英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season14 第15話「警察嫌い」

2016-02-11 23:42:16 | ドラマ・映画
「流石だ!見事としか言いようがない。優秀なる諸君に、惜しみない拍手を贈ろう。(パチパチパチ)
 この短時間に、自白を引き出すとは。しかも、被疑者全員から」(内村刑事部長)
「3人とも犯行を認めさせてどうするぅ!犯人は一人だけで充分なんだぁ!」(中園参事官)

 “優秀”という言葉が使われたが、この“優秀さ”、警察組織にとっての“優秀さ”と一般市民にとっての“優秀さ”とは違うようだ。
 今話のタイトルにもなっている「警察嫌い」は、今回の事件の目撃者・青木(浅利陽介)の感情なのだが、どうして警察嫌いになったのかは不明(父親が警察官だったらしい)。しかし、警察組織が求める“優秀さ”に大いに関係があるように思える


・誰でも疑う猜疑心の強さ。今回は3人も疑いを掛けた。
・さらに、厳しい取り調べで3人とも自白を引き出した(3人共謀でなければ、必ず2人は冤罪)
・事件解決の為には、ずかずかと職場に乗り込んでくる(青木の言葉を借用すれば、「うんこ(事件)に群がるハエ」)
・証拠を手に入れる為、強引に罪状(今回の場合、“盗撮”)を作り、捜査令状で証拠物を押収する


何故か捜査に消極的で、正攻法を取らない右京
「いずれにしても、彼女の交友関係を丹念に当たっていけば、そう時間は掛からずに、“犯人検挙”ということになるのではありませんかねえ。
 我々の出る幕はないということですよ。
 少なくとも僕はキミ(冠城)のように、遊園地のアトラクションにでも参加するような了見で事件に参加することはできませんねえぇぇ」

 絞殺事件の被害者の女子大生の父親が暴力団の組長ということで、事件に興味を持った冠城に誘われて、殺人現場で事件の検証をした際の右京の言葉である。
 普段は頼みもしないのに捜査に首を突っ込む右京が、今回はなぜか乗り気でなく、捜査一課に任せればよく、興味本位で捜査しようとする冠城をたしなめていた。(右京も人をたしなめるような日頃の行いではないと思うが)
 
 それでも、事件の目撃者・青木(浅利陽介)に到達する右京たちだが、「警察に協力する義務はない」と証言を拒否(後に、撮影映像もあることが判明)。
 
 一課は一課で、容疑が強い3人を取り調べていた。
 花の里で幸子に「で、どうなさるんですか?」と水を向けられたが
「僕がしゃしゃり出るまでもなく、早晩、犯人は絞り込まれますよ。そのための取り調べですから」
と傍観の姿勢。


 頑なに、証言や証拠物の提出を拒む青木を見て、
「協力を拒んでいる目撃者を当てにせず、右京さんなら、得意の推理で別の強力な証拠を上げる正攻法を採るのではないか(警察が困っているのを見て喜んでいるのだから、相手にすればするほど、向こうの思う壺)」(冠城)
「確かに君の言うとおりですが、あからさまにああいう態度を取られると、“意地でも一泡吹かせたい”、そういう気分になりますねえ」
 と、大人げない態度。
(一晩、考えて、大人げないと反省したらしい)
 普段の右京なら、2人もの冤罪状態を見過ごさず、更に、真相究明に全力を注ぐのではないだろうか?


私情(興味)から、画策する冠城
 捜査一課の証拠品の押収の為の令状取りを妨害したのは冠城だった。
「何の罪もない一般市民に別件容疑を掛けて、証拠物件を押収するのは間違っているので、悪いことはしたと思っていない」
「令状が降りて、あっさり証拠物件が押収されてしまうと、右京さんの出る幕がなくなってしまう(右京が青木に一泡吹かせるのを見たかった」


 右京に断られて、被害者の父親の組長を引っ張り出し、脅迫まがいの行動を取る冠城
 この行為に右京も小言を言おうとするが、代わりに、角田課長が激怒。
「やくざに捜査協力を頼んで、どうするのぉ!洒落にならんよ
 今は、組の名前出すだけで、脅迫になりかねない。奴らも危うい立場なんだから」
 暴対法絡みで、普段から注意を払っている組対五課課長、証拠を提出しない目撃者に対して、組が何をするかわからないと怒るのも無理はない。
 さらに、
「あんたもあんただよ!勿体ぶってないで、とっとと今回の件にケリつけろ!
 でないと、この先生(冠城)、何、やらかすか分からんぞぉ!連帯責任だよ」
と右京にも怒鳴りつける。

 冠城の狙いは、角田課長を怒らせて、右京を動かすことだったようだ。

右京の謀略「時間差立体的面通し」
 拝み倒して写真による面通し(実は組対五課の三人の写真)のあと、立ち去っていく青木の横を、被疑者の三人がすれ違う。虚を突かれた青木が、真犯人の顔を見て驚き、真犯人が判明する


知らなかった「証拠隠滅罪」の真実
「証拠隠滅罪」は犯人以外に適応される。犯人は証拠を隠滅しても罪にはならない。むしろ、“犯人がそうするのは当たり前”という考え方らしい

 まあ、証拠隠滅を計れば、悪質であるとして罪が重くなる可能性はありそうだが。


面白かった演出
・組長が角田課長に被害者が自分の娘だと告げた直後、周囲の皆が驚き立ち上がる(全員組員)
・最後の面通しで、犯人が判明し、連行すると同時に、席についていた客が全員立ち去る(全員刑事)
・真犯人に対して、他の容疑者への取調官も押し寄せ、総出での取り調べ
・面通しのフェイク写真も笑えた


異質な展開で、残り10分ちょっとで、角田課長に怒られている右京。どうなることかと思った。
警察の傲慢さ、右京と冠城の確執、証拠隠滅罪に関する驚きなど、盛りだくさんで面白かった。
暴走気味の冠城も面白かった。ただ、右京の消極性に違和感を感じた。



【ストーリー】番組サイトより
殺人事件発生!!…しかし唯一の目撃者は捜査協力を完全拒否!?
3人の被疑者と警察嫌いの目撃者が捜査を翻弄する!

 マンションの一室で女子大生・色川真子(澄音)が絞殺される事件が発生。真子は、広域暴力団の組長・伊縫(上杉祥三)が愛人に産ませた娘で、伊縫は組対五課の角田(山西惇)から情報を引き出そうとするなど、不穏な動きを見せる。
 一方、事件に興味を持った亘(反町隆史)は、強引なやり方で右京(水谷豊)を捜査に引っ張り出す。亘と共に現場にやってきた右京は、向いのマンションから男性が現場を注視しているのに気づく。気になって事情を聞きに行くと、男性は青木(浅利陽介)という公務員で、犯行の一部始終を目撃したが、警察の捜査に協力する義務はないと、一切の証言を拒否してしまう。
 そんな中、捜査一課が3人の被疑者を拘束する。しかし、状況証拠を見るとそれぞれが極めて怪しく、犯人の特定は難航。改めて、“目撃者”である青木の存在が重要になってくるが…!?

警察嫌いの目撃者が証言を拒否し続ける本当の理由は?
3人の被疑者の中に真犯人はいるのか、それとも…!?
さらに今回の事件が、右京と亘の関係に大きな波紋をもたらす!

ゲスト:浅利陽介

脚本:輿水泰弘
監督:橋本一
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

臨床犯罪学者 火村英生の推理 第4話「ダリの繭」

2016-02-11 14:21:47 | ドラマ・映画
……チグハグな犯行の痕跡……
一刻も早く現場から逃げたいはずの犯人が
 何故、衣服を奪ったか?
 何故、フロートカプセルの中に遺体を隠したか?
 何故、わざわざ髭を剃ったのか?



