やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
源宗于

山里は、冬には一層寂しさが増すことだ。人の訪問もなく、草も枯れてしまうと思うと。
「かる」は「離る」と「枯る」の掛詞。人目も離れ草も枯れるという二重の文脈を、短い語句の中に巧みに同居させています。ただでさえ物寂しい山里が、冬ともなると来訪者も絶え、周囲の草木も枯れてしまって一層寂しさが募る。情景までが目に浮かんできますね。
百人一首(第28番)にも採録の名歌です。