英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋雑感 ~羽生二冠の逆襲、充実の本田小百合女流二段、不可解な延期措置~

2012-07-23 16:15:26 | 将棋
羽生二冠の逆襲
 名人戦敗退後、怒涛の10連勝!
 この間に棋聖を3連勝で防衛し、通算獲得タイトル数が単独1位となったほか、順位戦、棋王戦なども勝ち進み、先日、王座戦挑戦者決定戦で中村太地六段を破り、挑戦権を獲得。タイトル保持者はあの渡辺竜王・王座。
 竜王戦で二度敗れ、あの王座戦で0-3のストレートで敗れている。またやられるのではないか…という思いがよぎったが、この二人のタイトル戦はやはり楽しみ。
 3-0で王座を奪回し、そろそろ「羽生二冠」という呼び方を変えたいところである。  つい最近まで無冠の心配をしていた私だが、現在は強気モード。このまま30連勝まで伸ばして欲しいものだ。

充実の本田小百合女流二段
 ご存じの方もいらっしゃると思うが、私は矢内女流四段のファンである。相手の話を引き出すのが上手で、相手のユーモアを解し「うふふ…」笑う様子もこれまた……いえ、それはさておき、そろそろ、「無冠」を返上していただきたいと思っているが、雰囲気同様、将棋もホンワカしていて、誰と指してもいい勝負で、まとめて勝つことができない。
 せめて、タイトルに絡むっところで戦って欲しいと期待して、ネット中継を注視しているが、先日も女流王座戦の二次予選で本田女流二段に敗れてしまった。本戦トーナメントに名前が載らないとは……
 将棋は勝ちにくそうな将棋だなと思っていたら、案の定、必敗形に。それでも、あれやこれや攻防風の指し手を駆使して、徐々にわけのわからない局面へ。
 このまま逆転かと思ったが、本田女流二段が自玉が詰めろでないことを読み切り勝利。この時は本田女流二段に関しては、「ん?」と思った程度であったが、若干評価がアップ(上から目線で、申し訳ありません)
 そういう経緯があったので、本戦トーナメントが始まり、彼女にも注目していた。一回戦の相手は伊藤沙恵奨励会1級、強敵だ。
 奨励会1級ということを考慮すると、並の女流二段では勝つのは難しい。二次予選で矢内女流四段を破ったのがフロックだったとしたら、二度連続して起こる可能性は低い。
 しかし、フロックではないとしたら……。本田女流二段は、女流名人位戦でA級(9位)に在籍し、現在3勝2敗。初戦で斎田女流五段に勝った後、岩根女流二段、清水女流六段に敗れたが、その後、室田女流初段、石橋女流四段に勝っている。
 矢内戦の内容、女流名人位戦の成績を考えると、伊藤奨励会一級にとっても侮れない相手だ。

 将棋は、変則的な相居飛車戦。伊藤の銀冠プラス銀の堅陣の裏を突き、馬とと金を作り、攻める展開に持ち込んだ。将棋は非常に難解だったが、ペースを握っていたのが大きく、優勢に。優勢になってからは確実な指し回しで押し切った。「しっかりした将棋」という印象が強い(上から目線で申し訳ありません)。
 次なる相手は、上田女王。好勝負が期待される。
 ちょっと、斜めからの視点で書かせていただくと、マイナビ女子オープン(女王)の防衛の相手は長谷川女流二段。はっきり言わせていただくと、長谷川さんはまだ実力不足。また、上田女王がタイトル奪取した第一局は、甲斐女王(当時)の大トン死と、運を感じる。
 また、今回の女流王座戦も上田女王が属さない左の山に、里見女流四冠、清水女流六段、甲斐女流四段、中井女流六段、西山奨励会2級と手ごわい相手がひしめいている。
 対する左の山には、上田女王の他は、実績のあるのは石橋女流四段ぐらいで、あとは中村(真)女流二段ぐらい。強敵と目されていた伊藤奨励会1級は敗れ、石橋女流四段も中村女流二段に敗れている。
 穿った見方かもしれないが、上田女王に追い風が吹いているように感じる。本田女流二段も、上田女王にとって、矢内女流四段、伊藤奨励会1級を倒してくれたアシスト者になってしまうような気がする。
 2回戦、注目の一局である。

不可解な延期措置
 恒例の朝日杯、プロアマ一斉対局が先日行われた。今年はアマの4勝5敗。エース格の清水上徹氏、中川慧梧氏が敗れてのこの成績は大健闘だ。
 ところで、プロアマ戦は10局のはず。
 残りの一局は、門倉四段×古谷皓介氏。この一局は、門倉四段の体調不良で延期されたとのこと。
 体調不良で延期?
 体調不良?…病気?
 個人の責任に因らない災害や事故、身内の不幸、本人の出産ならともかく、通常は不戦敗になるのでは?興行的な事情はあるかもしれないが、甘いように思う。
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『平清盛』 第29話「滋子の婚礼」

2012-07-22 20:57:01 | ドラマ・映画
滋子の婚礼
 「滋子の心は滋子のもの」
 「帰れ……政の道具になるだけぞ」

 けっこうな純愛だった。

 巻き髪が障害となった。
 特徴である巻き髪が短所と考え矯正しようと考えたが矯正しきれず。

 拗ねる後白河院も可愛い。

 「台無しじゃ!」と嘆いた清盛は、滋子の純粋な思いを知り、折れて協力。
 巻き髪を短所と考えず、長所と考え、宋の衣装で着飾り、巻き髪の美しさを強調。固定概念にとらわれず、グローバルな視野で物事を考える清盛らしい機転であった。

次なるステージへ
・ついに公卿(くぎょう)の座へ
 公卿に上るのが最終目的ではない清盛、新しき世を作るためにさらなる力を得、交易をし宋銭の流通、政の実権を握るなど、次なるステップを目指す。
 なので、公卿の座に就くことは単なる通過点なのだろう。しかし、父・忠盛以来の長年の念願を果たしたのだから、忠盛、忠正、家盛らの映像をフラッシュバックさせるくらいの演出をして欲しかった。
・家貞、美福門院、退場
 家貞が亡くなる前に、清盛に「忠盛、忠正、家盛、鳥羽院、頼長、信西、義朝らの名を上げ、今後、彼らのすべての思いを背負うて生きてゆかねばならない」(実際は、家臣としての言葉で言っています)
 先述したフラッシュバックの代わりを、家貞が果たしてくれた。家成(佐藤二朗)の名が上がらなかったのは悲しい。
 ドラマ序盤より、清盛を支えてきた重臣の家貞、障壁的存在の美福門院が退場した。次なるステージに上った象徴的な出来事のように思えた。

その他の感想
 やはり、上西門院(愛原実花)の声と話し方は気品があるなあ。
 

【ストーリー】(番組サイトより)
 1160(永暦元)年、平清盛(松山ケンイチ)はついに公卿(くぎょう)の座にのぼった。それは武士として誰もなしえなかった偉業であった。新しい世の始まりは清盛と後白河上皇(松田翔太)の長い双六遊びの新たなる始まりでもあった。

 六波羅の清盛の館には衣装も立派に様変わりした一門が集まっていた。清盛が公卿になることで一門もそれぞれ出世し、平家と呼ばれるようになった。
 一方、筆頭家人の家貞(中村梅雀)は病にふせっていた。清盛は唐果物を持って家貞を見舞うと、病床の家貞は、唐果物が食べたくて宋との交易をさかんに進めてきたと告白。欲こそが力の源であり、欲のために生きて死んだ者たちの思いを清盛は背負って生きろと告げた。そして家貞はほどなく亡くなった。
 安芸の嚴島の社で参拝した清盛は、何を祈願したかをたずねられると、もっと強くなることと答えた。宋の銭を使いおもしろき世にしようとするために政治の頂点に立つ力を求めていたのだ。そして清盛は朝廷で開かれる公卿議場の場に参議として列座する身分となった。

 そんなある日、清盛は美福門院得子(松雪泰子)に呼ばれ、思い描く国造りを聞かれた。清盛は宋と取り引きし、宋銭を国中に広め、さまざまな品を巡らせ豊かな世にすることを訴えた。美福門院は驚きながらも清盛の考えを支持する。実は美福門院は病を得ていたが、そんなそぶりを見せずに清盛に思いを託していたのだ。そして11月、美福門院は息をひきとった。
 清盛は二条天皇(冨浦智嗣)に近づくため、妻である時子(深田恭子)の妹・滋子(成海璃子)を入内させようと画策していた。そのころ、滋子は上西門院(愛原実花)の女房として宮中に勤めていた。時忠(森田剛)は清盛の意を察して、二条天皇のもとへ入内しないかと妹・滋子にもちかけるが、自分は好きな人の妻となると言って拒否する。

 後白河上皇は清盛から贈られた宋の青磁器を投げ捨てて、怒りをあらわにしていた。清盛が二条帝に気を配り、自分をないがしろにしていることに、腹を立てたのだ。
 不満がたまった後白河は宴を催した。そこに居合わせた滋子は、今様を歌いまくる後白河上皇の姿に目をとらわれていた。その夜、院御所で滋子は朗らかに今様を歌いながら廊下を歩いていた。すると後白河に引き止められ、朗らかに歌うなと怒られる。しかし滋子は動じず、後白河は弱く情けない、歌のほかにぶつけられるものを見つけろと説教する。後白河は滋子の無礼を怒りながらも、心ひかれ、やがて滋子を抱きしめた。

 数か月後、清盛は怒って、滋子を呼びつけた。滋子は後白河の子を宿していたのだ。平家一門は大騒ぎ。滋子は後白河への真剣な思いを語り、時子も滋子の意思を尊重したいと言うが清盛は許さなかった。
 また、上西門院も滋子の婚礼に反対した。滋子の巻き髪が上皇の妃にふさわしくないという理由だった。滋子はなんとか巻き髪を直そうと試みるが失敗に終わり、ついには婚礼をやめると言いだした。そんな滋子を清盛は、困ったように見ていた。後白河は滋子の心変わりを知ってひどく落ち込んでいた。無関係を決め込んでいた清盛は一計を案じ、滋子を連れ出す。

 数日後、院御所では婚礼の宴が催された。あらわれた新婦の滋子は宋の衣装を着て、巻き髪を宋風に美しく結いあげていた。古いしきたりにこだわらない、清盛の発案だった。みんなが滋子に見とれ、後白河はいとしげに滋子の手を取った。そんな二人を清盛はほほ笑ましく見ていた。
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将棋雑感 『将棋世界』7月号 ~ビジョンの差 その2~

2012-07-22 12:36:34 | 将棋
「ビジョンの差 その2」です。
「一局のビジョン」……女流王位戦 第1局 甲斐女流王位×里見女流三冠
 両者でタイトルを争うのは今回が初。これまでの対戦成績は里見女流三冠の6勝2敗。共に振り飛車党だが、過去の戦型は「6局が相振り飛車、2局が甲斐の居飛車対里見の振り飛車」と観戦記には記されているが、女流王位戦中継サイトでは相振り飛車は5局とある。また、本局の進行(甲斐の振り飛車対里見の居飛車)は女流最強位戦での両者の対局を踏襲しており、観戦記の記述はおかしい。

 初手より▲7六歩△3四歩▲7五歩△8八角成▲同飛△4五角(第8図)

 いきなりの力戦型。両者の対局で前例があり、それを踏まえての本局の進行とは言え、お互いの意地と研究を感じる。

 8図以下、▲7六角△4二玉▲3八金△5四角(第9図)と進む。

 最強戦では、この△5四角ではなく△6二銀と上がり、▲6八銀△5四角▲7七銀△3二銀▲4九玉△3一玉▲4八銀と進み、甲斐女流王位が勝っている。
 本局は△5四角を先にして角交換を強要した(▲6八銀がまだなので、▲7七銀が間に合わない)のが里見女流三冠の工夫か。