事件のポイント
・死亡推定時刻は金曜日午後11時~深夜2時
・鈍器で頭部を滅多打ち
・リビングで殺害された後、フロートカプセルに入れられた
・髭を剃られていた
・下着だけ残され、その他の衣服や靴もなし(自宅なのに?)
・金品が奪われた形跡なく、社長・秀一に深い恨みを持つ犯人と思われる
・弟の堂条秀二と吉住則夫、秘書の鷺尾優子、デザイナーの長池伸介、皆、アリバイはない

吉住の告白
・社長にデザインのことで叱責され、フロートカプセルに入り、出てくると、自分の衣服が血だらけになっており、リビングに社長が殺害されていた。
・疑われると思い、社長の衣服を脱がせそれを着て、自分が来た痕跡(指紋など)を消した。フロートカプセルに社長を入れたのは、自分が入った痕跡を消すため。

 鍋島刑事「俄かには信じ難い」
 小野刑事「いい加減な言い逃れにしか聞こえない」
しかし、吉住の言葉は、冒頭のチグハグさの謎のうちの2つに説明がつく

凶器の発見
・現場から500mの地点で、凶器と2足の靴が発見された
・その凶器は、社員旅行(鳥羽)で長池が買った女神像と同種のものだった。

長池への聴取
・女神像は長池が所持しており、凶器の女神像は別のモノだった(瞳の部分の真珠の形が違う、後に女神像は2作しか作られていないことが判明)
・吉住の小細工だと主張し、吉住には芸術センスがなく、今回もデザインをベースの色からやり直すことになったとぼやく

今週の大家・時絵のヒントタイム
「ふたりともいつもと全然違いますやん。
 いつもの挨拶がない、いつもの返事がない、いつもの反応がない
 ずっと一緒に居てたら、そんなん、すぐ気づきます。
「いつもないもんがあるんと同じぐらい、いつもあるもんがないのも違うて見えるんです」

 ぴ~ん!ぱ~ぱらぱ~♪…これまでの映像や台詞がフラッシュバック……
  ………「この犯罪は美しくない」


「時絵さん、ありがとう」
 火村、時絵をがっしりとハグ。
「わお~」

「いつもないこともありました」


推理のピースがすべて揃った 
女神像が凶器に使用された
    ↓
女神像を購入した者が犯人
    ↓
購入時に変装 ← 社長の髭が剃られていた(実は、自ら剃った)
    ↓
≪秀一の計画≫
社長が自宅で長池を殺害し、後に長池家に遺体を運び、長池家にあった女神像を回収すれば、犯行現場は長池家ということになる。アリバイ証言に利用するため吉住を呼んだ。
社長のターゲットは長池(吉住がデザインのダメ出しを知っていた)

≪秀一、返り討ちに遭う≫
長池が逆襲し、社長を殺害。何度も殴打していたので殺意は否定できない
逃げる時間を稼ぐため、吉住の服を汚し、凶器と靴を持ち去り処分。社長の付け髭はもみ合ううちに服に付き、処分。

「楽しいですか?あなたの推理で、彼と私の人生は大きく変わってしまった。
 いつもそんなことして、楽しいですか?」(優子)
「こうするしかないんです」(火村)
「悲しい生き方ですね」(優子)


悲しみの淵に沈む優子を、懸命に救い上げようとする有栖川に
「有栖川さんは優しい人ですね」

 このシーンは疑問。
 鷺尾有栖川の切ない恋を重ねていて、それの着地点となっていたが、優子が火村をなじるのは逆恨み近い(推理ショーみたいなことをした火村にも原因があるが)。
 火村と有栖川の対比という意味もあるが、今回の殺人は、社長の嫉妬心と長池の優子への思いの強さが招いた悲劇で、過去3話とは異常性は低い。そのため、火村が「悲しい生き方ですね」となじられるシーンが欲しかったのかもしれない。

火村と有栖川にとっての繭
 高校時代の苦い恋の想い出が、有栖川が小説の世界に没頭するきっかけになった……小説が有栖川を守ってくれる繭となった。
「おまえにもそんな繭、あるか?」(有栖川)
「ある。学問にかこつけて、人を狩ることだ」(←「こうするしかないんです」「悲しい生き方ですね」)



今週の火村&有栖川漫才
【その1】
「あのカナリヤ、どうした?
「ああ、とっくに返したでぇ。ほんで、返すときなぁ、お隣さんがもみじまんじゅ…」
分かった!少し黙ってくれ
 すべてがチグハグだ…………
 ……何か言いたそうだな……黙ってないで、何か言ってみたらどうだ。
 いつものように、デタラメに思ったことを」
「言う気なくすわ」
早く言え!
「遺産が目的なら、犯人は弟の秀二か吉住。ただ、俺は吉住はウソついてへんと思う。
 そして、小町(小野刑事)さんが言っていたことが本当なら……鷺尾さんもいる。
 社長とデザイナー・長池の諍い。ただ、仮にそうやったとしても、鷺尾さんは全く悪くな…」
分かった!少し黙ってくれ」 
「“おまえが言え”言うたんやろぉ」

【その2】
 翌朝、火村が準備した朝食を見つめ
「まるで新婚家庭の朝食やないか」(有栖川)
「俺も新妻になったような気がしている」(火村)
グッと顔を近づけ、見つめ合う
「なんだ?あんまり見つめるな。新婚ごっこはお終いだ」(火村)
「あほか」
「冷める前に食え」
「知っとるかぁ……俺なあ……」≪暗転≫


今週のどうでもいい感想
不憫な岩城滉一
 ふざけた髭を付けさせられて、マザコンで、嫉妬心に駆られて殺害計画を立て、返り討ちに遭い、頭を滅多打ちに殴られ、裸にされて変な浴槽に入れられてしまう……
不憫その2・難波検事
 毎回、シャングリラ十字軍の指導者・諸星沙奈恵を賺し脅すが、ほとんど無視。
 今回は頭突きを食らい「あふぅ~」と悲鳴
不憫その3・女神像
 あまり魅力を感じない女神像だった。
 2体しか作られず、ようやく売れたと思ったら、凶器に使用されてしまった。


【ストーリー】番組サイトより
 火村(斎藤工)とアリス(窪田正孝)は、宝石商の堂条秀一がレストランで女性と一緒にいるところを見かける。 画家のダリを思わせる個性的なヒゲを生やす秀一は、テレビ等に出演して名の知られる存在だった。連れの女性を見た火村は、彼女がアリスの理想のタイプに違いないと言い出す。火村に胸の内を言い当てられて動揺するアリス。確かにアリスは、その女性に自分の思い出を重ねていた。
 数日後、秀一が殺害される。火村とアリスは、事件現場である秀一の自宅へ向かった。遺体の第一発見者は秀一の弟・堂条秀二と、秀一の秘書・鷺尾優子。優子は、火村とアリスがレストランで見た、秀一の連れの女性だった。
 秀一の遺体は、彼が“繭”と呼んで愛用するフロートカプセルの中に入れられていた。そのカプセルには特殊な液体が満たされ、秀一はしばしば中に入ってリラックスしていたという。金品が盗まれた形跡はなく、犯人は秀一に強い恨みを持つ人間か知人とみられた。火村は、秀一の遺体が裸にされてヒゲを剃られた状態だったことに違和感を覚える。
 火村は、秀一が優子に特別な感情を抱いていたのではないかと推測。しかし優子は、秀一とは仕事上の関係しかなかったと主張する。彼女は、宝飾デザイナー・長池伸介との関係も噂になっていた。
 秀一には秀二の他に、吉住則夫という弟がいた。吉住は、火村とアリスの大学時代の同級生で、アリスの友人でもあった。吉住にも容疑がかかるが、吉住は無実を訴える。火村は吉住に「本当に何もやっていないのなら、すべてを話した方がいい」と告げる。
 事件を追う一方、優子のことが気にかかるアリス。火村の差し金で優子と二人きりになったアリスは、今まで誰にも話していなかった自分の過去を語るのだった。
 そんな中、アリスは、吉住に呼び出される。火村とともに吉住のもとへ駆け付けたアリスは、秀一の血が付いた服を見せられる。決定的な証拠が見つかり、吉住が犯人と思われたが…。


原作:「ダリの繭(KADOKAWA)1993年」

脚本:佐藤友治
演出:浅見真史
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

臨床犯罪学者 火村英生の推理 第3話「准教授の身代金」

2016-02-10 22:40:32 | ドラマ・映画
列車の座席に、緊張した面持ちで鞄を抱える女性
「用意シタ金ヲカバンニ入レテ 明日11時10分ノ南宇治行キニ乗れ
 左ノ席二座ッテ 赤イ目印ヲ探スコト
 見ツケタラ カバンヲ窓カラ落トセ
 赤イ目印ヲ見ノガスナ
 警察ガ居タラ終ワリ」

 おおっ、これは身代金の受け渡し!

 しかし、その裏には、更に驚くべき事実が……

夫を殺してしまった妻に「夫を誘拐した」という電話が掛かる。さらに「恵里香、俺は間違っていた」という夫の声も。
 死体を放置した場所にいくと、死体は消えていた……『世にも奇妙な物語』のような展開



 列車には、警察らしくない火村&有栖川が同行することになった。
(でも、周囲を刑事たちが取り巻き、赤い目印を血眼になって探しているのは、まずくはないか?)

