漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 670

2025-02-14 05:00:38 | 貫之集

ひとめゆゑ なみだをせけば からころも たもとはぬれぬ ねこそなかるれ

人めゆゑ 涙をせけば 唐衣 袂はぬれぬ 音こそ泣かるれ

 

人目を気にして涙をこらえると、余計に嗚咽の声が漏れて、袂が濡れてしまうよ。

 

 第二句「せけば」は漢字で書けば「堰けば」で、堰き止める意。「唐衣」は「袂」にかかる枕詞ですね。こらえるほどに涙が溢れる切ない心情を詠んでいます。