英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season23 第8話「瞳の中のあなた」

2024-12-19 21:49:36 | ドラマ・映画
第1話「警察官A~要人暗殺の罠!姿なき首謀者」(初回拡大SP)
第2話「警察官A~逆転殺人!真犯人は二人いる!!」(拡大スペシャル)
第3話「楽園」
第4話「2つの顔」
第5話「幽霊ホテル」
第6話「薔薇と髭の夜明け」
第7話「復讐者は笑わない」


 強盗殺人事件に巻き込まれ、光を失った女性。
 境遇を悲観し、自ら命を絶とうとしたその女性を救い、支え続ける”足長おじさん”的男性。
 ふたりの間には、特別な感情が通い合っていた   ……ところが……

 “足長おじさん”は強盗犯で失明に至らせた張本人だった。
 そして、女性が手術で光を取り戻す直前に起こった、ランニング中での襲撃から始まる一連の事件の中で、視界を取り戻した女性が真相を知る……

 この一幕を描くためのストーリーだった。


 このストーリーの大筋は、ドラマではよくある話ではあったが、その設定からこの男女の心の動き、葛藤をどう表現するか、どういう選択をするかが、脚本の腕の見せ所であろう。
 私は、今回の脚本を評価したい
(上から目線で、申し訳ありません)

事件真相究明のカギとして、亀山&藍里を襲撃において、《どちらを狙ったのか? 目的は? 誰が?》という疑問
《誰を狙ったのか?》
①亀山……過去の事件絡みに対する恨み(恋愛関係のもつれは、なさそう)
②藍里……強盗殺人事件の犯人を目撃していた藍里が視力を取り戻すのはまずい
③野瀬……藍里の普段の伴走者は野瀬であり、亀山を野瀬と間違えて襲ったのでは?
     襲撃を思い返すと、藍里を突き飛ばしただけで、その後、亀山をナイフで襲ったので、標的は伴走者だったのでは?
 しかし、野瀬が標的だとすると、理由が分からない。
 
特命係はその推理の一方で、襲撃者を突き止めようとする
・藍里が感じた除光液の匂いは、塗料(ペンキ)の匂いなのでは?
・強盗殺人現場の聞き込みで、当時、区役所の横領事件の関係者がいて、それに対する誹謗の落書きの塗り替えをしており、その業者で担当した職人・木浪が判明

木浪、死体で発見される
・死因は練炭不完全燃焼の一酸化中毒
・スタンガンの跡があり、他殺が濃厚
・部屋に聖洋病院のカレンダーがあった(右京、“目ざと”過ぎ。しかも2年前のモノということまで認知)
・スマホには、藍里と野瀬のジョギングしている画像
・亀山を刺したナイフが発見(付着していた血液と亀山のDNAが一致)
・強盗殺人現場の遺留品のコンタクトレンズの残留DNAがと木浪のモノと一致
  →木浪は2年前の強盗殺人犯であり、亀山襲撃犯であることが判明

木浪は何故、野瀬を襲おうとしたのか? 木浪と野瀬の接点は?
 “足長おじさん”は野瀬であり、そのことを藍里も気づいていると右京から知らされ、野瀬の妹が若くして病気で亡くなっており、その病気の治癒のため大金が必要だったことなどを野瀬が白状
 →野瀬の妹が聖洋病院に入院していた!
 →強盗の共犯者として、野瀬が目を付けられる(これまで木浪とは無関係で、金が必要な野瀬は引き受ける)
      
  強盗決行、木浪は殺人まで犯してしまい、野瀬は藍里を失明させてしまった
  その時に、藍里の腕をつかんだ傷跡が右利きのモノ。(木浪は左利き)

木浪は藍里が手術を受け視力を取り戻すことを聞きつけ、そばで働いている野瀬を責める。
 「強盗がバレるだろっ!」(木浪)
 「俺がひとりでやったと自首する」(野瀬)
しかし、木浪は納得せず、亀山らを襲った。

 野瀬は2年前の強盗、その後の行動思いを打ち明けたが、
「木浪を殺したのは、俺じゃあありません」
「ええ、木浪を殺害した犯人は目星がついています」
「えっ!?」……私も《えっ!?》