列車の中での、火村の推理
「警察の介入を前提に計画を立てている
 わざわざ事前に髪の毛を送ったのは、警察に鑑定させ誘拐の事実を示すため。
 (しかし)前日に電車の時刻を指定するのは準備の時間を与えるのは妙。
 これは空振りだ」


火村の予見通り、赤い目印は分からず、犯人からの接触もなかった。

学食での火村の推理
「本気で身代金を奪おうとしているようには思えない。
 “赤い目印”ではあいまい過ぎるし、目印を見つけ、窓を開け、放り投げる時間や距離も不確定すぎ、杜撰な計画である。
 ≪志摩征夫自身の狂言≫とも考えられる。
 最悪の場合、准教授はすでに殺されている可能性もある。


火村の危惧した事実が明らかになる……准教授の死体が廃墟で発見された
・死亡推定時刻は4日前(脅迫電話の段階では死亡していた)
・妻は、脅迫電話で夫の声を聴いている
・他所で殺害され、死後しばらく経過後、運ばれた
・後ろから撲殺

これまでの火村の言葉
「警察の介入を前提」「身代金を奪う意思がない」と
視聴者が知っている事実
「妻が夫を殺害」「強引に誘拐を警察に通報した志摩のマネージャー・城戸」「殺害直前の夫の言葉と脅迫電話の際の夫の言葉が一致」

これらを総合し考察すると真相が見えてくる。

 真相は、≪准教授の妻・恵里香(西田尚美)に好意を持っていた城戸が、恵理香の凶行を知り、彼女を庇うために誘拐事件を起こした≫というもの。
 ≪脅迫電話で聞いた夫の台詞が、殺害直前のモノと同じ≫→≪誘拐犯は盗聴しており、盗聴の録画を利用した≫という推理が成り立つ。

 さらに、城戸が火村&有栖川に会った時、ふたりを逆だと思い込んでいたという事実が、火村は盗聴されていたことを気づかせた。(でも、火村のルーズなネクタイの締め方は教授には見えないと思うが)



 火村と有栖川から追及を受けた際の城戸の異常性は第2話で記述
 やはり、狂気が街に充満していて、火村も狂気の淵に落ちてくことを示唆する描写は好きになれない。


大ざっぱな感想
・出だしは面白かったが、城戸の通報が強引過ぎたのと、殺害直前の言葉を脅迫電話で使用したのは分かりやす過ぎ
・城戸が勘違いしてしまった火村たちのやり取りは不自然だったし、城戸がふたりを間違えたのは迂闊過ぎ
・殺人後、誘拐をでっちあげて罪を隠ぺいするという筋は、他にもあった気がするが、初出は2004年なので、何とも言えない。筋立てはともかく、上述したように、ドラマ冒頭に比べて中盤以降は脚本・演出が粗かった気がする
・優香のメイクが、初回より、眉毛が細くアイラインも薄くなってきた
・NHKのコント番組『LIFE』のせいで、西田尚美さんがシリアスな演技をするほど、コントに思えてしまう。「カッツ、アイ!」とポーズを取らないか心配してしまった。

今週の火村&有栖川漫才
「准教授がが主役って、どんなドラマだ?」
「確か、准教授がえらいモテる恋愛ドラマだ」
「リアリティがないなあ」

「退屈だ、帰っていいか?」
「子どもみたいなこと言うなっ」
ピンポ~ン、ピンポ~ン
「犯人か?」
「んなわけ、ないやろぉ」

今週の大家・時絵からの謎掛け
 火村たちが下宿に帰ると、花瓶、魚の置物、ウールのカーディガンが不自然に置かれており、
「おかえりなさぁい。んふふ、うふうふふ」
と、時江が怪しげに笑いながら、牛革の財布を置く。
「中へどうぞ…くっふっふっふ」
という時絵に招かれ奥へ行くと、2本のこけし、カニの缶詰、獅子頭、2枚の皿、和裁のはさみを2つ絡めたもの(蠍のつもり)、破魔矢、『はらぺこヤギのいるところ』という絵本
「家の中に不自然なものがいくつかある……何かの暗号か?」
有栖川の小説の中に出てくる謎らしい。時絵と有栖川がニヤニヤ笑い、その後馬鹿笑いして火村を挑発。
 ムキになる火村、歩きながら考え、5歩進んだところで
「一つ足りない……乙女
すかさず時絵が、ぶりっ子ポーズで
「あ・た・し」と


 答は、12星座。

 あまりに早く解かれて、ショックを受ける有栖川だった。

【ストーリー】番組サイトより
 ドラマで准教授役を演じて人気を博す俳優の志摩(飯田基祐)が誘拐され、京都府警が極秘捜査を開始。火村(斎藤工)と有栖(窪田正孝)は、鍋島(生瀬勝久)の依頼で志摩の自宅に駆け付ける。
 志摩の妻・恵里香(西田尚美)によると、彼女が出張先の九州から京都に戻ってきた矢先に犯人から脅迫電話がかかってきたという。犯人は身代金3000万円を要求し、警察に届けたら志摩の命はないと恵里香を脅迫。恵里香は警察に知らせないつもりだったが、誘拐を知った志摩のマネージャー・城戸(児嶋一哉)が通報したのだった。

 警察の捜査が続く中、志摩の自宅に差出人不明の荷物が届く。中身は、志摩のものと思われる髪の毛の束と脅迫状だった。脅迫状の内容は「用意した金をカバンに入れて明日、指定した列車に乗れ」というものだった。警察がそばにいることが分かったら志摩の命も失われると脅された恵里香は、鍋島ら刑事の同行を拒絶。代わりに、火村と有栖が身代金の受け渡しに行く恵里香と同行することに。
 翌日、金を持った恵里香が犯人の指定した列車に乗り、火村と有栖も同行。しかし、同じ列車にずっと乗り続ける恵里香に、犯人からは何の接触もない。火村は、犯人が警察の介入を前提に計画を立てていると断言。結局、この日は空振りに終わる。
 まもなく、志摩の遺体が廃墟で発見される。火村と有栖は、遺体発見現場へ。鑑識の結果、志摩は別の場所で殺害された後に廃墟まで運ばれ、恵里香が脅迫電話を受けた時点ですでに死んでいたことが判明する。しかし、恵里香は、脅迫電話で志摩の声を聞かされたと証言していた。

 火村は、犯人の目的が最初から志摩の殺害だったのではないかと推理。恵里香の犯行とも考えられたが、九州にいた恵里香が遺体を遺体発見現場の廃墟まで運ぶことは不可能だった。火村と有栖は、事件のカギを握る恵里香に、詳しく話を聞きに行くことに。そして、事件は意外な展開を見せる…。


原作:助教授の身代金(「モロッコ水晶の謎(講談社)」収録  初出:『小説現代』2004年9月増刊号メフィスト)

脚本:マギー
演出:明石広人
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

臨床犯罪学者 火村英生の推理 第2話「異形の客」

2016-02-09 22:02:34 | ドラマ・映画
主人公・火村英生についてなど
 犯罪社会学准教授・火村と推理小説作家・有栖川コンビは、シャーロックホームズとワトソンの関係に似ている。コンビのリーダーは変人・ホームズ(火村)であるが、ワトソン(有栖川)は変人が逸脱しないよう世話をする保護者の立場。それでいて、友情で結ばれている。
 違うのは、火村は犯罪に興味を持つに留まらず、殺人行為願望があること。第1話冒頭の火村が人を滅多突きにするシーンが、火村の妄想なのか、願望なのか、記憶なのか……
 何度も映像が流され、更に、各殺人のシーンを火村の姿で再現するのは、鬱陶しい。

 有栖川の存在意義
 過去に火村から「人を殺したいと思ったことがある」と聞き、時折、火村の異常性を感じ、火村が軌道を逸脱し大気圏外に飛んでいかないよう見守り、時には修正している。
 また、火村も有栖川と一緒にいることで、心の安定を感じているようだ。
 「有栖川の存在意味がない」という意見を目にするが、それは違うと思う。
「質量が変わる火村を関知して、有栖川が重りを機敏に調節する天秤の図」+「二人の信頼関係」がこのドラマの大きなテーマ。
 第1話のラストで、
「みんな、お前みたいに強くな……すまん、お前も俺が思うほど強くないのかもしれん」
 と火村に言う有栖川。そして、、
≪男の心の奥底に横たわる冷たく暗い海……崖の縁に立つ男の背中を、私の手はいつまで繋ぎ留められるのだろう≫
と、心の内を独白。


火村の風貌
 ネクタイを緩め、頭はモシャモシャ(“ぼさぼさ”ではない)
 番組サイトのイラストをさらにデフォルメした感がある。髪型もそうだが、“ラフな着こなし”と言うより、“だらしなさ”を感じる。
 この2話は、包帯男が『犬神家の一族』でマスクをかぶった佐清(すけきよ)を連想させ、事件現場に登場した火村は金田一耕介を彷彿させた。
 確かに、金田一耕介っぽいが、よれよれのレインコート、だらしない着こなし、モシャモシャ頭は刑事コロンボを意識している気がする。

有栖川のイメージ
 キラ(八神月)であり、平重盛である。朝の15分番組にも2度も出演するなど、かなり忙しい。
 火村が事件を解決するのを見て≪計画通り≫とほくそ笑んでいるに違いない。

 親友思いのいい奴。ワトソン役。
 推理作家であるが、今回、わざわざ旅館に行って執筆作業のはずだが、1行も書いた様子はなし。
 喋りは金田一少年の堂本剛を連想する。


