漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0314

2020-09-08 19:09:23 | 古今和歌集

たつたがは にしきおりかく かみなづき しぐれのあめを たてぬきにして

竜田川 錦織りかく 神無月 時雨の雨を たてぬきにして

 

よみ人知らず

 

 竜田川が、紅葉の錦を羽織っている。十月の時雨を縦糸、横糸にして編んだ錦を。

 「かく」は「掛く」でしょうか。「たて」は縦糸、「ぬき」は横糸。紅葉をもたらすとされる時雨を、紅葉の錦を編んだ縦糸、横糸に見立てて、それを竜田川が羽織っていると見る。初句は「たつたやま」としている本も多いそうで、「錦を羽織る」という情景からすると、山の方がしっくりくるようにも思います。

 「神無月」と明示されいることからもわかる通り、ここから巻第六「冬歌」。0342 までの29首ですので、ご紹介が終わるのはまさに神無月の初旬。旧暦とは違いますのでまだ「冬」という季節ではありませんが、さすがに猛暑もなりを潜めているでしょうか。

 よろしくおつきあいください。