monologue
夜明けに向けて
 



カリフォルニアサンシャインagainその36
*******************************************************
アメフトや野球、バスケットボールなどを大画面で友達とワイワイ楽しむスポーツラウンジ酒場「燈り」のバーテンダーはLAPD(ロサンジェルス警察)の女性職員が夜バイトでやっていた。それでLAPDの仲間の女性職員たちが連れ立って遊びにやってきた。どういうものかわたしの歌うウーマンウーマンがその女性職員たちに一時大人気になって彼女たちが現れるとリクエストされなくとも歌った。独身女性警察職員たちの心を打つらしかった。そしてある時同僚女性職員をアパートまで送ってやってくれと頼まれて仕事のあと、送って行ったものだった。警察関係とはいえ夜中の2時過ぎまで女性がうろついているとは…。日本では考えられない。
古い表現だがまるで万力で締め付けられるような気がした。
 背中から突然羽交い締めにあったのだ。頭の中ではジャック・ポットのようにつぎつぎにそんな冗談をしそうな友の顔が回転した。そのジャック。・ポットはついに止まって特定の像を結ぶことがなかった。わたしはふりほどこうともがいたがどうにもならない。相手の顔を覗こうとしたが見えない。時刻はそろそろ午前三時過ぎである。
 仕事が午前二時に終わって楽器類を片づけて店を出たのが二時半頃。ハーバー・フリーウェイからサンタモニカ・フリーウェイに乗り換える頃、おかしいなと感じた。後ろについていた車が離れない。不気味なものを感じた。スピードをあげていつものランプ(降り口)に達した。フリーウェイを降りるとさっきの車は随いてこなかった。安心して家の前に停車した。後ろの座席に置いたギターを取りだそうとした、そのときだった。だれかが突然わたしを後ろから羽交い締めしたのである。リーウエイを降りてからも随けられていたのだ。こうなれば必死で戦うしかない。友だちの可能性を捨ててむちゃくちゃに暴れた。やっと相手の腕がゆるんだ。そのすきに回転して向き直る。対峙すると相手は見知らぬ白人であることがわかった。その頃、世間では連続強姦魔事件が取りざたされていて後ろからわたしの長髪を見て女性と勘違いして襲ってきたのかと思った。白人はおまえはキムじゃないのか、とわけのわからないことをいいながら逃げて行った。翌日、隣のアパートの住人が二階から見ていたけれどよく助かったね、うちの子供にもカンフーを教えてくれ、と頼まれた。わたしはカンフーは知らない、と断ったものだった。
fumio

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )






カリフォルニアサンシャインその35
************************************
その頃、ホールドアップ事件が多発していた。店のドアが突然開いて、脅しにエンターテイナーの頭上に一発発砲する。
ピストルを突き付けられると対応がむづかしい。あなたならどうするだろうか。Los Angeles Police DepartmentLAPD(ロス市警)のそばにあったスポーツラウンジ酒場「燈り」のマスター、ステイーヴ氏は武闘派で犯罪抑止効果のためにカウンターの下にでっかい拳銃をわざと見えるように置いていた。いつでもホールドアップに対処できるということだった。ところがある日、「フミオちゃん、昨日ヤラレタ。売上を持って外に出たとたん後ろから首にピストルを突き付けられた。」と残念がっていた。護身用登録済みの銃は50ドルぐらいで登録していない銃は裏の組織で10倍ぐらい。そんなアソールト銃と呼ばれる殺傷用銃が犯罪に使用されるのだった。憲法修正2条で自衛のための武器の所持は認められている国なのでクラブの経営者は気を抜けない。
拳銃などの武器は普段から射撃練習場で拳銃の扱い方を習熟しておかないと簡単には使えない。
わたしがベースとボーカルを頼まれてやっていたバンド「ケンちゃん」のリーダー谷岡ユキオは拳銃を3丁身に着けていた。脇に1丁、腰に1丁、脚に1丁。それぞれ用途の違うものをわたしに見せびらかして自慢していた。かれはラテンギター奏者でワンボックスカーに仕事用のボーカルアンプ、ラテンギター、譜面立て、などなどをいつも積んでいたのだがある時、アパートの地下駐車場でメキシカンたちが車のドアを開いて盗もうとするのを目撃した。それで車が揺れるとアパートの部屋で寝ていても警報が鳴る仕組みの防犯ブザー装置を装着しておいて待ったのだ。何日かして夜の仕事を終えて就寝中、枕もとのブザーが鳴った。きっと何者かがワンボックスカーをこじ開けようとしているのだ。ピストルをつかんで階段を駆け下りた。メキシカンのワルどもが車に集まって開けようとしていた。ユキオが走ってくるのに気づいて逃げようとした。ユキオは何発もぶっ放した。普段から射撃練習場で拳銃の扱い方は稽古していたのだが残念ながらというか幸いというか、当たらなかった。それでも脅しにはなったらしく以来、メキシカンのワルたちは近寄らなくなったという。当たっていたらどうなったのだろう、と思ってしまう。
fumio


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )