はなのいろは ただひとさかり こけれども かへすかへすぞ つゆはそめける
花の色は ただひとさかり 濃けれども 返す返すぞ 露は染めける
高向利春
花の色は盛りの一時期だけ濃いけれども、それは露が繰り返し繰り返し染めたものなのだな。
露が花を色濃く染めるというモチーフは 0444 にもありましたね。隠し題は「ただひとさかり こけれども」に詠み込まれた「さがりごけ」で、サルオガセのことです。
作者の高向利春(たかむこ の としはる)は、平安時代前期の貴族にして歌人。勅撰集への入集は古今集のこの一首のみです。