 この後、玉型を整備し、里見女流三冠が△8五歩と飛車先の歩を伸ばしたのに対し、42分の長考(女流王位戦は持ち時間が4時間)で▲8五同桂(第10図)と桂捨ての強手!(厳密には桂と歩の交換)。

 通常、観戦記には指し手の下に考慮時間も表記されており、この王位戦も同様なのだが、先に取り上げたマイナビ女子オープンの観戦記には表記がなかった。この考慮時間は、対局者の心理や勝負の流れを読み取る材料になるので、省かないで欲しい。

 この▲8五同桂に対し、里見女流三冠も48分の長考で△5五歩。甲斐女流王位の▲5五同歩に△8五飛と桂を取る。
 単に△8五同飛には、▲8六歩△8二飛▲8五歩△5五歩▲8四歩△5二飛▲8三歩成(参考3図)が想定される。

 この変化の時に先に△5五歩▲同歩をと突き捨てを入れておいた方が得と考えての△5五歩だった。
 甲斐女流王位は、それでは面白くないと△8五飛に▲9六角(第11図)。


 飛車取りで、飛車が逃げると▲6三角成と馬を作られてしまう。アマ(私)だと気持ちの悪い局面だが、里見女流三冠はその順は自信があったようで、△8四飛▲6三角成に△3五桂と先手陣に揺さぶりを掛ける。
 この手に対し▲3六銀と受けたが、これは利かされた形で、銀が中央に利かなくなったのが大きかったようだ。▲3六銀では▲5六銀なら難解な形勢だったとのこと。
 実戦は▲3六銀以下、△8五角▲同馬△同飛▲9六角△8二飛▲6三角成△5三銀(第13図)…第12図がありませんが、単に私のミスです。

 手順に飛車の位置を変え、△5三銀と態勢を立て直すのが落ち着いた指し回し。後手が角を持っているのでバラバラの先手陣は飛車や銀を動かせない。手のない甲斐女流王位の▲8六歩に△5二角▲同馬△同飛と、馬を消しながら飛車を中央に転回する。
 この後も、緩急自在の指し回しで里見女流三冠が快勝している。

 この将棋、ふたりの意地と研究と読みがぶつかり合い、一本筋が通った面白い将棋と評価している。先に取り上げた上田女王×長谷川女流二段戦とは、質の違い、ビジョンの差を感じたのは私だけだろうか?
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将棋雑感 『将棋世界』7月号 ~ビジョンの差 その1~

2012-07-21 22:25:28 | 将棋
ようやく7月号(先月号)です。
今回は女性棋戦の観戦記をふたつ。(もうひとつは、その2で)

「女王の厚い壁」……マイナビ女子オープン 第3局 上田女王×長谷川女流二段
 まず、棋戦名が「マイナビ女子オープン」でタイトル名が「女王」と名称が異なるのにやや違和感を感じる。スポーツ界では大会名にスポンサー名が入ることは日常で、将棋も「朝日杯」「大和証券杯」「NHK杯」「ユニバーサル杯」「霧島酒造杯」と冠棋戦が増えてきている。
 ただ、マイナビ女子オープンは、棋戦名にタイトル名が入っていない。これにより、イメージが拡散しているように思える。

 ここまで上田女王の2連勝。観戦記は、第2局にも触れている。
 第2局は初手より▲7六歩△3四歩に▲5六歩と先手の長谷川女流二段が注文を付けた。この指し方は△8八角成▲同銀△5七角から後手に馬を作らせ損と考えられている。実際、この形は平成に入ってからは、先手が36勝83敗と大苦戦の状況だ。
 長谷川女流が敢えてこの指し方を選んだのは、多少不利でも自分の得意な力戦型(上田女王にとっては未知の世界)に持ち込むのが狙いだった。
 タイトル挑戦が決まって、師匠の野田敬三六段と序盤の研究に力を注いだと書かれていたが、私は努力(研究)の方向を間違えていると思う。序盤が雑(桂銀交換もいとわない、馬を作らせても何とかなる)と以前から感じていたが、納得。

 第3局は、後手長谷川女流の角交換振り飛車穴熊。これも、師匠と練ってきた作戦だとのこと。

 この図の1手前の上田女王の▲3六歩は▲35歩の仕掛けを見せた手だが、長谷川女流は意に介せず△9一玉と穴に入る。▲3五歩とされても構わないという手だが、▲3五歩△同歩▲5六角(参考1図)と打たれ、

以下、△7二金▲2三角成△3四角▲2四歩△2二歩▲3四馬△同銀(参考2図)が予想され、後手の2二歩型はつらいと書かれている。


 以下、引用
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 上田も▲3五歩を突くか迷ったがひとまず自重。2手後の△8二銀にも▲3五歩(同歩には▲4五角)の仕掛けはあったが、上田は誘いに乗らず自陣の整備を優先した。あわてて仕掛けなくても、落ち着いて自分の将棋を指していれば勝てるという強者の思想が感じられ、女王としての貫録を見た気がした。
 もっとも感想戦で▲3五歩について問われた長谷川は、照れた表情で「あまり警戒していなかったです」と一言。突かれても何とかなるでしょ、と思っていたということだろうか。落ち着き払った対局姿勢といい、大物ぶりを感じさせるルーキーだ。
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 引用終わり


 上田女王の将棋は実戦的で、負けにくい手や勝ちやすい指し方を重視しているような気がする。神経も太く震えることもなく、方針がぶれず、終盤での競り合いに強い。読みも終盤の競り合いの方が冴えてくるように思われる。
 ただ、この将棋の自重はどうだろうか?「落ち着いて自分の将棋を指していれば勝てるという強者の思想」と観戦記の国沢健一氏は評価しているが、誘われた力戦型を恐れたとも取れる。勝つことが第一で、批判されるところではないだろうが、第一人者を争うタイトル戦での尻ごみは私は「いただけない」と思う。

 また、長谷川女流に関しても引用文以外にも、△9一玉を「▲3五歩の仕掛けを許す何とも豪胆な一手」と記しており、「大物ぶりを感じさせるルーキーだ」という評価と合わせて、私は疑問に感じている。
 「何とかなる」ではこの先、期待できない。もしかすると、「あまり警戒していなかったです」という言葉の真意は、「上田女王は踏み込んでこない」と見切っていたのかもしれない。それならば、「豪胆な一手」と評していいのかもしれない。
 しかし、この△9一玉周辺のふたりのやり取りは、将棋の質としては高いものとは言えないのではないだろうか。

 将棋は囲い合った後、上田女王の動きを長谷川女流が逆用しようとして小競り合いが続き、疑問手も互いにあったが、馬を作り銀桂交換の駒得の先手が有利になった。
 第2図は、その有利さを拡大を計り▲6五銀と打った手に対し後手が△3二飛と勝負手を放ったところ。

 これが機敏な切り返しで、馬と飛車の交換は先手の損なので、馬をかわしたいが、▲4五馬は△5三桂と6五に打った銀を逆用されてしまい、▲4四馬とかわすのも△5三角とぶつけられ、▲1一馬と香を取ると△3五飛が6五の銀取りと飛成を見られてしまう。
 ▲6五銀と打った瞬間の△3二飛が絶妙のタイミングのカウンターで、長谷川女流が狙っていたとしたら凄い。
 馬を消されたくない上田女王は▲5六馬と引き△3五飛を許し、▲3六歩に△5五飛(第3図)と飛車の押し売りを迫られてしまう。

 さらに上田女王は▲6六馬と辛抱し、△5三角と角にも逃げられてしまった。
 ここまで来ると、第2図では▲6四銀と角を取ってしまい、△3四飛▲同歩△6四歩と勧めた方が良かったように思う。

 と、一瞬の気を捉えてペースを握った長谷川女流だったが、△5三角▲2九飛に△3三桂(第4図)が調子に乗り過ぎた悪手だった。

 次に△2五飛とぶつけるのが狙いだが、そのためだけに持ち駒の桂を僻地の3三に手放すのはあまりにも勿体ない。
 観戦記によると同じ△2五飛の狙いなら△2四歩で良かったそうで、この方がプロらしい。観戦記には書かれていないが、▲2四同歩なら△2六歩ということなのだろうか。
 この後、▲5五馬(▲3五桂と抑え込むのが正着)△同歩以下、飛角を敵陣に打ち合い、第5図に。


 ここは「△6四歩と突くチャンスで▲7四銀に△4七馬の両取りが絶好」と観戦記。私は、以下▲3九飛△7四馬▲3三飛成と負担だった飛車が捌けるので先手も悪くないと思うがどうなのだろう。▲3三飛成に△4二銀(龍飛両取り)があるが、▲5三龍△同銀で飛車角交換は銀をうった甲斐があまりないのではないだろうか。

 それより気になったのは、第5図より△4七馬▲3九飛に△3八歩(第6図)と打った手。


 確かに飛車取りだが、▲4九飛と馬に当て返され、△5七馬に▲5八歩(第7図)と打たれ、

以下、△3九と▲5七歩△4九とと、結局馬と飛車の交換になってしまった(しかも後手を引いた)。
 戻って、第6図の△3八歩では△3七歩と垂らすところだろう。

 観戦記を書かれた国沢氏は優しい方なのだろう。
 しかし、高額の賞金が懸かっており、何よりも女性棋士の第一人者を競う将棋である、もう少し苦言を呈しても良いだろう。
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『東野圭吾ミステリーズ』 第2話

2012-07-18 14:54:14 | ドラマ・映画
騙されたぁ~、ドキドキして損した!

「変なこと言いだしたんですよ。あの女。
結婚しようって」

 「殺す必要は、なかったのでは?」の問いへの、佐藤拓也(坂口憲二)である。
 何という男………

 二段構えの真相、どんでん返しもこのドラマの見せ場だろうが、人間の奥に潜む狂気を最後に見せるというのが、真の主題なのだろうか!

 最後に「捲くる」という構成上、どうしても話の展開に無理が生じてしまう。しかし、細かいことは抜きにして、作者のテーマを楽しもう!
 と言いつつ、野暮な突っ込みをしてしまう私……

★計画の疑問
①犯行直後、拓也が通報しようとした時、創介(白井晃)が同意したらどうしたのだろう?
 由紀子(八木のぞみ)がむっくり起き上がって、「ドッキリでした」とごまかすのだろうか?
 もちろん、そこら辺りの一家の性質を見抜いての計画で、そういう流れに持ち込むため
長男・正樹(八神蓮)を仲間に引き入れたのだろう。

②由紀子を殺すのなら、事件発生後のドタバタに紛れて殺す方が確実だと思う。彼女を生かしておくと、いろいろ不都合が生じそう。

③正樹を死体遺棄の現場に同行させるのも不利な面が多い。
 殺すところを見せるのは、後々、正樹から足がつく恐れもあるし、正樹に強請られる可能性もある。

④拓也は由紀子と付き合っていたが、そちらの方から足がつかないのだろうか?

