カリフォルニアサンシャインagainその30
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中島茂男とふたりで仕事を始めた数軒のクラブでわたしと中島がアコースティックとエレクトリックのギターで一緒に演奏していると、ギターでオカズを入れたりする時、互いのフレーズがかぶることがよくあった。それで中島がわたしにアコースティックギターのかわりにベースを弾いたらどうか、と提案した。わたしはなるほどと思って次の日、楽器は古いほうが木の質が良いので中古楽器を探して日本の雑誌でもオールドギターの聖地として紹介されているサンセット通りの質、古道具店(ポーンショップpawn shop)をまわった。さすが世界のロックの中心地、何軒かまわるうちに目当てのロックベースの定番、 フェンダー・プレシジョン・ベースの状態がいいものがあったのですぐ購入して帰って一日中、教則本と首っ引きで基本的な弾きかたを覚えてその夜の仕事に使った。言い出しっぺの中島は演奏するそれぞれの曲のコードフィーリングが強まり曲想が深くなることに驚いていた。しっかりしたベースの上に構築する音楽は生きてくる。やはり何事も支えが大切であることを思い知った。突然クラブ「エンカウンター(邂逅)」で無理矢理のように邂逅させられて組み合わされて始めたバンドがやっとプロらしい本物の音を出し始めたのであった。ベースの重要性はよほど感性が優れているか実際に使用してみないとわからないものである。ベースは基音を弾くので弾きながら歌を歌うと声が安定するのだ。そんなわけでわたしは以来ビートルズのポール・マッカートニーのようにベース弾きボーカリストになったのである。
先日、シゲさんがわたしの家に寄った時、セッションをしたのだがわたしがメロデイを歌っていてここでオカズを入れてほしいと思うとロサンジェルス時代と同じように以心伝心で入れてくれた。何年たっても音楽的感覚は継続していてうれしかった。
fumio
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