福岡の公民館で、 男女20人の高齢者が 創作ダンスを楽しんでいます。
認知症の予防活動をする 「歌おう会」。
月2回、 講師の指導で 2時間、 歌やダンスをします。
半数は 認知症になる可能性が高い 「軽度認知障害」 の人たちです。
軽度認知障害は 正常と認知症の 中間的な状態で、
軽い物忘れなどがありますが、 日常生活に大きな支障はありません。
ただ 普通の高齢者に比べて、
10倍ほど認知症になりやすい 「ハイリスク群」 です。
しかしこの段階から 運動や趣味など、 脳や体を活性化する 活動をすることで、
認知症予防になる可能性が 高いことが分かってきました。
「歌おう会」 のメンバーの男性 (79) は、
福岡大病院の教授・ 山田達夫さんに、 軽度認知障害と診断されました。
山田さんに誘われ、 「笑○(しょうわ)の会」 に入りました。
軽度認知障害の人と家族 約30人が、
月1回、 散策や絵画、 旅行などを楽しみます。
その後、 「歌おう会」 や 「歩こう会」 にも参加しました。
診断から4年たちましたが、 男性は認知症になっていません。
他の参加者も 診断から数年たって、 認知症に進行していない 人が多いのです。
山田さんが 軽度認知障害と診断した 64人のうち、
週1回の活動に 参加した18人は 3年後、
誰も認知症にならず、 16人は 正常の状態に回復しました。
活動に不参加の46人では、 3年以内に 12人が認知症になりました。
体を動かす、 頭を使う、 会話をする。
この3点が 予防活動の主なポイントです。
7~8人のグループで、 週1回くらいは 活動するのが望ましいとされます。
活動内容は 皆で話し合って決めると、
活発な会話が生まれ、 頭も使うので効果的です。
予防活動に取り組んでも 認知症になる人はいますが、
前向きで 新しいことに取り組む生き方が、
認知症予防の可能性を 高めることは間違いありません。
〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