★ガムの意味
 不覚にも、検死の際に取り出されたガムをスルーしてしまった。
 高野刑事(中原丈雄)が部下の「拓也は部外者」という言葉に反応して、真相をひらめくが、その際、ガムと絡めてほしかった。
 追及の際に「彼女はいつガムを口にしたのか?それとも、彼女はガムを噛みながら教えていたのか」などのセリフがないと、ピンとこないぞ。

★ひど過ぎる兄
 狂言殺人の計画に加担した正樹、計画がうまくいったとして、弟・隆夫(吉田憲祐)は、人を刺し殺してしまったという、罪の意識を背負って生きることになる。気に入らないからと言っても、ひど過ぎる。

★その他の突っ込み
 死体を埋めた場所は平たんな場所のように見えた。豪雨によって、遺体が露出してしまった時は、斜面のように思えた。


【ストーリー】(番組サイトより)
 佐藤拓也(坂口憲二)は、大学を中退して家庭教師を仕事に生活している。ある日、勉強を教えに出向いた岸田家で殺人が発生してしまう。拓也と同じく岸田家で家庭教師をしている八木由紀子(八木のぞみ)が、次男の隆夫(吉田憲祐)に刺されて絶命したのだ。建築デザイナーとして名声を馳せる岸田家の主、創介(白井晃)は、拓也に証拠隠滅の協力を依頼する。
 金を支払いという創介の強引な依頼に当初はためらう拓也。だが、あまりに執拗な創介の願いに、拓也は証拠隠滅の方法など全てを自分に一任するという条件で引き受けた。
拓也は岸田家の長男、正樹(八神蓮)と由紀子の遺体を運び出し、山奥の林の中に穴を掘って埋める。土をかぶせる前に、拓也は遺体の身元が割れないよう、由紀子の顔と手を薬品で焼いてしまった。そして、拓也は岸田家の人々に由紀子の存在したことを徹底的に知らないものとするよう促す。また、由紀子のアパートに忍び込み、家庭教師をしていた証拠を隠滅。さらに、恋人の河合雅美(関めぐみ)の容姿を由紀子に似せて岸田家に出入りさせるようにした。
 だが、岸田家に由紀子の写真を携えた男が訪ねて来て…。

原作:東野圭吾 『犯人のいない殺人の夜』(光文社文庫)
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日野川河原の風景 5月31日、7月9日

2012-07-17 22:53:31 | 歳時
春に、菜の花で登場してもらっている日野川の河原(堤防)です。


 春(4月27日)は

でしたが、随分様変わりしています。

【5月31日撮影】


 薄赤紫色に見えますが、枯れているのではなく、何かの花のようです。


 少し近づいて、出来るだけズームしてみましたが、よく分かりませんね。「少し近づいて」……手抜きです。

 堤防(道路)の方に目をやると、

 チガヤです。
 昨年も登場しています。

その記事から引用(手抜きとも言う)します。
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 ススキの小型版みたいです。生息地もススキと重複。ススキの方が背丈が高く有利なのですが、年に何回か人の管理がある(刈り取られる)所では、生育が早い回復力のあるチガヤが優勢になるそうです。人の手が入らない所では、ススキに負け松林などで生息するそうです。
 春に赤紫の花序をつけ、その後、小穂(しょうすい)というところから白銀の絹毛(穂)をつけるようになります。
 最初は細く棒状ですが、徐々にふわふわしてきます。撮影時はちょうどその時期でした。
 秋から冬にかけて、今度は葉が紅葉し赤紫色に染まります。落葉樹の紅葉の原理と同じで、晩秋になると葉緑素が分解し緑色が消え、それと同時に葉に蓄積した糖やアミノ酸が光合成を利用してアントシアン(赤の色素)が生成されると理解しています。
 色のバリエーションで、一年を通して楽しませてくれ、若い花序も咬むと甘みがあり、甘味料として用いられたこともあるそうです。
 季節による変遷は『植物雑学辞典』の「チガヤ」の項が非常にわかりやすいです。
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 昨年の写真は

6月25日で、今年より一ヶ月弱遅いので、穂がモコモコしています。

 さらに、チガヤのそばには、

毎度おなじみのヒメジョオンです。


【7月9日撮影】
 上記、5月31日の堤防です。また様変わりしていました。


 同じ地点を撮らなかったのは失敗でしたが、写真に撮った地点ほどは咲いていませんが、同じ花・ハルシャギクが咲いていました。
 この花も昨年登場しています。
 「ハルシャ」はペルシャのことですが、なぜか原産は北アメリカ。別名はジャノメソウ(蛇目草)です。見ての通り、花が蛇の目傘のようなので、この別名がついています。明治の初期に観賞用に導入された一年草ですが、野生化して河原や道端で見られることが多いようです。

 昨年の方が花が元気だった(大きかった)ような気がしますが、撮った時が最盛期とずれていたのかもしれません。でも、気にしないで、たくさんアップします。





 河原はハルシャギクで埋め尽くされているようですが、それをかき分けてみると

 ツユクサ(露草)です。
 好きな花なので、見つけて嬉しかったです。やはり、昨年登場しています。一昨年も登場しています。
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『平清盛』 第28話「友の子、友の妻」

2012-07-16 11:35:14 | ドラマ・映画
保元の乱の直前辺りから、別のドラマのように面白くなっている。
しかし、1話ごとに区切って観ると評価は高いが、ドラマの繋がりを考えると、不満(疑問)点は多い。


 先週から今週について言うと、清盛(松山ケンイチ)と義朝(玉木宏)の一騎打ち(前話単独で観ても、この一騎打ちは不自然だったが)でとどめを刺さず、義朝は史実通り尾張で命を絶った。
 あの一騎打ちの場で、義朝のとどめを刺すのが友としての情ではないのだろうか。
 さらに、武士の地位を高め、武士の世を興すという使命を義朝は自分の浅はかな思いだけで放棄してしまった義朝を、息子の頼朝(中川大志)に重ねて、自分がその使命をひとりで背負わなくてはならなくなったとぶちまける清盛だったが、その思いは、前話で義朝本人にぶつけなければならなかったのではないだろうか?

