monologue
夜明けに向けて
 



 それからしばらくすると、NHKカメラマンの山下伸一郎さんからヴィデオテープが二本届いた。一本はNHK総合テレビで『ひびけ いのちの歌声 第1回アジアわたぼうし音楽祭』と題して放送された番組そのままのヴィデオテープだった。伸一郎さんは現場で取材した立場から見て、プロデューサーの製作意図方針によって日本の代表曲二曲のうち「祈り」をなかったかのようにカットし「わかりあえる日まで」も英語の部分をカットして日本語だけであったかのように構成編集されたその作品に不満を覚えたらしい。それで自分で取材した多くのヴィデオテープを自分で編集してもう一本「第1回アジアわたぼうし音楽祭」のヴィデオテープを特別に作って送ってくれたのだ。そこにはあったことがあったままに映り、ありのままのみんなの姿が映っていた。わたしにはそれを見て欲しかったようだ。見比べるとわたしにもヴィデオカメラを通して現場から真実を伝えようとするかれの感じたことが伝わってきた。おかげでわたしはその特別編集ヴィデオテープによってのちにホームページにあの映像 をアップロードすることができたのである。

 そして、わたしがかれに「水面に描いた物語」のアルバムのカセットテープを送ると伸一郎さんはNHK山梨放送局で「ハロー・エンドレス・ドリーム」 をラジオでかけてもらったりした。なんだか心が底で通じ合っているような方だった。
fumio

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