札幌市東区に、このような名前の森があります。
近くに大学はありませんが、どういう森なのでしょうか・・・。
ここは、現在の北海道大学の前身である「札幌農学校」の第3農場があった場所です。
この場所の歴史は、明治19年(1886年)11月、札幌農学校の校長であった佐藤昌介が、北海道庁長官の岩村通俊に対して「札幌農学校ノ組織改正ノ意見」を提出し、農学校が管理する農場の収益を農学校の資金として扱えるようにする法律の制定を求めたことに始まります。
佐藤の意見が受け入れられ、同22年(1889年)、現在の札幌市東区北部の「烈々布(れつれっぷ)」と呼ばれた地域において、363ヘクタールの広大な農場が、道庁から札幌農学校に移管されましたが、その直後に、官庁が資産を所持することが法律で禁止され、農場経営の収益を農学校の資金にすることができなくなったことから、農学校は農園と開墾地を道庁に返還し、農学校卒業生の親睦団体である「札幌同窓会」がその払い下げを受けることとなりました。
これらの土地が第1、第2、第3農園と称され、そのうちの「第3農場」があったのが、現在の「大学村の森」ということになりますが、村の名称の由来はそれではなく、戦後の農地改革に伴う農場の解放後、農場跡であるこの地に、北海道大学の教官用住宅が、約80戸建設されたことだそうです。
そのことから、周辺一帯がいつしか「大学村」と呼ばれるようになり、その一角が、現在こうして、森として整備され、憩いの場となっているということです。
「大学村」というのが通称地名ということで、もしかしたらと思って、周辺の電柱を見て歩きましたが、残念ながら、電柱には地名が表記されていませんでした。
こういう看板が設置されているというのも珍しい気がします。
私も子供の頃は、こういう小さな山で遊ぶのが大好きでしたが、遊んでいる子供たちの心に、こうした先人の思いが届いてくれるといいなと思います。
園内には、なかなかの巨木もあります。
ハルニレというと、先日亡くなられた小林亜星さんがCMソングを作曲された、日立のCMに登場する木が思い浮かびますが、漢字で「春楡」と書くこの木は、北日本を中心とした寒冷地に分布する、樹高が最大で30mに達するものもある落葉高木で、生育に適した北海道では特に大木が多く、朝鮮半島やアジア大陸の東北部にも自生しているそうです。
「ハンノキ」は、北海道から沖縄まで日本列島に広く自生しており、山野の低地や湿地に広く生育しています。
土壌中の水分が多いと酸欠になって枯死してしまう木が多い中、ハンノキは耐水性があることで、湿地帯で広く生育しているそうです。