あひみずは いけらじとのみ おもふみの さすがにをしく ひとしれぬかな
あひ見ずは 生けらじとのみ 思ふ身の さすがに惜しく 人しれぬかな
逢わずには生きられないとばかり思う身であるが、やはり死ぬこともできない、そんな人知れない恋に悩むことであるよ。
逢えないならいっそ命を断ってしまいたいと思うほどの恋心。万葉集に類歌が見られ、あるいはそれを踏まえてのものなのかもしれません。
いくばくも いけらじいのちを こひつつぞ われはいきづく ひとにしらえず
いくばくも 生けらじ命を 恋ひつつぞ われは息づく 人に知らえず
(万葉集 巻第十二 第2905番)