漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0843

2022-02-19 06:45:04 | 古今和歌集

すみぞめの きみがたもとは くもなれや たえずなみだの あめとのみふる

墨染の 君がたもとは 雲なれや たえず涙の 雨とのみ降る

 

壬生忠岑

 

 墨染の喪服を着たあなたのたもとは雲なのであろうか。そこから絶えず涙が雨のように降っている。

 詞書には「思ひにはべりける人を、とぶらひにまかりてよめる」とあります。泣いているのは喪服の主だけではなく作者も。二人の絶えることのない涙に、喪服のたもとを黒い雨雲に見立てての詠歌ですね。