漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0837

2022-02-13 06:12:03 | 古今和歌集

さきだたぬ くいのやちたび かなしきは ながるるみづの かへりこぬなり

先立たぬ 悔いの八千度 悲しきは 流る水の かえり来ぬなり

 

閑院

 

 先にあの世に行かなかった私の悔いとして、何度も繰り返し悲しく思われることは、流れる水が戻って来ないのと同じように、あの人が帰ってこないということです。

 詞書には「藤原忠房が、昔あひしりてはべりける人の身まかりける時に、とぶらひにつかはすとてよめる」とあります。弔問につかわされた作者が、忠房の弔意に準えて詠んだということですね。「後悔先に立たず」「流水源に返らず」のことわざを踏まえた詠歌とされているようです。
 作者閑院の歌は 0740 と本歌の二首。どのような人物かは不詳です。