火村の殺人願望に呼応する犯人の異常性
・第1話の連続通り魔犯
「知りたかった……“バーチャルな世界と現実の世界との境目が分からなくなる”…それがどんな気分なのか」

・第2話の衝動殺人&計画殺人犯
「見なよ。町中を悪者たちが平然ととぼけて笑っている。
 全員捕まえるつもり?正義の味方も大変だね」

・第3話の盗聴魔
「私の操り人形にしたかった。あの人の声、息遣い…それを聞くことしかできなかった私が、あの人の感情、行動を思うがままに操れる……あんなに甘美なことはなかった。
 彼女だけじゃない。警察も私の掌の上で翻弄されている。電車の中で彼女や警察が、血眼になって“赤い目印”を探している姿を想像するだけで私は……はあはあ」
「あの窓の向こうにも、盗聴器は仕掛けられ、向こうの灯りの中では、そこから漏れる音に耳を澄ましている人間がいる。そう思ってこの景色を見てください…はあはあ(瞳がキラキラ)」(火村「あんた、今でも楽しいか」と反撃)

 これらの犯人は、≪世の中、異常な奴ら、犯罪者で溢れている≫ことを示唆している。
 シャングリラ十字軍、夕日に怯える女子学生、謎の少年……と、今後、絡んでくると予想されるが、個人的には、シリーズを収束(最終回)に向けて盛り上がらせなくても、単話が面白い方が嬉しいのだが
……



「異形の客」
殺人現場の特徴
・指紋は拭き取られている
・浴室使用の形跡はない
・毛髪1本検出できない
・残っていたモノは、浴室の排水溝に落ちていた旅館の歯磨き粉のキャップ(指紋はなし)のみ→わざわざ歯磨き粉を持ってきて、浴室で歯を磨いた
  犯人は冷静かつ徹底的に自分の身柄を隠そうとしており、衝動的殺人ではない

包帯で顔を隠す理由
1.逃走犯かもしれない。シャングリラ十字軍かも。
2.常連客、従業員、有名人も正体を隠す必要がある
3.怪我をしている

被害者・相羽の様子
・人目を避けていた サングラスを常用
・駅前の傷害致死事件後、それが顕著になった
       ↓
 犯人か、あるいは、目撃者か

・幻の名盤を何枚も所有していた
・旅館チェックインの時刻に、部屋で観葉植物の宅配便を受け取っていた
・灰皿の複数の吸い殻から頻繁に客人があったはず

被害者の友人・幡多について
・殺害現場の旅館のひとり息子
・サークルのパーティで夜遅くまで遊び回っていて、明け方は部屋で寝ていた

包帯男の不可解な挙動
・部屋に行くときわざわざ有栖川の方を見た。あるいは、有栖川の向こうにある般若の面を見た。
・翌日、通った時は、目もくれず普通に通り過ぎた
≪あるモノではなく、ないモノに光を当てる≫
有栖川と逆方向に、大きな鏡があった
      ↓
最初の包帯男は醜形恐怖症(浴室で歯を磨いたのも鏡が嫌いだった)、逃げた包帯男は別人だった
      ↓
幡多が傷害致死事件の犯人だとしたら、相羽殺しの犯人も幡多だ」という推論が成り立つ

 相場に犯行を目撃され強請られていた。(←相場が幻の名盤を所有していたことが根拠)
 強請られた金の工面の為にと、幡多の実家への窃盗の共犯を持ち掛け、架空の犯人(包帯男)に交代で成りすます。

 仮面などを介した「被害者と加害者のバトンタッチ」というネタはありふれているが、初出は1999年なので“ありふれた”という感想を持つのは間違いかもしれない。
 駅前の傷害致死事件を火村は「衝動的(発作的)殺人」と言ったが、狂気を携帯していたようなので“発作的”は妥当ではない。


火村の幡多への言葉
「見知らぬ人を発作的に殺し、友人を計画的に殺してなお平然ととぼけて笑っている人間に自主は必要ない。
 そんな奴は、逮捕状を携えた刑事の詰問を受け、手錠を掛けられ引き立てられるのがお似合いだ」


今回の大家・時絵からの謎掛け
 金庫の番号の暗号……ないモノを探す(見えないものに光を当てる)が解明の鍵
 「見えないものに光を当てる」が事件の真相解明のヒントになった。しかし、あの暗号は、それだけで融けるのだろうか?
 金庫の中身は夏樹マリのお宝写真(若い時の写真)だった。


今回の火村&有栖川漫才
金田一幸助を彷彿させるような出で立ちで現場に到着、歩み寄りと有栖川を指差し
「犯人はお前だ!」

ふたりで事件を整理
「事件は明け方、容疑者たちはそれぞれ一人で部屋にいて、アリバイがない」
「そや…そやから俺まで疑われている」
「しかし、お前を含めた容疑者た…」
「含めるな!」



【ストーリー】番組サイトより
 山間の温泉旅館に泊まり込んで執筆することになった有栖(窪田正孝)。彼は、その旅館で顔全体を包帯で巻いた不気味な男と出会う。その包帯男も、宿泊客の一人だった。
 翌朝、有栖が散歩していると、包帯男が通りかかる。まもなく、包帯男が泊まっているはずの部屋で何者かに絞殺された男性の遺体が発見される。被害者は宿泊客ではない若い男性だった。有栖は、包帯男が殺したと断言する。

 まもなく、鍋島(生瀬勝久)ら警察が旅館に到着し、火村(斎藤工)も駆け付ける。被害者の身元は、相羽(佐野岳)という大学生と判明。殺害現場には、犯人の手掛かりとなる痕跡は何一つ残されていなかった。
 火村は、犯人が徹底的に自分の身柄を隠そうとしていることから、衝動的な殺人ではないと推理。外部から侵入できる場所もなく、旅館の中にいる人間が手引きしない限り、入れないようになっていた。現場の状況から、包帯男が相羽を招き入れて殺したと考えられた。顔を見られたくない宿泊客と従業員の中の誰かが、包帯男になっていた可能性が出てくる。

 宿泊客には有栖の他、CMで世間に顔を知られている美容整形外科医・是枝、過激派集団・シャングリラ十字軍の元メンバー・田ノ上と、彼女を旅館で待ち伏せていた男・呉。しかし誰一人、相羽と関係があった人間はおらず、彼を殺す動機がない。
 火村は鍋島とともに、相羽の住んでいたアパートを訪ねる。大家に話を聞くと、相羽がほとんど家から出ない引きこもりだったことが分かる。聞き込みの最中、相羽の友人・幡多(吉沢亮)が現れる。幡多の実家は、相羽が殺された旅館だという。幡多にも容疑がかかるが、殺害時刻には完璧なアリバイがあった。

 謎の包帯男の正体とは? そして、相羽を殺したのは一体誰なのか!?


原作:異形の客(「暗い宿(KADOKAWA)」収録)


脚本:マギー
演出:佐久間紀佳
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

臨床犯罪学者 火村英生の推理 第1話「絶叫城殺人事件」

2016-02-08 22:34:06 | ドラマ・映画
(今さら、第1話です)
 『すべてがFになる』(『S&Mシリーズ』)や『鍵のかかった部屋』など、探偵や教授や弁護士など刑事以外の人物が主人公となる推理ドラマは、舞台設定(屋敷モノ、孤島モノ)やトリック(密室、アリバイ)などに趣向を凝らしてあり、ワクワクする。
 刑事ドラマだと捜査手法や動機など、現実的要素にケチをつけたくなることが多いが、こういうフィクション色が強いドラマだとそれも気にならなく、純粋に推理を楽しめる。
(刑事ドラマを否定しているわけでなく、刑事ドラマも好きです。刑事以外の主人公と言っても、タクシードライバーは別ですし、浅見光彦シリーズは推理よりは別の要素で楽しんでいます)



挨拶代わりの“密室?殺人事件”
 正確に言うと、マジシャン・容疑者(第一発見者)の部屋(鍵が掛かっていた)に、被害者が入り込み殺害されていたというモノ。
 名探偵コナンのように、現場のソファーのズレ、被害者と関係者の装飾品などから、即座に解明し去っていく。
 連続推理ドラマでよくある“掴みの事件”だが、掴みにするには勿体ない気もする。原作は『201号室の災厄』(『暗い宿』の一篇)らしい。

「絶叫城殺人事件」(今話のメイン事件)
 “絶叫城”とあるので、“館モノ”かと思ったが、話中の連続殺人のモチーフとなったゲームの題名だった。
 こういう“連続殺人モノ”においては、連続殺人の共通点(被害者、殺人現場、殺害手段)や根底にあるテーマ(今回はゲーム)である。
 今話もそれに沿った推理がなされる。しかし、4件目の事件は共通点が多いが、犯行曜日など一致しない点もある。しかし、「被害者の口の中にあった紙切れがこれまでのモノと一致したことから、同一犯によるもの」というのが警察の見解であった。

