東電と政府は、 原発による死者はいない と言っています。
しかし、 酪農家の自殺が相次ぎました。
「原発さえなければ」 と 書き残して……。
これは 原発による死者とは 言えないのでしょうか。
また、 自然死として扱われている人も 複数います。
震災直後 (3月11日の夜) に 政府の避難命令が出され、
ゴーストタウンと化した町に 取り残された人たちがいたのです。
I さん (44才) は避難命令後、 両親と連絡が取れなくなりました。
電話をしましたが通じず、 実家のある避難区域に 探しに行くことはできません。
すでに避難したのだろうと、 避難所を探したり、 地元ラジオで呼びかけたり、
町役場に捜索を依頼したりしました。
3月23日、 自衛隊が避難区域の捜索に入りました。
そして、 I さんの両親は 実家で発見されたのです。
母親は津波による溺死、 2階にいた父親は やせ細って衰弱死、 つまり餓死でした。
亡くなったとされるのは 3月21日。
震災から10日間、 生きていたことになります。
実家に食料はなく、 唇は渇ききっていました。
他にも5人が衰弱死しており、 その多くが餓死でした。
持病も怪我もなかったのに、 なぜ逃げられなかったのか、
助けを待っているうちに 動けなくなってしまったのか、 分かりません。
避難命令を知らなかったのでしょうか、
妻の亡骸を 置いていけなかったのでしょうか……?
I さんの父親は、
震災による死亡者リスト (福島県警発表) の 中にさえ入っていません。
書類上、 「自然死」 として 扱われているためです。
I さんは父親の死が、 社会から忘れ去られたように 感じるといいます。
原発がなければ、 すぐにでも 探しに行くことができたのに、 それが叶わなかった。
それは 原発による死ではないと……?
〔 TBSテレビ 「NEWS23クロス」 より 〕