(前の記事からの続き)
○見捨てられ不安と飲み込まれ恐怖
時にボーダーの人は、
「離れていてよ。 もう少し近いところで」 と 言っているかのようです。
この行動パターンは、 ふたつの相反する 根源的な恐怖から生じます。
見捨てられることへの恐怖と、
人にコントロールされたり 飲み込まれたりする恐怖です。
・ 見捨てられ不安
幼いときは誰でも 見捨てられ不安を経験します。
成長するにつれて、 自立して、 家族の加護から 離れていこうとします。
2才の子供は、 得意気に遊び場を走り回り (自立)、
転ぶと 泣きながら親の所へ 駆け寄っていきます (依存)。
次第に 双方のバランスが取れるようになり、 成人期には、
見捨てられ不安や飲み込まれ恐怖に 支配されることなく、 自立を果たします。
ボーダーの人は、 他者に没入したい衝動と、 自立願望の間で 引き裂かれます。
ある時は 親密さや保護を求め、 ある時は あなたを遠ざけようとし、
つじつまが合わないものになります。
・ コントロールを失うことへの恐れ
ボーダーの人は、 人が近づきすぎると 飲み込まれそうに感じたり、
コントロールを失うような 恐怖を感じます。
あなたが 彼らと親密になり、 彼らの本当の姿を 目にすると、
不快感を覚え、 彼らから離れていくことを、 彼らは恐れています。
そして 傷つくことを恐れて、 距離を取るようになります。
しかし 距離を取れば孤独になり、 見捨てられ不安は強まります。
再び 死に物狂いで親密さを求め、 このサイクルが繰り返されるのです。
サイクルは 数日, 数週間, 数ヶ月, 数年単位かもしれません。
親密度が高まるほど、 見捨てられや飲み込まれの問題も 深刻になります。
〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