「あなたの他にも、木浪には共犯者がいたんですよ」
《えっ?誰?……フラワーショップの店長?塗装会社の社長?》
捜査一課で取り調べを受けている坪倉!(強盗に入られた尾澤の隣人)
《ああ、こいつかぁ》
・区役所職員:尾澤が横領した5000万円を床下に隠しているのを目撃。その情報を木浪に教える
・デタラメな目撃証言をして、捜査をかく乱
・野瀬襲撃に失敗したので、野瀬を何とかすることを強要され、木浪を殺害

クライマックス
手術後、藍里を訪ねた特命係。
「亀山さん?……もしかして、杉下さんですか?」
「手術、成功して良かったですね」
うれしい初対面の後ろから、野瀬がおずおずと登場。
野瀬を凝視した藍里が
「この人です。この人が犯人ですっ!亀山さん、捕まえてください!杉下さん、早く!」(特命係の後ろに逃げながら藍里が叫ぶ)

………野瀬
「…良かった……良かった」涙ぐむ野瀬。
「……その声……なんで?なんでですか?……なんで!………なんでですか?……なんで?

 自分の正体を明かすことになるが、藍里の視力が戻ったことを喜ぶ野瀬。
 自分を失明させた凶悪犯を目の前にして、恐怖に慄く藍里。
 さらに、野瀬の声を聞き、〈野瀬=凶悪犯》と気づき、混乱。悲しみと怒り。
 《藍里が特別な感情を抱いていた声の主の姿を見たら、その姿が憎しみの対象だった》残酷な運命。
 自分が憎悪の対象となることを受け入れ、藍里の視力回復を喜ぶ野瀬……



「そうですか、また、学校の先生を目指すんですね」
「でも、野瀬さんのことは許せません。私にやさしくしてくれたのは、ただの罪滅ぼしだった。そんなの身勝手すぎる。許せません!」
と言い切る藍里だが
「そうやって憎もうとしたけれど……だめでした」
「それなら、無理に憎まなくても、いいんじゃないかな」(亀山)
「藍里さんが野瀬さんから受け取ったモノを、すべて否定しなくても、いいと思いますよ」(右京)
「はい。ありがとうございます!」

藍里の優しさ強さ柔軟さを感じる。
右京の“「すべてを否定しなくてもいいと思いますよ」というのは名言だと思う。
ありきたりな“足長おじさん”風秘話を無理はあったものの、複雑に構築して事件の真相を悟らせなかったのは見事だ

    
【疑問点】
・極秘にすべき横領を隠し場所を、なぜ、カーテンを開けて行う?
・木浪は単独で犯行を行った方がよかったのでは?
 2人も共犯者を作るのは、秘密保持、分け前の点でマイナス(共犯は坪倉だけでいいだろう。坪倉を共犯にしないと、後々、強請られそうだ)
・野瀬襲撃の為、ジョギングの様子をスマホで撮影するのは、却って気づかれる
・一瞬のカレンダーの認知、筆跡鑑定は、右京の眼は利きすぎ!
・2年前のカレンダーが置いてあるのは無理がある。捨て忘れかもしれないが、見える位置にあるのは、不自然。
 

【ストーリー】番組サイトより
薫が刺されて殉職の危機…!?
手掛かりは失明した女性の瞳に


 視覚障害のある女性・藍里(森マリア)の伴走者を務めていた薫(寺脇康文)が、ランニング中に刺された。
 薫に恨みを持つ者の犯行と思われたが、手掛かりは皆無。そこに、藍里と同じ生花店で働く、野瀬(レイニ)という男性が駆けつけてくる。野瀬は、藍里の伴走者を務めることが多いらしく、単なる同僚以上に親しげな様子。
 捜査に乗り出した右京(水谷豊)は、藍里が視覚を失った経緯を知る。2年前、藍里は偶然、強盗殺人の現場に居合わせ、犯人と揉み合いになった弾みで階段から転落。失明してしまったという。事件は未解決で、右京は薫が刺された今回の一件との繋がりを疑っていた。
 藍里が手術を受け、近日中に視力を取り戻す可能性が高いことも、その推理に信憑性を持たせていた。さらに捜査を進めると、2年前の強盗殺人が、区役所の巨額横領事件と絡んでいることが分かる。

視覚障害の女性が“目撃”した犯人の正体は?
2年前の未解決事件には驚くべき闇が…
右京の推理が隠された真相に光を当てる!


ゲスト:森マリア レイニ

脚本:川﨑龍太
監督:田村孝蔵

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