漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 631

2025-01-06 04:41:09 | 貫之集

ふるあめに いでてもぬれぬ わがそでの かげにゐながら ひちまさるかな

降る雨に 出でてもぬれぬ わが袖の 陰にゐながら ひちまさるかな

 

降る雨の中でもあまり濡れない私の袖が、雨のかからない物陰にいながら、涙でますます濡れてくるのであるよ。

 

 女性の立場で詠んだ恋歌ですね。第四句「陰にゐながら」は、雨に濡れない物陰ということに加えて、男性の庇護の元にある(にもかかわらず恋心ゆえの涙を禁じ得ない)わが身を暗示してもるでしょうか。
 この歌は、拾遺和歌集(巻第十五「恋五」 第958番)に入集しています。



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