 今話のメインは、頼朝の処遇と常磐御前(武井咲)とその息子たちの処遇だった。今後の展開を考えると確かにキーパーソンだと思うが、ここまでの流れを考えると、メインは義朝の最期と念願の公卿に到達したことではないのか?←最後にちらりとワンシーンとナレーションがあっただけ。(信頼(塚地武雅)の斬首、言い渡しの件はあるものの)

それはさておき、
清盛の決断 ~友の子、友の妻~
1.頼朝の処遇
 先述した、平氏と源氏の念願「義朝が放棄した武士の世を興すこと」、その使命を清盛ひとりが背負うこととなってしまい、その成就を頼朝が見届ける義務があるとして、流刑を命じた。

処遇の決断を揺らす事象として
①新しき国づくりを邪魔する存在の源氏の頼朝
②信西の敵である義朝の子
③池禅尼(和久井映見)が助命の進言

 清盛の決断を迷わす材料②として西光(加藤虎ノ介)が登場したが、ここで登場させなくてもいいのでは?再登場するのならそれなりの場を与えて欲しかった。出家したのに「首を刎ねろ」はないと思う。
 心の内を表に出さない清盛に人間の深みを感じるが、清盛がどのように考え、どのように心が動き、決断したのかが、私には読み取れなかった
 池禅尼と家貞(中村梅雀)の会話の中で、清盛の本心は頼朝の命を奪いたくないのだと語っていたが、「えっ、そうなのか?」と思った。

2.常磐御前らの処遇
 命を掛けて、子らを守るという常磐に、命を懸けて我が命を守った実母・舞子(吹石一恵)を重ね、生きて子を守れと言い放つ。

 一話単独と観ると、頼朝らの処遇にまつわるそれぞれの思いが、丁寧に描かれていてよかった。

【ストーリー】(番組サイトより)
 1159年12月、源義朝(玉木宏)は軍勢を失い、三人の息子ら数人と東国へ落ちのびようとしていた。しかし山中で三男の頼朝(中川大志)がはぐれてしまう。
 一方、謀反の首謀者である藤原信頼(塚地武雅)は後白河上皇(松田翔太)を頼り仁和寺に逃げ込んだが、そこへ平氏の軍勢が踏み込んだ。信頼は捕らえられ、藤原成親(吉沢悠)とともに清盛邸に連れてこられた。清盛(松山ケンイチ)はこの謀反人たちの処分を任されていた。清盛は長男・重盛(窪田正孝)の義兄である成親は許したが、信頼に対しては斬首を命じた。武士の判断により貴族が処分できるほどに、時代は変わっていたのだ。
 そのころ義朝一行は美濃の青墓にいた。戦で深手を負った義朝の次男・朝長(川村亮介)は足手まといになると命を絶つ道を選び、長男・義平(波岡一喜)は義朝と別れ北国へ下るが、やがて平氏に捕まり斬首となった。
 そして義朝は家人・鎌田正清(趙和)と逃避行を続け、1160年1月、尾張にいる正清の舅・長田忠致(おさだただむね・長谷川公彦)を頼る。温かい出迎えに安心する正清だが、義朝は忠致の背信を悟っていた。やがて囲まれた義朝と正清は刺客たちと斬り合った後、お互いに刺し違えてついに果てる──。
 二人の死を知った清盛は、更に義朝の嫡男・頼朝の追討を命じる。そして2月、平宗清(梶原善)がついに頼朝を捕縛した。連行された頼朝は、清盛と生涯2度目の対面を果たす。清盛は頼朝に源氏一門の悲惨な最期を語ると、頼朝は泣き崩れた。頼朝が下がった後、重盛が清盛に意向を聞くと、新しき国づくりを邪魔するものは友の子であっても許さぬと言い放った。

 頼朝が幽閉されているところに清盛の三男・宗盛(草川拓弥)が訪れた。戦場で頼朝に矢で狙われて腰を抜かした宗盛は、頼朝に悪口を言い放つ。そこへあらわれた池禅尼(和久井映見)は宗盛をたしなめ下がらせると、頼朝が檜(ひのき)と小刀を所望した理由を聞いた。頼朝は卒塔婆(そとば)をつくり、父・母や兄たちの菩提を弔いたいと答える。そして亡き母の教えに従い、源氏の誇りを持って沙汰を潔く受け入れると覚悟を語った。
 そんな頼朝に家族思いの息子・家盛の面影を見た池禅尼は清盛に助命を進言する。情に流されるわけにはいかないと拒否する清盛だが、池禅尼は断食をしてまでも清盛に助命を迫る。その一方で、信西の最期に立ち会った西光(加藤虎ノ介)が清盛を訪ね、信西の敵である義朝の子・頼朝の首をはねるように切々と訴えるのであった。

 そのころ、常盤(武井咲)は生まれたばかりの牛若(のちの源義経)ら三人の息子とともに鬼若(青木崇高)にかくまわれていた。ある日、常盤は三人の子を救うために六波羅の清盛のもとに行くことを申し出る。鬼若は止めるが常盤の決心は固かった。
 清盛と対面した常盤は、子らの命を助けてほしいと懇願する。平氏一門の中には、彼女を側女(そばめ)にすればよいという者もいるが、清盛は否定する。妻・時子(深田恭子)は、清盛が迷っていることを見抜き、義朝は敵である前にかけがえのない友だったことを考えて裁断するべきと清盛に助言する。

 相変わらず断食を続ける池禅尼は、家貞(中村梅雀)に真情を語っていた。本心では頼朝の命を奪いたくない清盛を、おもんばかっての行動だったのだ。
 そして裁断の日、庭に座す頼朝に清盛は、義朝が残した源氏の家宝「髭切」の太刀を見せる。尊敬する父が大切な太刀を失くす程まで追い詰められていたことを知り、衝撃を受けた頼朝は生きる望みすら失い、早く斬られることを望んだ。そんな弱々しい頼朝を見て、清盛は同情を通り越して怒りすらわいてきて、頼朝に義朝の姿を重ねたたきふせる。一緒に武士の世を望んだ最愛の友・義朝の死を嘆くとともに、ひとりで武士の世を切り開く自らの苦しさを語った。頼朝に誠の武士の姿を遠くで見ておれと、流罪を言い渡した。そして清盛は常盤をたずね、子どもを守るために生きろと命じた。

 やがて頼朝は配流先の伊豆に向かった。藤九郎(塚本高史)という若者とともに。
 そして清盛は武士としてはじめて公卿にのぼり、一門の繁栄を着実に築きあげていった。
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『遺留捜査』 第1話

2012-07-15 15:05:24 | ドラマ・映画
【番組サイト・イントロダクションより】
「遺留品」に込められた最後のメッセージに耳を傾け、
被害者の本当の想いと事件の真相に迫る刑事・糸村聡――

 ところが、彼は空気を読まない超マイペース男…でもある
そうだ


 そう、視聴者である私でさえ、彼にはイラつきを感じた。
 今シリーズでは所轄に左遷?され、捜査班に個性豊かな面々が揃っているので、彼との絡みが楽しみであるし、イラつきも軽減されるのではなかろうか?

