英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『99.9 -刑事専門弁護士-』 第4話

2016-05-10 19:47:49 | ドラマ・映画
 『捜査一課9係 season11』が“今一つ”、『警視庁・捜査一課長』が“今一つ半”なので(楽しんで観ていますが)、急遽、刑事ドラマっぽいモノを追加して観ることにしました(この二つ、字面が似ているので録画リストを見る際は、紛らわしい)。
 なので、「刑事専門ルーム」の成り立ちなどの細かい設定は良くわかりませんが(ホームページで予備知識は学習しました)、さほど支障はないようです。



  ………………スムーズ過ぎという印象
 松本潤出演のドラマは、申し訳ないが、あまり観ていない。観たのは『金田一少年の事件簿』(2001年)、『ごくせん』(2002年)、『ラッキーセブン』(2012年、途中で視聴脱落)ぐらいで、『ラッキーセブン』の「正義感が強く、暴走気味に突っ走る」という役柄のイメージがある。『花より団子』はチラ味程度だが、“俺様キャラ”だが真っ直ぐな性格というイメージ。
 しかし、今回のキャラは“出来る弁護士”という設定のせいか、「冷静でしなやかに物事に対処するタイプ」のようだ。
 まあ、松本潤も32歳、いつまでも突っ走りキャラをするわけにもいかない。もちろん、松本潤演じる深山大翔は、「頭が切れて、正義感や実行力もあり、しかも格好良い」というキャラ。これを松本潤が演じるのだから、格好よさは倍増。

 けれども、この「出来る主人公」の設定のため、主人公が行き詰まることなく案件を解決してしまう。
 駆け出しの弁護士なら、示談成立の際「本当にこれでいいのかっ!」とひと暴れするところなのだが、大翔(松本潤)には事後承諾で、当人も悟り顔で佐田(香川照之)に対応。示談で妥協してしまった菊池(板尾創路)の前に現れたものの、軽く「本当にいいんですか?」と投げかけるだけ。まあ、“美人局”の詐欺罪で訴えるという手段は頭に浮かんでいたんだろうけれど。
 結局、世間の冷たい視線に耐えられず、菊池の方から泣きついてくるという具合。なにか、≪主人公が淡々と真相究明してくドラマ≫だなあ。それと、松本潤の“合点顔”“したり顔(どや顔)”がやたら多い気がするが……

 この“スムーズ感”のもう一つの原因が、「脚本の雑さ」
1.“0.1%の極めて低い可能性”を謳う割には、かなり甘い隙間だった
・マスターにふたりの会話が聞こえていた。……BGMが大きくて聞こえない←そんなやかましいバーでは営業にならないだろう
・マスターと被害者女性は恋人同士で、金に困っていた。カジノに行くというダメ押し
・バーから現場まで、酔っ払った男性を補助しながらでは、犯行時刻に間に合わない。……実際はマスターが菊池を背負って移動。タクシーのドライブレコーダーにしっかり捉えられていた。
  そもそも、どうしてバーからそんな遠いところを犯行現場に選んだのだろう。“中年サラリーマン風の男性がバーテンダーに背負われ、若い女性が同行”なんて、目立ってしょうがないだろう。

 「わざわざ無実を証明しやすいようにしたのではないか」というほどの犯行計画の甘さ。とても、0.1%の大逆転とは思えない。


2.事件の真相も黒幕の正体も見え見え、黒幕を追い詰める材料もリピート感が強い捻りのないストーリー
 あまりにタクシーのドライブレコーダーの画像が強力で、視聴者には切迫感に欠ける追及シーンだった。ふたりを聴取を並行して行う“囚人のジレンマ”を使うなら、この映像はない方が面白い。
 この映像、佐田を説得するプレゼンで1回、ふたりを追及する際2回、黒幕の社長・鵜堂 (升毅)を追及で1回の計4回。また、その他の状況証拠も佐田へのプレゼンでも視聴者周知の事実をリピート。
 最後の鵜堂へのダメ押しも、直接のふたりの供述というのも意外性がない。
 新たな根拠として、「“菊池がヘッドハンティングされている”ということを鵜堂が知っていた」が取り沙汰されたが、社長なら知っていても不思議ではなく、根拠としてはそれほど強力ではない(大翔がえらく得意顔だったが)。
 また、井原に「すべてを話せば罪を軽くしてやる」という取引はどうなのか?……「ふたりだけの犯行と首謀者(主犯)が別にいるのとでは、罪の重さが変わってくる」と言ったほうが、スマートである。


3.計算ができない社長
 悪人に1000万円支払って、自分もリスクを犯すのと、善人(菊池)に1000万払って感謝されるのとどちらが得か?
 菊池に支払う額は1000万よりかなり多くなるかもしれないが、菊池の性格を考えると相場より少額で済みそう。
 悪人に支払った場合、今回の件で研究室の雰囲気は最悪になるのは目に見えている。今後、ふたりから脅迫される危険もある。


4.掌返しの社員や娘
 まあ、社員たちはドラマの進行上、仕方がないが、娘はどうなの?
 示談で妥協したことを責めたのは良いとして、示談後も信じていた様子を描写しないと、最後の一家団欒も薄っぺらく見えてしまう


★今週の名言
「時間が…オーバー久美子(大場久美子)」
 さらに、証人(共犯者)の2人を連れて来た事務員が大場久美子本人を登場させる(大場久美子は社長を案内する時も登場)。佐田だけが大場久美子に反応し驚き、カメラも彼女が去る姿を追っていたのが面白かった。

★今週の名シーン
 大翔らの緑のタクシー探しに迷惑がって、強面のタクシーのドライバーが迫ってきたが、実は救いの神だった。パラリーガル(アシスタント)たちのあまりの感謝ぶりに戸惑う彼の様子がナイス!


残念なストーリであったが、メンバーのやり取りは面白いし、今回登場しなかったライバル?の丸川や強敵・大友が絡んでくれば面白くなるかもしれない。
 

【ストーリー】番組サイトより
 深山 (松本潤) の所属する斑目法律事務所・刑事事件専門ルームに、新たな依頼が舞い込んでくる。
 太陽光発電に関する世界的発明者である 菊池 (板尾創路) が、仕事の元同僚である 井原宏子 (ハマカワフミエ) への強制わいせつの罪で告訴され、弁護を依頼してきたのだ。菊池は強く無罪を主張するが、この手の事件は当事者の証言以外に証拠が乏しいため、潔白を証明するのは難しい。
 そんな中、菊池の勤めるウドウ光学研究所の社長・鵜堂 (升毅) が、会社で示談金を準備させて欲しいと提案する。現在、菊池が研究を進めている特許技術が完成間近なのに、裁判のために開発が遅延してしまっては、あまりに不憫だという。喜ぶ菊池は研究チームにこれ以上迷惑をかけないためにも、示談を成立させるが…。

ゲスト
菊池章雄 … 板尾創路
井原宏子 … ハマカワフミエ
鵜堂   … 升毅
根元 勇 … 淵上泰史
事務員  … 大場久美子
菊池の妻 … 比企理恵

脚本:宇田 学
演出:金子文紀
コメント
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