漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 635

2025-01-10 05:34:10 | 貫之集

あひみずは いけらじとのみ おもふみの さすがにをしく ひとしれぬかな

あひ見ずは 生けらじとのみ 思ふ身の さすがに惜しく 人しれぬかな

 

逢わずには生きられないとばかり思う身であるが、やはり死ぬこともできない、そんな人知れない恋に悩むことであるよ。

 

 逢えないならいっそ命を断ってしまいたいと思うほどの恋心。万葉集に類歌が見られ、あるいはそれを踏まえてのものなのかもしれません。

 

いくばくも いけらじいのちを こひつつぞ われはいきづく ひとにしらえず

いくばくも 生けらじ命を 恋ひつつぞ われは息づく 人に知らえず

(万葉集 巻第十二 第2905番)