 しかし、火村は4件目の事件に違和感を感じた。
 ここで、ありがたかったのは、犯罪学者・火村(斉藤工)、推理作家・有栖川(窪田正孝)、小野刑事(優香)、鍋島刑事(生瀬勝久)らが、4件目の事件の疑問点を整理してくれたこと。
・被害者は何故あの現場にいたのか(普段の被害者の行動パターンでは、あの場所に行くことは考えにくかった)
・犯人はなぜ犯行ペースを早めたのか?
・犯行現場にこれまでとは共通性のないのはなぜか?
・どうやって緊急配備の網をくぐり抜けたのか?
・凶器や紙切れは一致……犯行の連続性も火村は認める

しかし、「予定外の殺人」に思える。
 上記の5点から、事件の真相が見えてきた。

そして、4人目の被害者の住居を検証。
・生真面目で几帳面な性格(ごみの分別もきちんとしていた)
・文鳥を飼っていて、鳥籠が近辺に捨てられていた(逃がしてあげた)
         ↓
所定の日、所定な場所でない場所に捨てられていたのは、几帳面な被害者らしくない。
         ↓
急いで捨てなければならない特別な理由があった
         ↓
殺と分からないように、自 殺しなければならなかった
  鳥籠だけが残っていれば、逃がしてあげたと推定され、自 殺の可能性も考えられる
         ↓
4件目が自 殺(被害者が殺人者)と仮定すると、4件目の疑問点も解消される。

真相は、連続殺人犯が弟であったことにショックを受け生きる気力を失くし(両親も数年前不慮の事故で死去)、自分が被害者となれば入院中の弟には犯人の容疑は絶対に掛からない、自らがナイトプローラー(連続殺人者)となった。
 奇しくも、ゲームの「ナイトプローラー」のエンディングは≪ナイトプローラーを倒した女性(プレーヤー)がナイトプローラーと化してしまった≫をなぞったものとなった。


・火村と有栖川コンビのやり取りが面白い
「有栖、お前にカナリアを預けた隣人のファインプレー(事件解明のヒント)かもしれん」
「ん、俺ちゃうの?」
・大家の時絵(夏木マリ)も味がある
・推理(事件)も面白い
・夕日に怯える学生の貴島朱美、シャングリラ十字軍の諸星沙奈恵、謎の少年と意味深なキャラも興味深い
・時折挿入される古都・京都の風景
・きりっとした優香を最近見たことなかったので、出演者のクレジットが出るまで気づかなかった。

面白かったが、気になる点もいくつか。この点については、第2話以降で。

 

【ストーリー】番組サイトより
 英都大学の准教授・火村英生(斎藤工)は、警察の依頼を受けて殺人事件の捜査協力をする犯罪学者。彼は「人を殺したいと思ったことがある」と公言し、究極の犯罪を追い求める。心に闇を抱える火村を見守りサポートするのは、友人の推理作家・有栖川有栖(窪田正孝)。火村は有栖をパートナーに、数々の事件を解決してきた。
 火村は、若い女性2人が殺害された連続通り魔事件の捜査に関わっていた。2人の口の中には、解読できない謎のメッセージが書かれた紙切れが残されていた。事件が起こったのは、2週連続で火曜日の夜。火村は、3週目の火曜日の夜に第三の殺人が起こるのではないかと考えていた。
 火村の予想通り、3週目の火曜日の夜に同じ手口の殺人が発生。火村と有栖は、現場へ駆け付ける。被害者はまたしても若い女性で前の2件と同じく、背中から鋭利な刃物による刺殺。被害者の口の中には、犯人からのメッセージらしき紙切れがあり、そこには「NIGHT PROWLER」(ナイトプローラー)と書かれていた。“ナイトプローラー”とは、「絶叫城」という人気テレビゲームのキャラクターと判明。犯人には「絶叫城」の知識があると考えられた。火村は、「絶叫城」を制作したゲーム会社を訪ね、ゲーム制作に関わった人間を探る。
 次の火曜日まであと3日となった晩に、第四の殺人が起こってしまう。被害者は、フリーライターの雪枝(入山法子)。殺害の手口は前の3件と同じで、口の中に残された紙切れには“GAME OVER”と書かれていた。「絶叫城」も、4人が死ぬとゲームオーバーというストーリー。一連の犯行は「絶叫城」に従って行われ、これが最後の犯行ではないかと思われた。
 しかし、火村は「この事件は、これまでの3件と違う」と断言し…。

 原作:絶叫城殺人事件(「絶叫城殺人事件(新潮社)」収録)

脚本:マギー
演出:佐久間紀佳
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何のための「日本陸連設定記録」なのか? ……リオ五輪マラソン代表選考

2016-02-07 15:24:05 | スポーツ
 大阪国際女子マラソンで、2時間22分17秒で優勝した福士選手が名古屋ウィメンズマラソンも出場するという。
 日本陸連設定記録(選考基準タイム)の2時間22分30秒を上回る成績で優勝したというのに、代表の内定が出されず、“有力な候補選手のひとり”に据え置かれたからである。
 本人はもちろん、マラソン関係者、マスコミも「福士、代表決定!」と思ったはずである。ところが、上記の扱いで、その後の報道も「代表に大きく前進」というような表現に留められていた。


 これでは、設定記録の意味がない!

 全く実績のない選手なら、内定を出すのに慎重になるというのなら理解できるが、トラックでのスピード、これまでの実績において申し分のない福士選手である。と書くと、「福士選手だからOK」という論旨に受け取られそうだが、「設定記録を上回り、優勝したのだから、即“内定”を出すべき」というのが論旨。

 日本陸連が、よほど優柔不断なのか、福士選手が嫌いなのか……
 陸連が優柔不断なのは、「瀬古選手の為に補欠選考レースを設けたソウル五輪選考」から何度も不合理な選考を繰り返してきており、“優柔不断”というよりは“論理的思考欠如”と言ったほうが良いかもしれない。
 直近では、マラソンと競歩は「世界選手権で8位以内なら即内定」、それ以外の種目では「世界選手権で8位以内ならほぼ内定」という甘い選考基準を設定している。だいたい、“ほぼ内定”て何だよ!
 そのおかげで、7位入賞の伊藤舞選手が内定し、残り枠が「2」となってしまい、ただでさえ難航する代表選考が、さらに混迷の度を深めた。


 リオ五輪のマラソン代表選考レースは、さいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソンの3レース。伊藤選手が内定してしまったので、3レースで2代表選手を選ぶという歪な選考状態となってしまった。

 3レースによる選考規定(条件)は
3レースにおいて日本人3位以内から、次の1、2の優先順位で選考する。
1、陸連設定記録(2時間22分30秒)を満たした者(最大1人)
2、選考3レースの記録、順位、レース展開、タイム差、気象条件等を総合的に勘案し、五輪で活躍が期待されると評価された者


 この規定だと、3レースにおける日本人3番目以内の選手が候補(最大9人、重複する選手が出現する可能性もある)で、この候補の中から、設定タイムを上回った選手から1人選出。その後、記録やレース状況や期待度を総合的に評価して、残り(今回は1人)を選出することになる。
 なので、名古屋ウィメンズの前に内定を出すのは、この規定に矛盾することとなり、福士選手に内定を出さなかったのは妥当な判断と言える

 選考方法は歪なのだが、変なとこだけは厳格である。

 内定をもらえなかった福士選手だが、普通に考えれば、少なくとも「2」の規定で選出されるはずだ。しかし、名古屋ウィメンズで福士選手を上回る選手が2名以上出現すれば、代表が危うくなる(名古屋ウィメンズ出場の選手は福士選手の記録を目標としては知ればいいので、レース展開を組み立てやすく若干有利)。タイムがすべての選考規定ではないが、福士選手が選ばれなくても文句は言えない。
 福士選手を上回る選手が2人出なくても、設定記録を上回る選手(福士選手のタイムを下回るタイムでも可)が1人いれば、理論的には福士選手が選ばれないこともあり得るのである。

 まず、疑問なのは「1」の項目で、設定記録を上回った選手が複数いる時、何を基準に選ぶのか?(私が知らないだけかもしれない)
 単純に考えれば、記録の良い方であるが、レース条件等で左右されるので、単純には比較できない。やはり「2」の項目のように、総合的に比較するのであろうか?

