「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ピック病、 互いに刺激 -- 認知症のいま (2)

2011年06月07日 20時21分46秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 Yさん (67) は、 60才頃から 話が噛み合わなくなってきたり、

 お菓子と薬を間違えたりするようになりました。

 ピック病と診断され、 ピック病専門グループホーム 「ローゴム」 に入所しました。

 Yさんは、 施設の環状の廊下を ゆっくり歩いて回る 習慣があります。

 しばらく回ると 自室に戻り、 やがて出てきて 再び回るという繰り返し。

 同じ行動を何度も繰り返す  「常同行動」 は、 ピック病の特徴です。

 スタッフは抑制せず、 Yさんが歩きやすいように 通路を空けます。

 他人に危害を 加えるようなことがない限り、

 できるだけ本人の 好きなようにしてもらうことが大切です。

 端から見ると 奇妙な行動でも、 本人にとっては意味があるでしょう。

 抑えるとストレスになりかねません。

 意思疎通が困難な人が 多いので、 表情やしぐさに注意し、

 思いを読み取ることも大切です。

 尿意などのサインが 分かる場合もあります。

 Yさんは K子さん気が合い、

 どちらからともなく 手を差し出して、 一緒に回ることもあります。

 お互いの存在が よい刺激になり、 笑顔が増えてきました。

 ピック病の人は 気ままな行動をするため、

 共同生活は難しいと 考えられてきましたが、

 ピック病の人同士だと 互いにその人らしさを保ちながら、

 うまく生活できることが 分かってきています。

 ピック病を受け入れる施設は まだ少数ですが、

 社会全体で支援のあり方を 考える必要があります。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする