漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0834

2022-02-10 06:04:37 | 古今和歌集

ゆめとこそ いふべかりけれ よのなかに うつつあるものと おもひけるかな

夢とこそ 言ふべかりけれ 世の中に うつつあるものと 思ひけるかな

 

紀貫之

 

 この世は夢であるとこそ言うべきであったのだ。世の中に確かな現実があると思っていたけれども。

 詞書には「あひしりける人の、身まかりにければよめる」とあります。懇意にしていた人の死に直面して、その人と共に過ごしたこの世に確かな現実などはない、この世こそが夢であったのだと悲嘆の思いを詠んでいます。