(前の記事からの続き)
DSM-Ⅳ-TRでは、
内科の疾患と同じように、 心の病にも 「疾患モデル」 を使って、
個人 (または環境) の中の 病理 (機能不全) と関連づけてしまっています。
これが 問題を複雑にしています。
精神障害は 内科の疾患とは異なります。
肺炎にかかるのと同じように、 精神障害が発症するわけではありません。
また 精神障害の場合、 あるひとつの疾患 (例えばうつ病) の 症状の多くは、
他の色々な障害にも 見られるため、 これらの障害の 境界線はあいまいです。
精神障害の診断の根拠となるのは、 何をし、 何を考え、 何を感じるかですが、
これは、 それらの根底に 何かの障害があるという 考えに基づいています。
しかし 身体や脳の中に、 根底にある障害を 見つけることはできません。
病理モデルでは、 問題がその人の内側にある と考えます。
けれども 苦しんでいる問題の多くは、 周囲の環境にある 問題によるものなのです。
環境 (周囲の対応の仕方など?) が変われば、
その人の振る舞い方や 考え方, 感じ方は変わるかもしれません。
従って、 その人が 障害を持っているかどうかよりも、
その人が何をし、 何を考え、 何を感じるかのほうが、 ずっと大切なのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害 サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