが、金を上がらせたことで金の利きが守備に利いてくるので微妙なところだが、前者の利の方が大きいはず)。

 先手玉は風前の灯だが、先手も攻められながら手駒も増え、馬が8一に行き、後手玉を攻める楽しみも出来てきた。
 よって、決め手図1では変な手だが△7一金という奇手はなかったか?

▲7一馬と金を取れば、△3六銀の一手詰。逃げれば後手玉への脅威がなくなる。△7一金は馬取りと同時に8二にも利いていて▲8二飛を打たせないことも大きい。馬を追い払っておいてから△1五歩と突けば、久保九段の闘志も衰えたのではないだろうか。

 実戦は図から△1五歩▲2八桂と進む。

 ▲2八桂は懸命の頑張りだが、ここで△3六桂が決め手だったらしい。△2八桂成▲同金△1六飛成▲3七玉△2六龍までの詰めろとなっている。本譜と同様に▲3七歩と逃げ道を作るのは△4八桂成と角を取る手が詰めろとなり駄目。△3六同馬が最善だが、こうしておいてから△1六歩で一手一手の寄りであった(△1六歩では普通に△3六銀でもよさそう)



 本譜の△1六歩でも、先手玉は絶体絶命のようだが、▲3七歩と脱出口を開く手がしぶとかった。
 以下△2七桂の追撃が厳しいが、この時、中継サイトの解説欄には、次の記述が為されていた。
「控室の検討で▲8六銀が発見された。▲9五歩△同銀▲8五銀△9三玉▲9二馬の詰めろであり、7七の地点に銀を利かすことで、先手玉の詰めろも逃れている可能性がある」

 
 久保九段は8六ではなく、9六に銀を打った…………
コメント (2)
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