漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0315

2020-09-09 19:03:39 | 古今和歌集

やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば

山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば

 

源宗于

 

 山里は、冬には一層寂しさが増すことだ。人の訪問もなく、草も枯れてしまうと思うと。

 「かる」は「離る」と「枯る」の掛詞。人目も離れ草も枯れるという二重の文脈を、短い語句の中に巧みに同居させています。ただでさえ物寂しい山里が、冬ともなると来訪者も絶え、周囲の草木も枯れてしまって一層寂しさが募る。情景までが目に浮かんできますね。

 百人一首(第28番)にも採録の名歌です。