 第1話は2時間スペシャルということで、捜査一課と所轄の反目(町田と糸村の因縁)や、所轄の一員である加賀見恵(黒川芽以)の命が掛かっていたので、糸村の単独捜査に対する反感が薄まっていた。(2話以降はどういう展開になるのか?)

 全体としては、真犯人の計画が巧妙で、真相がなかなか見えてこなかった。と言っても、無理やり見えにくくしているわけではないので、面白かった。
 しかし、恵の健康状態が危惧される割には、かなりの時間が経過しているように思われた。タイムリミットがはっきりしない上、時間の経過の描写が曖昧で、視聴者としてはもたつきによるイライラを感じ、ダラダラ感が強かった。

過去の署内のいじめや、若い警官・木村の死に至る状況に関する疑問
・署全体で理不尽ないじめが横行するものなのか?
・籠城事件発生で署内に副署長と木村しか残っておらず、待機態勢ではなく道場で稽古というのはあり得ない
・木村が現場に向かって飛び出していったが、追わなかった副署長にも大きな責任
・上記の「木村をひとりで行かせた」ことへの印象であるが、木村の彼女?友人?の長峰葵の「副署長が殺したと私は思っている」という言葉と実際とでは大きく異なっていた
・木村を鍛えることも大切だが、いじめを放置する副署長というのも問題あり

犯行の動機となり、標的となる人物があまりにも極悪
 今回の風間竜也も大それた犯行に巻き込まれるのが嫌で逃げようとした彼女を躊躇いもなく刺し殺す非道ぶり。
 他のドラマ『女秘匿捜査官・原麻希 アゲハ』(主演・瀬戸朝香)の被害者(犯罪者でもある)も人の命や痛みを屁とも思わない非道さ。

 法的には抵触していない人物を殺めてしまう……殺人を犯すのはいけない。しかし、こういう人物は殺人を犯すよりもっとひどいことをしているように思ってしまう。決して、殺人を容認する訳ではないが、そんなふうに感じてしまうドラマが多いような気がする。

その他の疑問
・遺留品のニーチェの本は、糸村が犯人(共犯者・真犯人の標的)にたどり着くための材料であるが、あまりにも不自然。
・スパナ対ナイフ、凶器としての優劣は不明だが、体力を考えると、あれだけ綿密な計画を掛けた割には、リスクが大き過ぎる。不意を突くならともかく、タイマン勝負で、しかも勝ってしまうとは!


【ストーリー】(番組サイトより)

 ある事件がキッカケで糸村聡(上川隆也)は警視庁捜査一課から月島中央署へと左遷される。その矢先、平和な月島中央署管轄内で事件が発生! 昼食を買いに出かけた月島中央署刑事課庶務の加賀見恵(黒川芽以)が何者かにさらわれたのだ。

 やがて、恵の父親・加賀見享(大杉漣)のもとに「娘を誘拐した」との電話がかかってくる。享の元部下である糸村はさっそく加賀見家へ。享によれば、犯人は意識不明状態にある恵の動画を送ってきたという。恵は半年前に腎臓の移植手術を受けたばかり。発見が遅れてしまうと、恵の身に不測の事態が起こる可能性が高まってしまう!

 差し迫った状況下で、さっそく月島中央署に捜査本部が立ち、月島中央署の刑事課課長・水沢響子(斉藤由貴)や佐久間裕司(八嶋智人)らは捜査に乗り出す。そんななか、糸村は殺された事件関係者の部屋にあった"あるもの"に目をつけ、鑑定を依頼するも、警視庁捜査一課の刑事・町田正義(吉田栄作)から拒否されてしまい…。

 しかし、どうしても気になる糸村は勝手に、科捜研の村木繁(甲本雅裕)に鑑定を依頼。時を同じくして、響子らが行った捜査の結果、ある重要参考人が浮かび上がる。その人物とは…享が関わった5年前の事件に関係していた人物だった! 関連性を疑った糸村はさっそく5年前の事件を捜査しようとするのだが…。

ゲスト:吉田栄作 深水三章 黒川芽以 川村亮介 辻本祐樹
          大杉漣  甲本雅裕
脚本:大石哲也
監督:猪崎宣昭
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第40期女流名人位戦 システム変更

2012-07-14 17:24:51 | 将棋
将棋連盟サイトから第40期女流名人位戦のシステム変更が発表された。

===========================================================================
 2013年1月から始まりますユニバーサル杯「第40期女流名人位戦」(主催・報知新聞社、公益社団法人日本将棋連盟、特別協賛・株式会社ユニバーサルエンターテインメント)より女流棋士のなお一層の棋力向上を目指し、「女流名人位リーグ」(1リーグ制・10名)と予選から成るシステムに変更することになりました。

 これにともない、現在進行中のユニバーサル杯「第39期女流名人位戦」A級・B級リーグの降級者人数とあわせて下記の通り変更。

第39期
*A級リーグ(10名):降級者 3名→6名
*B級リーグ(10名):昇級者 3名 ※変更なし、降級者 5名→7名
※第39期をもって、B級リーグは休止。
第40期
*A級降級者6名、B級降級者7名、ほか26名、計39名(予定)による予選(3枠)を行い、各優勝者が昇級。
*A級リーグを「女流名人位リーグ」と名称変更、第39期A級残留4名、同B級昇級3名、第40期予選昇級3名、計10名でリーグ戦を行い、最上位者が第39期女流名人に挑戦。降級者は5名。
第41期
*予選は5枠で行い、各優勝者が昇級。
*女流名人位リーグ残留5名、予選昇級5名、計10名によるリーグ戦。
最上位者が第40期女流名人に挑戦。
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 B級を廃止し、10名の挑戦者決定リーグ戦(「A級」という言葉も除かれる)で、優勝者が挑戦、成績下位5名が降級。ただし来期は一斉予選なので、従来B級に落ちたら、1年かけてリーグを戦い昇級する必要がない(A級から降級すると名人に挑戦するには最低2年必要だった)。
 予選の参加資格があれば女流名人に挑戦は可能になった。スピーディになったと言えるが、重みがなくなったとも考えられる。

 それはともかく、39期は既に始まってしまっており、今回の変更には不自然さを感じる
 来期(40期)から予選勝ちあがりのリーグ参加者を設けたかったせいか、今期のA級降級者は過半数の6名。今期降級しても来期に復帰可能とは言えるが、やはり残留はしておきたい。となると、かなり厳しい残留争いになる。
 順位最下位で現在4戦全敗の室田女流初段は、残留は絶望的状況(残り5戦を全勝して、他のメンバーが5敗するよう都合よく負け星が配分されれば残留できる)に陥ってしまった。
 来季は予選勝ちあがりを設けず、今期のA級残留(昇級)は、従来通りA級降級3名、B級からの昇級3名として、その10名でリーグ戦を行う方が自然のように思う。

 さて、リーグシステム変更の理由だが、「女流棋士のなお一層の棋力向上を目指す」とのこと。今期の6名降級、来季から5名の降級という点に着目すると、より厳しいシステムとなり、棋力向上が期待できる気がする。
 しかし、全体の制度が厳しくなったかは疑問である。B級がなくなったことにより、予選参加の資格さえあればタイトル挑戦の可能性が生じた。上記と重複するが、リーグ陥落しての復帰がしやすくなった(時間的に)
 それと、意識の問題もある。現状では、A級、B級、その他という格付けがされているが、リーグ在籍者(5名、あるいは10名)とその他というランクしか存在しない。ランクの意識としては緩くなるように思う。

 さらに、B級リーグをなくすことで、リーグ参加者以外は対局数が減ることになる。
 女流棋士の棋力向上という観点から言うと、この対局減はかなりのマイナス要素だと考えられる。
 昨年度の女流棋士52名のうち、12局以上対局があったものは半数以下の25名。5割以上の棋士が月1局未満の対局生活である。これではプロとしての存在意義があるのだろうか?
 連盟が「女性棋士は望んでも、女流棋界がいらない」という方針ならこれでもいいと思うが、もし、女流棋界の発展を望むのなら、もう少し援護が必要だ。これから女性で棋士になろうと志す者は、正棋士や女流のトップを目指すと思われるので、今回の改正は小事かもしれない。
 ただ、女流棋士としての職業を紹介する時に年に数局では夢を語れない。もう少し、連盟も大局的な視野を持った方がいいように思う。
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『警視庁捜査一課9係 season 7』 第2話「殺人陶器」

2012-07-13 23:13:50 | ドラマ・映画
 9係の面々、つまり加納・浅輪組、青柳・矢沢組、村瀬・小宮山組が思い思いに捜査するので、散漫さがあり、理解が捜査に追い付けない面があるが、これがこのドラマの味なので、文句はない。
 仲が悪いようで、お互いが信頼しており、息が合わないようでぴったり合っている掛け合いは心地よささえ感じる。

 それぞれが独自の見立てで捜査していくのだが、加納が現場の状況を常人では見逃してしまうような事象をも深く鋭く見つめ、分析していく。その推理には、「なるほど、鋭いなあ」と思わせられる。
 しかし、時には、その推理が加納の洞察力を際立たせようとし過ぎて、無理を感じることもある。今回はそういった勇み足を感じてしまった。

①アイスコーヒーの氷に使用した陶器を、そのまま空のまま冷蔵庫(冷凍庫)に戻すのは不自然。しかも、加納が見つけた時、他の陶器の水も凍っていなかったように見えたが……。

②炭酸バリウムが入っている容器が、最近動かされた痕跡があると、加納が分析したが、誇りの積もり方がドラマでは左の図のような状態だった。しかし、よく考えると、右の図のようになっていないとおかしい。



【ストーリー】(番組サイトより)
 今は亡き陶芸家・斎藤茂三郎(河原さぶ)の作品を扱うことで成功を収めていた会社社長・松岡(本城丸裕)の遺体が社長室で発見された。何者かにナイフのようなもので襲われたようだが、その割に出血が少ない。
 秘書の徹子(馬渕英俚可)によると、聡子(麻乃佳世)という社員が出社していないようだという。青柳(吹越満)と矢沢(田口浩正)は、聡子の自宅を訪ねようとした途上、自殺しようとした聡子を救出。その聡子はあっさり犯行を自供する。

 青柳らの聴取に聡子は、松岡と付き合っていたが、離婚してくれない松岡に遊ばれたと思い、社長を殺し自分も死ぬつもりだったという。事件解決か、と思われたが、真澄(原沙知絵)の解剖の結果、松岡の死因は窒息死、もしくは毒物による中毒死であることが判明。ということは、聡子は犯人ではないということになる。現場にこぼれていたコーヒーから毒物の炭酸バリウムが
検出されたことから、松岡は毒殺されたことになる。(この辺り、文章が変)
 倫太郎(渡瀬恒彦)と直樹(井ノ原快彦)は、松岡の死が茂三郎の死と関係があると直感。茂三郎の死について改めて調べるのだが……
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