「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

若年性認知症のへの偏見 -- 認知症のいま (3)

2011年06月08日 19時33分46秒 | 介護帳
 
 Hさん (49) は5年前、 自分の記憶がおかしいと 感じ始めました。

 約束や会話を 思い出せなくなったり、 料理に手間取るようになったり。

 2年後、 初期のアルツハイマー型認知症と 診断されました。

 脳血流の低下や、 脳脊髄液中の物質の濃度も この病気のパターンが出ていました。

 64才以下で発症する認知症を  「若年性認知症」 と呼びます。

 全国で38000人、 発症時の平均は51才。

 アルツハイマー型やピック病が 多いとされます。

 若年性認知症の人は 失職して経済的に困窮したり、 子育てができなくなったり、

 高齢者とは別の 問題を抱えます。

 Hさんの3人の子供は 当時まだ学生でした。

 「進路などで 親に相談したいこともあったのに、 不安だったと思う」

 Hさんは  「重大なミスをしかねない」 と、

 長年続けた 看護師の仕事を退職しました。

 家計を支える働き盛りの人が 認知症になったら、 事態は深刻です。

 若年性認知症になっても 安心して暮らせる 社会にするため、

 若年性認知症問題に取り組む会  「クローバー」 を設立しました。

 当初は 病気のことを隠していましたが、

 問題を社会に問いかけるために 隠すのをやめ、 今は自ら講演に立ちます。

 偏見を恐れ、 誰にも相談できず、 受診が遅れて 進行してしまう人もいます。

 若くても 気になれば専門医に受診をし、

 早期に治療を始めれば 良い状態を保てる 可能性が高まります。

 本人の自覚がない場合には、 家族の気付きも大切です。

 誰もが早期に 適切な医療や支援を受けられる 社会が望まれます。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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