英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

名人戦第6局 その3 「意外と細い攻め」

2011-06-19 15:04:15 | 将棋
【記事アップ時に、冒頭の変化手順で△2三銀の後▲1二歩成が抜けていました】

 前回の「その2」でも書きましたが、第3図より△2三銀(封じ手)▲1二歩成に△1二同玉と取ると、以下▲1三銀△2一玉▲4二角成△同飛▲2二銀△同金▲同桂成△同飛▲同銀成△同玉▲4一飛(参考図1)と進み、攻めが続くそうです(本日の『囲碁将棋フォーカス』の郷田九段もそうおっしゃっていました)。

 しかし、飛車は手に入りましたが、先手の攻め駒は飛車の他は持ち駒の金と歩(2枚)、桂香は補充できそうですが、後手の角や香が良く利いていて、3八の飛は働きそうもありません。対照的に後手は持ち駒が山のようにあります。私は先手を持って勝ち切る自信はありません。

 それはともかく、実戦は△1二同銀と取りました。局後の感想では
「▲2二歩打っちゃうんでしたかね」(羽生) ▲2二歩以下、△3一玉▲2一銀△3三銀▲1五角△2三銀▲3二銀成△同玉▲3七角△同角成▲同飛△8六歩▲2一角△4二玉▲5五香(参考2図)が示された。これは次に▲4三角成からの寄せが厳しい。「受けづらいですね」(森内)だそうです。



 実戦では△1二同玉以下▲1五角△8六歩▲同歩△1三歩▲2六香△2四歩▲2三歩(第4図)△同銀▲2四香△1四歩▲2三香成△1五歩▲1二銀△3一玉▲6四歩△同角▲5六金(第5図)と進む。
 ここら辺の手順は、1歩を巡る細かい手順のアヤなどがあり、複雑なのですが、途中の第4図の

▲2三歩の垂らしの味が良く(他の変化手順でもこの2三の垂らしの歩の感触が良い)、実際第4図を見ると、先手の攻めが厚く調子よさそうに見えます。
 しかし、後手の森内九段も最強の受けで応え第5図まで進むと

なんだか先手の攻めが心細くなっています。
 ▲5六金は金を中央に利かせ後手玉を左右挟撃の形にしようという手です。さらに次に▲6八飛と回って飛角交換の狙い(角を手にすると▲3二成香~▲1四角がある)含みに眠っていた飛車を働かそうという手です。
 しかし、▲5六金はちょっと一息という感じがしますし、先手の2三の成香と1二の銀は後手玉に迫っているとは言え、少し前と比べると先手の攻めがやや薄くなっている気がします。駒割は銀対角桂の駒損、さらに、後手に△8六歩▲同歩を利かされています。
 この局面で、控室の研究は先述した▲6八飛を甘くする△1九角成が有力と見られていて、「△1九角成以下、▲5三歩△同銀▲3三歩△同金寄▲同成香△同金▲3五歩△同歩▲3四歩が厳しい攻めなのだが、最後の▲3四歩が厳しいが、この▲3四歩で歩切となり難解」だそうです。

 ここまで進むと、途中羽生名人が感想戦で示した封じ手の△2三銀に▲1二歩成△同銀に▲2二歩を選ぶべきという変化はあるものの、封じ手以後すごく順調に先手が攻めていたように思われていましたが、ギリギリの攻めだったようです。

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