ふかくさの のべのさくらし こころあらば ことしばかりは すみぞめにさけ
深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染めに咲け
上野岑雄
深草の野辺の桜よ、もしも心があるのならば、今年だけは墨染めの色に咲いておくれ。
一つ前の 0831 と詞書が共通。従ってこちらも藤原基経の葬送に際しての詠歌です。表現が非常に直接的で分かりやすく、その分、基経の死を悼む気持ちがより強く鑑賞者に迫って来ますね。
作者の上野岑雄(かんつけ の みねを)はどういった人物なのか、何もわかっていません。古今集への入集もこの一首のみです。