英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その3」

2016-05-09 22:07:24 | 将棋
「その1」「その2」の続きです。

第2戦 対小林裕士七段戦
 先手の浦野八段が角交換をせずに早繰り銀に進めたのに対し、後手の小林裕七段が飛先歩交換後に飛車を8五に引き横歩取り模様で対抗。
 さらに、浦野八段が▲6六歩と角道を止め、陣立ての構想力の勝負へと持ち込むという序盤だった。

 桂交換後、互いにその桂馬を打ち合った局面。次の△8七桂成が受からないが……。
 図以下、▲3四歩△4四角▲4五銀△5三角▲5四銀△4二角▲7四桂△8七桂成▲6二桂成△同金▲7四銀△8四飛▲6三銀左不成△6一金(第8図)と進む。

 先手は桂馬を成りこまれたものの、後手の角を攻めながらズンズン駒が前進した。このやり取りは先手の利が大きく先手優勢。
 しかし、ここで▲8七金△同飛成と成桂を清算(金桂交換の駒損)したのが良くなかった。
 ▲7八銀と引けば龍当たりで先手が取れ▲5五桂や▲5三桂で攻める計算だったが、△7七桂▲6八玉に△6七歩が痛打だった。▲8七金は飛車を成り込ませ、後手の攻めを加速させてしまった。

 ▲6七同金は△6九金▲同銀△同桂成▲同玉(▲5八玉は△7八龍がある)△6七龍で敗勢なので、△6七歩には▲同玉と取ったが、△7六龍と王手で龍に逃げられ、以下▲6八玉△5三歩と先手で受けられ、大きく予定が狂ったのではないだろうか。
 △5三歩以下、▲7七銀△8七龍▲4五桂と後手陣に食いつくが、△7六歩▲5三桂不成△3一玉▲6一桂成△7七歩成▲5九玉△6七とが厳しく、1手届かない。
 以下▲5二銀成△8六角▲4九玉に△3三桂(第9図)が見事な延命策。

 先手も▲5三銀不成と詰めろで肉薄するが、△2一玉と延命手筋の第二弾の“早逃げ”!
 尚も▲4二金だと追いかけるが、ここで△3一歩(第10図)と歩で受けられるのが早逃げの効果。

 以下▲3二金△同歩▲3三歩成△同銀で、浦野八段が投了。終局時刻は22時12分。消費時間は▲浦野八段5時間54分、△小林七段3時間45分。

 
 第8図に戻って

 ここでは角を活用する▲6六角が8八に利かしながら▲2二角成△同金▲4三銀成や▲4三銀成△同金▲2二角成を狙う絶好の一手だった。
 また、第8図の少し前、▲7四銀打を決めずに▲6六角と含みを持たせて角を活用するのも味が良かった。

 とにかく、本譜は先手の角が狙われるだけの駒になってしまったのが痛かった。

「その4」に続く。  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする