………祖国(ロシア)を裏切ったスパイ・ヤロポロクを雇われ殺し屋の常盤が殺害し、殺害現場のヤロポロクの自室で、美彌子の写真を見て一目惚れし、美彌子を監視していた公安調査庁職員の坊谷を殺害し瀬戸内の寺の敷地内に埋めた。この殺害に関しては命令(依頼)ではなく、自分の意思によるもの。自責の念に囚われて偶然を装って白骨遺体を発見した………
終わってみれば、薄っぺらい事件の真相。
時系列を前後して事実が明かされたのと、事件とは関係ない雛子の思わせぶりなパフォーマンスが絡んだため、複雑な様相に見えただけだった。
ヤロポロクの亡霊
・美彌子への手紙
・潜伏先での管理人が、途中から彼の印象が変わったという証言……過去には本人が潜伏していたらしい
・米国はヤロポロクの所在を把握していたらしい
………結局、常盤に殺害されていたというオチ。
写真や美彌子との過去の因縁話ばかりで、ほとんど彼が動いている映像はほとんどなく、亡命ではなく亡霊的存在だった。
美彌子の嗚咽のシーンで、彼女との関係が明かされたが、season15最終話「悪魔の証明」で二人の関係をストーリーのカギとしたため、二人の交際など親密さを表すシーンを伏せていた。
なので、ヤロポロクの実在感、二人の関係の親密さが実感できなかった。
ヤロポロクが渡米しなかったのは、美彌子と娘を気にかけてのことだろう。それなら、生存中に美彌子が彼の気配を察知してもいいのではないだろうか?ヤロポロクがスパイなので、気配や痕跡を消していたとも考えられるが、美彌子の聡明さを考慮すると、不自然。
(数少ない)【面白かった点】
①「ヤロポロクの日本への再入国などあり得ない」という表現の解釈
≪ヤロポロクはアメリカに亡命せずに日本に潜伏していたのだから、日本への再入国はありえない≫という解釈(事実)もあり得る。
国家機関などのいろいろ意味を含んだ言い回しではあるが、妙な表現で、そういう可能性に気づいた人は少なくなかったような気がする。(バラエティクイズのとんち問題でよくあるパターン)
②ヤロポロク似の外国人の登場
美彌子が内閣情報調査室時代のツテを利用して、ヤロポロクの潜伏先を尋ねた。そこの住人は……そっくりさん?………見事な肩すかしである
【その他、突っ込み処や感想】
・蓮妙(高橋惠子)の常盤に対する「正直者の顔ではないわねぇ」という心象は不必要
高橋惠子さんの女優としての格を考えると、蓮妙が誤った判定を下すとは考えにくく、常盤への疑惑が深まってしまった。
・雛子のフェイクパフォーマンスは、ドラマとしては一つの手法で容認できる。彼女が野心を捨てておらず、未来への伏線を張ったという意義もある。
・美彌子の嗚咽シーンを常盤に見せたかった。ヤロポロクを殺害したことについて常盤はどう思うのだろうか?(美彌子の性格を考えると、実際は起こりえないシーンではある)
第1話「検察捜査」
第2話「検察捜査~反撃」
第3話「銀婚式」
第4話「ケンちゃん」
第5話「手巾(ハンケチ」
第6話「ジョーカー」
第7話「倫敦からの客人」
第8話「ドグマ」
第9話「目撃しない女」
第10話 元日SP「サクラ」
第11話「ダメージグッズ」
第12話「暗数」
第13話「いわんや悪人をや」 前編(300回記念スペシャル)
【ストーリー】番組サイトより
遺棄された白骨遺体。誰が殺し、なぜ埋めたのか?
真相にたどり着いた時、数々の秘められた謎が明らかになる!!
片山雛子(木村佳乃)が、瀬戸内米蔵(津川雅彦)の寺で得度式を行い出家した。
いっぽう、公安調査庁の職員が白骨遺体で発見された事件について、第一発見者である常盤(矢野聖人)を調べていた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、彼が3年前にアメリカに滞在していたという情報を掴む。3年前といえば、美彌子(仲間由紀恵)との関係が疑われた元ロシア人スパイ・ヤロポロクがアメリカに亡命した時期とかぶる。亘は、常盤がアメリカにいるヤロポロクの手紙を中継して、美彌子に白骨遺体の身元を知らせたのではないかと推理するが、右京はまったく別の可能性を考えていた。
そんな中、常盤が遺体を発見したのは、実はあるアメリカ人から発掘を頼まれたからだと証言する。
亡命した“美彌子が愛した男”の行方を追う特命係。
瀬戸内、雛子、そして証言を翻した常盤の思惑とは…
右京と亘が、カオスと化した因縁の事件に終止符を打つ!!
ゲスト:津川雅彦 木村佳乃 高橋惠子 矢野聖人 芦名星
脚本:輿水泰弘
監督:兼﨑涼介
先週・今週と300回記念前後編スペシャルでしたが、酷評の嵐ですねえ。私もがっかりしました。
それでも、今まで回収されていなかった伏線が回収されることへの期待感から、後編の視聴率は今シーズン最高の17.3%を記録したそうですね。内容は今シーズンで一番薄かったと思いますが。
前後編を通じてストーリーのテンポが悪かったと思います。1話ですむ内容を前後編に膨らましたせいか、不必要と思われるシーンが目立ちました。冠城が右京の台詞をリピートしたり、同じ意味のことをわざわざ別の表現に言い換えたりする場面などは、その典型です。
内容では、瀬戸内米蔵、蓮妙、片山雛子まで登場させて話を膨らませておきながら、結局その3人はヤロポロク件の本筋とは無関係だった、というのが肩すかし感の原因かと。
あと、予告編で社美彌子の嗚咽シーンを見せたのは完全に失敗だったと思います。あれを見て、「ヤロポロクはすでに死んでいる」と直感した視聴者は少なくなかったのでは。
ちなみに、最後に偽ヤロポロクが再び画面に登場したのを見て、「やっぱり本物?」と思ってしまいました。
結論としては、ストーリーを楽しむ企画ではなかった、ということなのでしょうか。
あわてていて、ハンドルネームの入力を忘れました。
失礼しました。
>前後編を通じてストーリーのテンポが悪かったと思います。1話ですむ内容を前後編に膨らましたせいか、不必要と思われるシーンが目立ちました。
前後編の二部構成は難しいです。2時間半スペシャルなど一挙放送の場合と違い、前編である程度進めないと視聴者はつまらないのであ、ある程度進め、謎と手がかりを残す必要があります。
そうすると、後編が間延びしてしまう危険性が高くなります。今回の場合、前後編とも拡大枠でしたから、尚更です。個人的には、前編は拡大枠で、後編は通常枠の方が良いと思います。
>瀬戸内米蔵、蓮妙、片山雛子まで登場させて話を膨らませておきながら、結局その3人はヤロポロク件の本筋とは無関係だった、というのが肩すかし感の原因かと。
連載300回記念なので、ゆかりのゲストを出す必要があった。片山雛子は今後への伏線を張りたかったのでしょう。
>予告編で社美彌子の嗚咽シーンを見せたのは完全に失敗だったと思います。あれを見て、「ヤロポロクはすでに死んでいる」と直感した視聴者は少なくなかったのでは。
予告編を極力見ないようにしているので、気づきませんでした。予告は導入部分で充分だと思います。
あと、CMの前後の予告ハイライトも不必要ですね。