 そもそも、設定記録が有効に機能するのは、設定記録を上回る選手が1人のみの時で、設定記録を上回る選手が複数いる場合は有名無実に近いものとなる。そう、現行規定では「設定記録は有名無実」なのである(大事なことなので、2度繰り返す)。

 では、選考基準記録を設定することはナンセンスなのだろうか?
 そうではない。諸悪の根源は、「3レースで2名を選出する」という歪んだ選考方式なのである
 これが3レースで3名選出なら
「設定記録を上回った日本人選手最上位は即内定」という規定を設けることができる。

 本来は1レースでの一発選考が理想なのだが、せめて、「3レースで3名選出」に留めるべきである。選考レースに「世界選手権」を加えたことで、歪みが生じただけでなく、甘い「即内定」を出してしまったせいで、文句なしのレースをした福士選手が内定を得られないのは、不幸としか言いようがない。(福士選手に内定を出せないのなら、伊藤選手の内定を取り消してほしいくらいである)
 せめて、さいたま国際の日本人選手最高記録が2時間28分43秒となった時点で、残り選考2レースで「設定記録を上回った日本人選手最上位は即内定」と変更するべきではなかったか?
 それができなかったのなら、福士選手のレース内容を協議した上で、「福士選手、代表内定」と裁定を下せば、名古屋ウィメンズに出場する選手も納得し、最上位の好タイムを目指すのではないだろうか?
 「文句は受け付けない」ぐらいの度量がなければ、安易に選考基準記録を設定してはいけないのである。


 名古屋ウィメンズに出場することで、福士選手がコンディションを崩してしまったら………今からでも遅くはない、内定を出してほしい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スペシャリスト 第4話

2016-02-06 21:52:30 | ドラマ・映画
「敵を欺くには先ず味方から」
 “味方”というより“視聴者”を騙すのがまず第一というこのドラマの主題そのものだった。



 ドラマ上で騙された被害者は、唯子(芦名星)耕平(平岡祐太)。
 真里亜(夏菜)も被害者だが、主役クラスなので振り回されても“おいしい”役回り。
 唯子と耕平は、連続ドラマとなって完全に“使いっ走り”に格下げ扱いなので、不憫だ。

 それはともかく、犯人・矢橋の潔白を信じる姉小路(南果歩)が矢橋に呼び出され、危機に陥るという展開。実は、矢橋に騙された振りをしていただけで、姉小路と善人の描いた筋書きだった……のだが、
「ヤバいどころじゃないよ。姉小路さんにとっては、最悪の展開かも」
という善人の言葉。この時点で、唯子と耕平を騙す必要がなく、視聴者の緊迫感を高める為だけの台詞と言える。
 こういう台詞(演出、脚本)が目立つドラマである。



「分かるんですよ~あたしぃ。あたしの相方、10年10ヶ月入ってましたから」
姉小路にこの台詞を言わせるためのストーリーだったのだろう。


 しかし、
「冤罪で刑務所に入る悔しさを、話してたわね。
 本当に冤罪で服役した人間の心は、もっと冷たく冷え切って、もっと静かに強くなるものなの」
と、語る姉小路に対し
「どうして、そんなことが(わかるのか?)」
と矢橋が訊ねたことに対する姉小路の決め台詞であるのだが、善人はそうであっても、今回の姉小路の様子だと、他には冤罪者を見ていないと考えられる。だから、断定し過ぎ。
 断定し過ぎるのも、このドラマの特徴である。



 不可解なのは、復讐に走った矢橋の行動
 冤罪だったのなら復讐も理解できるが、服役を終えて出所してきたのなら、加瀬を殺害して罪を犯すのはリスクを大きくするだけ。
 井澤を探し出すのが困難でも、根気強く探し出して、強請った方がリスクも小さく、リターンも大きい。
 

【ストーリー】番組サイトより
 加瀬信行(山田悠介)というキャバクラのボーイが自宅で刺殺された。部屋の窓ガラスが割られていたことから、臨場した松原唯子(芦名星)、堀川耕平(平岡祐太)らは典型的な居直り強盗と判断。だが、総合事犯対応係(仮称)の部屋に戻ってきた唯子たちからその話を聞いた宅間善人(草剛)は、加瀬の部屋の場所や周辺の環境から「こんな逃げにくいところに空き巣に入るわけがない」と、強盗説を一蹴し、犯人は初めから殺害目的で加瀬の部屋に侵入したはずだと主張する。
 それなら、と加瀬の交友関係を当たり始めた総合事犯対応係(仮称)のメンバーたち。その中で、宅間はなぜか姉小路千波(南果歩)と我妻真里亜(夏菜)を現場に行くよう仕向ける。

 実は宅間は、ここ数日、千波が元受刑者の矢橋宗一(眞島秀和)という男について調べていたことが気になっていた。さらに「加瀬信行」という名前を聞いたときの千波の反応が、露骨に何かを知っているようだったため、その理由を問いただすと、千波は衝撃的な事実を明らかにする…!

 5年前、京都府警捜査一課に在籍していた千波は、ある工場の事務所から純金を盗んだ容疑で矢橋を逮捕。自供もあり、矢橋はそのまま強盗罪で懲役刑を受け、先月刑期を終えて出所したばかりだった。矢橋は当時工場の税務を担当していた税理士で、加瀬はその工場で働く工員、しかも事件当夜に宿直していた人物だったのだ!
 千波が関わった事件と今回の殺人事件が意外な接点を見せたことで、宅間らは出所したばかりの矢橋の犯行を疑う。だが、矢橋の更生を信じたい千波は「勝手に決めつけないで!」と、その推測を強く否定。ひとり矢橋の潜伏先を探し始める。

 一方、宅間たちも矢橋の行方を追う。やがて5年前の工場強盗事件の新たな関係者が浮かび始め…?
 さらに、千波は5年前の事件について真里亜に衝撃的な事実を明かす!

脚本:戸田山雅司
監督:及川拓郎
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第65期王将戦第3局 不可思議な将棋

2016-02-05 23:27:25 | 将棋
第65期王将戦第3局は羽生名人が勝ち、シリーズ成績を2勝1敗とした。

 ゆったりとした進行で、32手目を羽生名人が封じ手終了。

 指し掛け図は31手目、封じ手直前の局面。


 2手前に先手の郷田王将が▲2五銀(第1図)と3四の歩取りを見た手に対し、後手の羽生名人が放置して悠々△5四銀と上がる。さらに、郷田王将が▲6八玉と居玉を避けて間合いを計った局面だ。

 序盤で後手から△8八角成▲同玉と角交換しているので1手損しているうえ、3四の歩を取られそう。自陣付近で戦いが始まり後手玉は居玉で薄い(主戦場の2筋とは離れているという利点もある)。大丈夫だろうか?と図を凝視したが、羽生名人の真意は分かるはずもない。

 中継の封じ手予想解説によると
(1)△3三銀……▲2四歩から銀交換して先手ペース。▲3六歩を突いていないので、角で飛車のコビンを狙われることがない
(2)△4四歩……本命視された手。以下▲3四銀△2四歩▲3五角(▲2四同飛は△3三歩▲2五銀△2三歩)△3三歩(変化図1)。先手は銀をどう助けるか。(a)▲2三歩は△同銀▲同銀成△同金▲4四角△4二玉(変化図a)で、先手の角が狭いのが気になるようだ。(b)▲2四角△4二飛(△3四歩を可能にして△4五歩を見せる)▲2五銀△4五歩▲7九玉△6二玉(変化図b)はどうか。先手は角を手放しているものの、長引けば歩得が生きる。(a)と(b)の違いは7七銀の働きで(8八銀型と比べて)、(a)が角の逃げ場所を減らしているのに対し、(b)は壁銀を解消した得だけが残る。
(3)△3五歩……平藤七段の予想手。銀の退路を断つ意味。
(4)△3三桂
(5)△5二玉……▲3四銀を誘った意味で、△2四歩▲3五角△3三歩▲2四角△3四歩なら銀得の後手有利。▲2四角が王手にならないので、先手は銀を助けるのに苦労する。ただ、△5二玉に▲7九玉と手を渡されると、玉上がりがプラスになるかは難しい。
(6)△6五歩……記録係の西山初段の予想。3筋の歩を取らせて、△3六歩▲同歩△6四角を作った意味。
(7)△1四歩……長沼七段が予想。本当は△4四歩を予想したが、みんな同じだとつまらないとのこと。強い先生の意見を参考にしたらしい。




 木村八段と飯塚七段の封じ手予想は、(1)△4四歩が一押し。「形勢は難しいものの、後手は苦労しそうだ」が一致した見解だ。

 羽生名人の封じ手は(7)△1四歩!
 直前の▲6八玉に呼応した手で、
「▲3四銀△2四歩▲3五角となったときに、やや先手の角が狭い。△1三角と反撃する味もあります。ただ、▲1六歩と受けられても得になるかどうか難しい」(木村八段)
「△1三角の筋があると、▲6八玉は悪形になる可能性もあります。▲3五角打ったあとに▲5六歩と角の逃げ場所を作ると、玉が角に狙われやすくなってしまいます」(木村八段)
「△2四歩▲同銀△2三歩のような変化のときに生きてきます」(長沼七段)

 羽生名人らしい柔らかい手と評判。
 ただ、「先手が8八銀の形で▲1六歩と指すと、平成11年の真田-金沢戦と同一局面になります。△2四歩▲2三歩△2五歩▲2二歩成△同金▲2五飛△3三桂▲2八飛△2六歩▲同飛△3五銀という華々しい展開になりました。その将棋は2六飛を2八に引いてますので、8八銀のままなのです。本局は▲7七銀の一手が入っていて、その将棋に比べれば先手が得をしています」(長沼七段)

 実戦も、郷田王将は1時間20分の長考で▲1六歩。
 さらに△9四歩▲9六歩。第1図からずっと間合いの計り合い。
 そして△4五銀で3四の歩に紐を付け、ついに▲3四銀を回避。
 これに対し郷田王将は▲3八金!

