「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

囚われを解除する テクニック (2)

2010年04月13日 19時56分48秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

 さらに  「中核信念」 である思い込みについて、

 子供の頃、 そう感じることはなかったか、 過去に遡って聞いてみます。

 思い込みが、 親や 重要な人物との関係から 生じていることが分かると、

 その呪縛力は弱くなり、 行動や考え方が 次第に変化していきます。

 もちろん 一筋縄ではいかず、 ネガティブな感情が 強まることもありますが、

 それはより根本的な 改善に必要な段階なのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子を呪縛していた  「中核信念」 のひとつは、

 父親との関係から 生まれたものでした。

 心子は、 心臓病の父親と 一緒に死ぬという 約束をしていましたが、

 父が発作で倒れたとき、 あとを追うことが できませんでした。

 自分は 死ぬために生まれてきた、

 死ななければならないという 信念ができてしまいました。

 心子が召されたあと、 父親との約束は、

 心子の心の中だけの 事実だったらしいことが 分かってきました。

 それは単なる 思い込みのレベルではなく、

 主観的には 間違いなく存在した 「心的事実」 だったので、

 修正は より難しかったかもしれません。

 父親もすでに 鬼籍に入っていたので、 父親に真相を 確認することもできません。

 でも、 生きているうちから、

 その部分に焦点を当てて 治療することができたとしたら……。

 かなり困難な 道のりだったとは思いますが、

 新たな展開が 期待できたかもしれません。
 
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