「▲3八金!」「わかんない」「わかりません」。木村八段と飯塚七段が悲鳴を上げる。…(by中継棋譜解説)
長沼七段も異筋に感じたらしく、この後ずっと△4九角の筋を気にしていた。

 結局、△2四歩と後手から2四へ歩を突きだして、2、3筋の睨み合いは解消。

 しかし、以下▲3六銀△同銀▲同歩△2三銀▲4六角△5二金と第二次陣立て戦に………

 その後も、押し、引き、突き、引っ張り込みなど捻じりあいが続き、ようやく終盤の様相が呈してきたのは夕方になっていた。
 おそらく、第2図の後、郷田王将が角を打った辺り以後は羽生名人がリードしていて、その後、二転三転(微差)して、終盤では羽生勝勢になったと思われる。
 傍目では「ゆったりとした一日目」とか「間合いを詰める」とか簡単に言えるが、当の対局者は水面下、深く深く限界まで潜り、読み続けたのではないだろうか?


 ところで、指し掛け図で「△3三銀は▲2四歩から銀交換して先手ペース」と却下されていたが


 巷(将棋ソフト検討)では、△3三銀が第一候補手だったらしい。
 疑問図は△5四銀と▲6八玉の交換はないが、▲2四歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△2三歩▲2八飛までは一本道。
 初級・中級講座で
「飛車先交換に3つの利」と並んでよく言われるのは、
「攻めの銀と(玉の)守りの銀の交換は、攻撃側の得」

 疑問図からの指し手は、まさにこの兵法に合致し、棋理に明るい者なら即行で排除しそうだ。
 しかし、▲2八飛と引いた局面での後手の指し手は難しいが、例えば△5二金と陣形を整備すると意外に難しいような気がする。


 相掛かり戦の後手が飛車先歩交換を急がない指し方も最近指されるようになってきている。
 「振り飛車には角交換(を狙え)」は死語になりつつある。
 「居玉は避けよ」も藤井システムでは無視している。

 これまでの定説が覆されてきており、この“守備銀攻撃銀交換法則”も絶対とは言えないかもしれない。
 羽生名人に「疑問図の△3三銀はどうなのか?」と訊きたいところだ。

 巷の噂を検証した棋士が疑問図のような△3三銀を指す日は、近いのかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相棒 season14 第14話「スポットライト」【追記あり】

2016-02-04 17:35:12 | ドラマ・映画
半茹で(生煮え)のぬるいラーメンを食べたような視聴感……

「切っ掛け(チャンス)がなければ、ブレイクできない」というのは肯定できるが、
「切っ掛け(チャンス)があれば、ブレイクできる」というのは真理ではない。
もちろん、今回の漫才コンビも“実力がある(面白い)のに売れない漫才コンビ”という設定だが
人間的にはともかく、キャラもネタも面白くなかった


 演出がまずいのか、脚本に問題があるのか……
 とにかく、この漫才コンビの伝(渋谷謙人)の狙いは
「殺人事件の犯人に顔を見られ、命の危険を感じて身を隠し、犯人が口封じに来たところを逆に捕まえてヒーローになり、これがきっかけでブレイクする」

というもの。
 実は、この筋書きには「伝が犯人と通じて、偽の犯人役(被害者の愛人)をおびき寄せ捕まえる」という裏があった

 まず、問題なのは、漫才コンビのコースケが借金に追われているという設定もあり、借金取りにおびえているのか、犯人におびえているのかはっきりしなかった。
 さらに、「犯人を返り討ちにしてヒーロー」という狙いを明確にしなかったので、「ドタバタ劇→事情聴取→人気者」という部分しか見えず、≪逃げ回って、目撃証言をしただけで、どうしてチヤホヤされるの?≫としか感じなかった
 せめて、事情聴取直後、マスコミが殺到して、犯人逮捕の様子や気持ちを尋ねるシーンを入れるべきだった。

 それに、肝心の漫才が体験談をおどけて話すだけでは面白くないし、≪そもそも、それは漫才じゃないだろ!≫と突っ込みたくなった。

 真犯人に取り引きを持ちかけ、「金よりもブレイクしたいだろ」と丸め込まれ、騒動を画策したが、
 この取り引きって、真犯人は痛くもかゆくもないどころか、憎き愛人を冤罪の罪に陥れるというおいしい話。

 脚本の狙いとしては、
「相方の才能にスポットライトが当たるようにするのが自分の役目。ずっと一緒にいても足を引っ張るだけ。自分が身を引く踏ん切りをつけるため、スポットライトを当てさせると同時に、自分が罪を犯し捕まる」という悲しく愚かな決断
 というものだったのだろうが、上述のように、ブレイクまでの筋書きが明確にできず、漫才もキャラも魅力に乏しく、真犯人がおいしい取引という煮込み不足。

 さらに、4年前に夫婦崩壊し、愛人と経営している欄栽培の会社は赤字経営、その上、赤字の会社を押し付けるというのに「お前に譲る」などという厚かましさ。さらに、自分は「花を探しに行く」と訳の分からないことを言う。
 確かに、こんな奴が背中を向けていたら、後ろからドツキたくなるだろう
 こんな“ろくでもない男”ともう一度やり直したいと思うのも不可解だし、≪自分は夢を捨てたのに、夫(被害者)は夢を捨てずに追い続けている≫ことが許せなかったから殺意に及んだというのも、バカバカしい。これが、欄栽培の会社が繁盛していたのならまだ理解できるが、こんな“甲斐性なし”で“ろくでなし”の言葉に殺人を犯してしまうとは、殺人動機にも煮が足りなさ過ぎ!

一発で“要注意脚本家”の仲間入り

【追記】
“たった一人のファン”の存在意義は、隠れ家を提供しただけというのも、酷い。
 あとは立ち位置云々を強調して、コアな漫才ネタのような雰囲気を出したくらい。
 せめて、何故ファンなのかぐらい語って欲しかった。



【ストーリー】番組サイトより
若手芸人がブレイクのために一世一代の大博打
コンビ愛が殺人事件に驚きの展開をもたらす!

 都内の駐車場で、蘭の栽培を手掛ける会社の経営者・式田芳彦(木川淳一)が、遺体で発見された。夫の芳彦とは別の会社を経営している妻のリオ(小林麻子)によると、芳彦とはもう何年も別居状態で、芳彦は4年ほど前から内縁の妻の志桜里(荻野友里)と暮らしているという。
 米沢(六角精児)から連絡を受けて捜査を始めた右京(水谷豊)は、殺害現場付近の痕跡から漫才コンビがそこを練習場所にしていたことを見抜き、亘(反町隆史)と共にライブ会場に聞き込みに向かう。すると、その小さな劇場を活動拠点にしている「でんすけ」というコンビの一人・コースケ(駒木根隆介)が、姿を消していることが判明。相方の伝(渋谷謙人)に聞くと、昨晩はネタ合わせがうまくいかず、ケンカ別れしたまま行方が分からないという。
 そんな中、発見された凶器からコースケの指紋が検出され、捜査一課は経営に関して芳彦と揉めていた志桜里が、運送業者の担当アルバイトだったコースケと共謀して事件を起こした疑いを視野に入れて捜査を進める。

売れない若手芸人、別居中のワケあり夫婦と夫の愛人。
入り組んだ人間関係に翻弄される捜査陣。
右京と亘は、愛憎渦巻く事件の謎を解き明かせるか!?

ゲスト:渋谷謙人 駒木根隆介 小林麻子

脚本:宮村優子
監督:内片輝
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

佐々木譲サスペンス『制服捜査2』(TBS月曜ゴールデン)

2016-02-03 17:37:52 | ドラマ・映画
土門刑事(科捜研の女)内藤剛司vs刑事部長(相棒)片桐竜次ではなかった……(当たり前)

 “制服捜査”という言葉に釣られて(変態か?)視聴したが、
≪捜査権を持たない駐在所勤務に異動した元敏腕刑事が、住民に寄り添う制服警官の職務にも燃えつつ、事件解決に臨む。
 上司や刑事部から「出過ぎたことはするな」という理不尽な扱いに屈せず、事件の真相を追い、過去の被害者も救う≫
真面目なドラマであった。

 しかし、それに拘るあまり、ストーリー展開に不合理や雑さが目立つ残念なドラマであった。

1.神隠しで決着って?
 13年前も少女の行方不明事件があって、結局、行方が分からず“失踪扱い”に。
 当時を振り返る防犯協会の面々が、「“神隠し”だったんだ」って、昭和、しかも、金田一耕介時代のど田舎ではあるまいし。

2.防犯協会会長の訳の分からない圧力
 「選挙違反を検挙する警察は地元のしきたりを蔑ろにする警察」「住民の中に“変質者”がいると疑う警察」に協力なんかしないという会長に賛同し、総意とする防犯協会って、いいのかそれで?
 そんな理由より、まず、少女の命でしょう。
 
 それに、防犯協会や消防団の協力がなくても、事件を解決できないのだろうか?山で遭難したわけではないし。
 会長と警察の関係もよくわからない。地元の名士であったらしいが、警察上層部に圧力をかけて事件をうやむやにしたのかどうかが分からない。(私が見逃しただけかも)
 啓子(高岡早紀)は「あの時、警察は何もしてくれなかった!」と叫んでいたが。

 さらに、会長と懇意だった現副会長・米山(林与一)は、会長をかばうことを言う。
 会長が人格者であったなら、上記の発言や行為はおかしい。
 それに、犯人(←会長の隠し子……それ自体、ダメだろう)のアリバイを確信していたのなら、堂々と捜査協力すべきであろう。

 当時、連続放火事件があり、警察が誤認逮捕した件は関係あったのだろうか?

3.アリバイはどうなった?
 隠し子が犯人だったので、アリバイ工作だったはず。
 当時の捜査で見破れなかったのは(ドラマの造りとしては)理解できるが、土門刑事にしろ刑事部長にしろ真相を究明しないと!

4.フェードアウトしていった登場人物たち
竹内勇三:(片桐竜次)……当時駐在所勤務、3年前定年
 13年前に少女を見つけられなかったことを悔やみ、今回の事件を独自に追い、犯人の仲間に刺され病院に搬送。その後、登場せず、生死不明。

菅原春江(棟 里佳)……婦人会世話役、元会長の愛人のいとこ
 今回、犯人・菅原芳雄(荒木宏文)のことを川久保(内藤剛志)に尋ねられ、芳雄が何かしたのではないか((悪いこと限定)と心配顔、そのままフェードアウト

米山巌男(林与一)……防犯協会副会長、当時の会長の行為や人格をかばう
 当時の会長を擁護し、今回、疑問を持ち始めた防犯協会員に“神隠し”だったと念を押した。それは誤りであったことが土門刑事により判明したが、土門に怒られることはなかった。
「服部会長の血を分けた菅原芳雄君が女の子を誘拐する。そんたらっこたぁあってはならねえ。この町の為にも、服部会長の名誉の為にも、断じてならねえことだ」
 と、まで言い切ったんだよ。

高野幸吉(山中崇史)……?
 フェードアウトどころか、出演していたことさえ気付かなかった。どんな役をしていたんだろう?(『相棒』の芹沢刑事役の俳優さんだよね)……制服警官役で今回行方不明になった少女・沙織を探したり、結構出番があったようだ

5.意味不明な啓子(高岡早紀)
 娘が行方不明のまま見つからず、心に穴がぽっかり空いたままという心情は理解できる。
 娘に買ってあげたティアラに気づき、そのことを尋ねようとしたのは良いが。
 「私はやましいことなどしていない!」と主張していたが、沙織が行方不明の原因である。あの時、ドクロの面をした男を見て沙織が逃げて見失い行方を捜したというが、あの時、警察などに事情を話し、ドクロ男の情報を伝えていれば、もう少し早く解決できただろう。その後は素知らぬ顔で生活していたし。

 さらに、芳雄逮捕の際、沙織を岸壁(海岸)まで引っ張っていき、娘との思い出を追想する?
 沙織親子の気持ち(心配・不安)は、誰よりも理解できるはずなのに。
 犯人から身を挺して守ったことを評価されていたが、連れ回したことは別である。まったくおかしな流れであった。“悲劇の母親”というシチュエーションに浸っていたし。

 そもそも、このエピソードはドラマをより劇的にするためのエピソード(川久保を窮地に追い詰め、“走れメロス”状態にする)だが、小賢しい演出としか言えない。それとも、岸壁を登場させたかったのだろうか


6.不可解な沙織の誘拐手順
①顔の芳雄が沙織にティアラをあげる
②沙織はティアラをして仮装会場付近で待機
③啓子がティアラをした沙織を見つけ、ティアラのことを尋ねようとする
④ドクロ男(芳雄)が近づき、驚いた沙織が逃げ出す

 この流れを考察すると、芳雄は可愛い沙織を見て彼女にティアラをあげたが、そのティアラに疑問を持った啓子の様子を見て、まずいと思い妨害し、誘拐したことになる。
 突発的誘拐のように思えるが、芳雄がティアラを持っていたことを考えると計画的か?誘拐するなら、①の時点でしたほうが良い。ドクロ男だと目立ち過ぎ。川久保もドクロ男の存在を知った時点で、目撃情報を集めるべき。
 そもそも、34歳にもなって、あの扮装はないだろう。

 さらに、
⑤啓子が沙織の手を引いて、紀子(手塚理美)とぶつかる
というシーン、①~④とは辻褄が合わない。


7.やたら豪華(キャラの立つ)な脇役陣
 小林綾子、林与一、菅原大吉、せんだみつお、竹内都子、菅原大吉、山中崇史、黒部進。
 佐藤蛾次郎、尾藤イサオ、中西良太のトリオは、アンパンマンの「天丼マン、釜飯どん、カツ丼マン」のどんぶりトリオを彷彿させた。

8.八戸(種差)の観光案内のような啓子の回想シーン
 啓子が娘の亜矢香との想い出を回想するが、観光案内みたいだった。

 今のところ、今年一番の残念なミステリードラマである。

【ストーリー】番組サイトより
 青森県警の敏腕刑事だった川久保篤(内藤剛志)は、県警本部の方針により八戸中央署種差海岸駐在所に異動。家族と離れ単身赴任して3か月になる。
 ある日、町を挙げた季節行事の祭りが始まった。広場では仮装コンテストが行われることになっており、様々な扮装をした人々が集まり賑わっていた。川久保の妻・紀子(手塚理美)と娘・美奈子(山本ひかる)も見物に来ており、家族は久しぶりの再会を喜んだ。
 川久保が後輩の警察官とともに警備に当たる中、臨時派出所に藤本昭(菊池隆志)と妻の由紀子(小林綾子)がやってきた。娘の沙織(安藤美優)の姿が見えないというのだ。仮装コンテストに出場する予定だった沙織だが、ステージにも姿はない。その間にわかった情報は、女に手を引かれて沙織が歩いて行ったという紀子の目撃のみ。この時紀子は、妖精の仮装をした沙織の髪を飾っていたティアラが印象に残ったという。川久保は上司の南孝義(せんだみつお)に捜査員の応援を要請するが、事なかれ主義の南はその必要は無いと一蹴する。
 川久保は町内の防犯協会の役員である米山巌男(林与一)、吉倉忠(佐藤蛾次郎)、片桐義夫(尾藤イサオ)、大西徹(中西良太)らと共に周囲を捜索するが、沙織は見つからない。川久保は防犯協会の面々の会話の中から、13年前の祭りの夜にも同じように仮装した少女が行方不明になった未解決事件があったことを知る。
 翌日さっそく調べると、13年前に姿を消したのは大月亜矢香(安生悠璃菜)という当時7歳の女の子だった。川久保は、当時の駐在員・竹内勇三(片桐竜次)のもとを訪ねて事情を聞く。竹内はすでに退職していたが、亜矢香を発見できなかったことは無念とともに心に深く刻んでいた。
 やがて、亜矢香も沙織と同じく妖精の衣装を着てティアラをしていたことがわかる。そして、紀子の証言から、沙織の手を引いていた女が亜矢香の母親・啓子(高岡早紀)ということも判明。13年間、亜矢香の発見に一縷の望みを抱いている啓子は、祭りの夜、亜矢香と同じティアラをつけた沙織を見かけて声をかけたのだが、その直後、ドクロの仮面をつけた男が現れ、自分が驚いた隙に沙織の姿が見えなくなったと証言した。
 川久保は南に反対されながらも、制服警察官の権限を越えて過去の事件を調べ上げる。一方、竹内も沙織と亜矢香を救うため、独自に過去の事件の関係者を訪ね、情報を積み重ねる。川久保と竹内はそれぞれの視点から事件の真相に迫っていく・・・。

脚本:峯尾基三
監督:金佑彦
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする