「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

眠っている間に過食症 -- 睡眠関連摂食障害 (3)

2011年06月14日 20時17分22秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 睡眠中の過食として もうひとつ、  「夜間摂食症候群 (NES)」 があります。

 夜間に覚醒して、 意識がある状態で むちゃ食いをし、

 翌朝も記憶があることから、 睡眠関連摂食障害と区別されます。

 夜間に偏った、 異常な食行動としての 睡眠障害です。


 また、 眠剤の副作用によって、 夜間の過食が起こることもあります。

 睡眠状態で 記憶がないケースと、

 眠剤を飲んでも眠れずに 過食してしまうケースなどがあるようです。

 心の問題を抱えて 眠剤を服用している人は、

 その副作用で 夜間過食をしている場合も 少なくないのでしょう。

(心子も そうだったのかもしれません。)


 一方、 睡眠関連摂食障害を、

 睡眠薬で誘発された 異常行動のひとつとして 捉える人もいます。

 睡眠薬による意識低下に基づき、 食行動障害を伴うものです。

 稀な副作用で、 解明されていない点が多いですが、

 留意する必要があるとしています。

〔 星和書店 / 精神科治療学24 巻02号抄録本文
  http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/bn/24/02u.html 〕


 従来、 摂食障害の患者は、 夜間の過食と その記憶がないことも多いので、

 記憶障害は 解離性症状だと思われていました。

 夜間の過食は 摂食障害の部分症状であり、 記憶がある場合も ない場合もある、

 という程度の 理解をされていました。

 ところが、 眠剤も飲んでおらず、 夜間の過食と その記憶がないことだけを訴える、

 または それを主症状とする患者がいます。

 そういう患者は、 摂食障害というより、

 睡眠障害の観点からも診るべきだ という意見が出てきたのです。

〔 赤城高原ホスピタル 「睡眠関連摂食障害」
  http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/ED_sleep-related.htm 〕

 以上のように、 睡眠関連摂食障害は 本人が知らないうちに起こり、

 切実な問題も含んでいるだけに、 研究や理解が 早く進んでいけばと思います。
 
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眠っている間に過食症 -- 睡眠関連摂食障害 (2)

2011年06月13日 19時22分00秒 | ボーダーに関して
 
(前の記事からの続き)

 睡眠関連摂食障害 (SRED) では、

 典型的な場合、 患者は就眠直後から 1時間以内に過食を始めます。

 多くの場合、 食事内容は、 脂肪分や糖分の多い 高カロリー食です。

 患者はストレス状況下にあり、

 自信を喪失して 混乱していることが多いといわれます。

 患者は 夜間の過食を避けるために、 ベッドルームや冷蔵庫に 鍵をかけたり、

 台所に誰かに寝てもらったり、 冷蔵庫のドアに 鈴をつけたりしますが、

 全て役に立ちません。

 SRED患者の 3分の2は女性で、

 患者の平均年齢は27才  (多くの場合、 10代後半か20代前半に発病)。

 夜間に高カロリーの食事をし、 43%の患者は肥満しています。

 84%は、 全くか 或いはほとんど 夜間過食の記憶がありません。

 SREDは時には、 アミトリプチリンなどの 抗うつ剤投与に続いて出現します。

 また時には、 睡眠時無呼吸症候群に続いて

 夢遊病とSREDが 見られることがあります。

 脳炎やナルコレプシーなどが 引き金になることもあります。

 SRED患者は 正常者よりも、 アルコール症、 薬物乱用、 睡眠障害などの

 既往歴がある場合が 多いことが知られています。

 気分障害や不安障害を合併している、 あるいは 併発する可能性が高いものの、

 これらの特定の精神障害との 関係性は知られていません。

 多くの研究者が、 SREDは 摂食障害ではなく睡眠障害である、

 と考えている一方で、

 摂食障害患者の10~15%が この障害を経験している という報告もあります。

 また SRED患者の半数以上が、

 情緒的、 身体的 または性的虐待被害者である という報告もあります。

 治療に関しては、 精神行動療法、

 抗うつ薬や 抗てんかん薬などが試みられています。

 睡眠剤によって 病状を悪化させることがあります。

 ストレスを低減することが重要なので、

 ストレスマネージメントクラス、 アサーティブトレーニング、

 カウンセリングなどが有効です。

 患者は、 アルコール、 カフェイン、 薬物乱用を避けることが重要です。

〔 赤城高原ホスピタル 「睡眠関連摂食障害」 より
  http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/ED_sleep-related.htm 〕

(次の記事に続く)
 
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眠っている間に過食症 -- 睡眠関連摂食障害 (1)

2011年06月12日 21時00分05秒 | ボーダーに関して
 
 ボーダーの人が書いた ブログを見ていたら、

 「■寝ている時の過食症。」 という記事がありました。

(「境界例ガールのサクセス日記。」)

 眠っている間に 無意識に起き出して、 過食をしてしまうというもので、

 「睡眠関連摂食障害」 と言われます。

 実は 心子にもこれがありました。 (と、話していました。)

 重症ではありませんが、 寝ている間に ゆであずきをむしゃむしゃ食べたり、

 カニ缶をふたつ 平らげたりしたと言っていました。

 でもこの数年で 言われ始めたものらしく、

 このブログの著者さんも、 何ヶ所もの病院に通院していながら、

 「寝てる間の過食なんて 聞いたことない」 と言われ、

 診断が付かなかったそうです。

 睡眠中の脳波測定も 異常なかったとのこと。


 wikipediaからの  「睡眠関連摂食障害」の抜粋です。

「神経性大食症 (過食症) が 睡眠時に現れるもの。

 原因は主に ダイエットによるストレスで、 食事制限で食欲が満たされないために、

 睡眠時に 睡眠状態のまま歩き出し、 過食してしまう。

 食べて満足すると、 そのまま寝床へ戻る。

 これらの症状が 睡眠時に無意識に起こるため、 症状を自覚しないことが多い。」

 この著者さんにとっても  「謎の過食症」 で、

 朝起きたとき、 自分が食べた物の 残骸を見つけたり、

 自分の下に 食べかけのジャムパンがあって、 髪の毛も枕も ジャムまみれだったり、

 朝耐えがたいぐらいの 胃もたれがしたりしたそうです。

 それで自分の過食症への  「恐怖心」 が起きたといいますが、

 そういう恐さだけでなく、 事態はもっと深刻です。

 不本意な体重増加は元より、 うとうとして食べるため 物がのどに詰まる可能性,

 時には 料理までしているということで、 火事を起こす危険性,

 眠ったまま車を運転して コンビニに食べ物を買いにいくという

 恐ろしさなどがあるのです。

〔 参考 : 「境界例ガールのサクセス日記。 ■寝ている時の過食症。 」
       http://bpd1976.blog27.fc2.com/blog-entry-34.html

(次の記事に続く)
 
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歌やダンスで予防 -- 認知症のいま (5)

2011年06月10日 20時08分21秒 | 介護帳
 
 福岡の公民館で、 男女20人の高齢者が 創作ダンスを楽しんでいます。

 認知症の予防活動をする  「歌おう会」。

 月2回、 講師の指導で 2時間、 歌やダンスをします。

 半数は 認知症になる可能性が高い  「軽度認知障害」 の人たちです。

 軽度認知障害は 正常と認知症の 中間的な状態で、

 軽い物忘れなどがありますが、 日常生活に大きな支障はありません。

 ただ 普通の高齢者に比べて、

 10倍ほど認知症になりやすい  「ハイリスク群」 です。

 しかしこの段階から 運動や趣味など、 脳や体を活性化する 活動をすることで、

 認知症予防になる可能性が 高いことが分かってきました。

 「歌おう会」 のメンバーの男性 (79) は、

 福岡大病院の教授・ 山田達夫さんに、 軽度認知障害と診断されました。

 山田さんに誘われ、 「笑○(しょうわ)の会」 に入りました。

 軽度認知障害の人と家族 約30人が、

 月1回、 散策や絵画、 旅行などを楽しみます。

 その後、  「歌おう会」 や 「歩こう会」 にも参加しました。

 診断から4年たちましたが、 男性は認知症になっていません。

 他の参加者も 診断から数年たって、 認知症に進行していない 人が多いのです。

 山田さんが 軽度認知障害と診断した 64人のうち、

 週1回の活動に 参加した18人は 3年後、

 誰も認知症にならず、 16人は 正常の状態に回復しました。

 活動に不参加の46人では、 3年以内に 12人が認知症になりました。

 体を動かす、 頭を使う、 会話をする。

 この3点が 予防活動の主なポイントです。

 7~8人のグループで、 週1回くらいは 活動するのが望ましいとされます。

 活動内容は 皆で話し合って決めると、

 活発な会話が生まれ、 頭も使うので効果的です。

 予防活動に取り組んでも 認知症になる人はいますが、

 前向きで 新しいことに取り組む生き方が、

 認知症予防の可能性を 高めることは間違いありません。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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薬を減らして 戻った元気 -- 認知症のいま (4)

2011年06月09日 19時53分45秒 | 介護帳
 
 認知症のT子さん (87) は 昨年、

 食欲不振に陥り、 寝たきりになってしまいました。

 認知症の薬に加え、 胃や心臓、 高血圧の薬など、

 10種類を服用していましたが、 全部を飲むのは困難に。

 主治医は 優先度の高い薬、 3種類だけに減らしました。

 3~4日たつと、 T子さんは 起きている時間が長くなり、

 食事も取るようになって、 1週間もすると すっかり元気になりました。

 今も薬は 3種類のままですが、 健康そのもの。

 会話はかみ合わないものの、 しっかりと歩き、 笑顔を絶やしません。

 一時は 終末期さえ考えたのに、 薬を減らしたのが良かったのか、

 実際の因果関係は はっきり分かりません。

 しかし一般に、 薬の数が増えるほど、 薬同士が影響を及ぼし合い、

 効き目が弱まったり、 効き過ぎたり、 有害な副作用が出たりします。

 薬を減らして 認知症が改善する人は 珍しくありません。

 もちろん 薬が必要な人はいますが、 過信は禁物です。

 日本神経学会は、 認知症の治療指針に

 「認知機能低下を誘発しやすい薬剤」 を 明記しました。

 抗コリン薬, 抗精神薬, 抗パーキンソン病薬, 降圧薬など 多岐にわたり、

 認知症の症状に マイナスに働くことがあります。

 同指針では、 認知症の投薬の 原則を挙げています。

・ 少量で開始する

・ 若年者より少なくする

・ 薬の効き目は 短期間で評価する

・ 多剤服用は なるべく避ける

 主治医と家族が 定期的に相談して、 飲んでいる薬を見直し、

 必要のないものは やめるようにするべきです。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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若年性認知症のへの偏見 -- 認知症のいま (3)

2011年06月08日 19時33分46秒 | 介護帳
 
 Hさん (49) は5年前、 自分の記憶がおかしいと 感じ始めました。

 約束や会話を 思い出せなくなったり、 料理に手間取るようになったり。

 2年後、 初期のアルツハイマー型認知症と 診断されました。

 脳血流の低下や、 脳脊髄液中の物質の濃度も この病気のパターンが出ていました。

 64才以下で発症する認知症を  「若年性認知症」 と呼びます。

 全国で38000人、 発症時の平均は51才。

 アルツハイマー型やピック病が 多いとされます。

 若年性認知症の人は 失職して経済的に困窮したり、 子育てができなくなったり、

 高齢者とは別の 問題を抱えます。

 Hさんの3人の子供は 当時まだ学生でした。

 「進路などで 親に相談したいこともあったのに、 不安だったと思う」

 Hさんは  「重大なミスをしかねない」 と、

 長年続けた 看護師の仕事を退職しました。

 家計を支える働き盛りの人が 認知症になったら、 事態は深刻です。

 若年性認知症になっても 安心して暮らせる 社会にするため、

 若年性認知症問題に取り組む会  「クローバー」 を設立しました。

 当初は 病気のことを隠していましたが、

 問題を社会に問いかけるために 隠すのをやめ、 今は自ら講演に立ちます。

 偏見を恐れ、 誰にも相談できず、 受診が遅れて 進行してしまう人もいます。

 若くても 気になれば専門医に受診をし、

 早期に治療を始めれば 良い状態を保てる 可能性が高まります。

 本人の自覚がない場合には、 家族の気付きも大切です。

 誰もが早期に 適切な医療や支援を受けられる 社会が望まれます。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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ピック病、 互いに刺激 -- 認知症のいま (2)

2011年06月07日 20時21分46秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 Yさん (67) は、 60才頃から 話が噛み合わなくなってきたり、

 お菓子と薬を間違えたりするようになりました。

 ピック病と診断され、 ピック病専門グループホーム 「ローゴム」 に入所しました。

 Yさんは、 施設の環状の廊下を ゆっくり歩いて回る 習慣があります。

 しばらく回ると 自室に戻り、 やがて出てきて 再び回るという繰り返し。

 同じ行動を何度も繰り返す  「常同行動」 は、 ピック病の特徴です。

 スタッフは抑制せず、 Yさんが歩きやすいように 通路を空けます。

 他人に危害を 加えるようなことがない限り、

 できるだけ本人の 好きなようにしてもらうことが大切です。

 端から見ると 奇妙な行動でも、 本人にとっては意味があるでしょう。

 抑えるとストレスになりかねません。

 意思疎通が困難な人が 多いので、 表情やしぐさに注意し、

 思いを読み取ることも大切です。

 尿意などのサインが 分かる場合もあります。

 Yさんは K子さん気が合い、

 どちらからともなく 手を差し出して、 一緒に回ることもあります。

 お互いの存在が よい刺激になり、 笑顔が増えてきました。

 ピック病の人は 気ままな行動をするため、

 共同生活は難しいと 考えられてきましたが、

 ピック病の人同士だと 互いにその人らしさを保ちながら、

 うまく生活できることが 分かってきています。

 ピック病を受け入れる施設は まだ少数ですが、

 社会全体で支援のあり方を 考える必要があります。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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ピック病 -- 認知症のいま (1)

2011年06月06日 21時59分43秒 | 介護帳
 
 K子さん (56) は、 50歳になるころから 家事や買い物ができなくなり、

 大声で叫ぶなどの 行動も出始めて、

 「ピック病」 (前頭側頭型認知症) と診断されました。

 ピック病は、 理性をつかさどる 「前頭葉」 と、

 言語能力に関連する 「側頭葉」 が縮む 原因不明の病気です。

 気ままな行動が目立ち、 意思疎通が難しくなります。

 善悪の判断ができず、 反社会的な行動に出ることもあります。

 万引き犯が ピック病であることが分かって 無罪になったり、

 解雇が撤回されたりする事例が 近年相次いでいます。

 40~50代での発症が多く、 全国に1万人以上いるとされますが、

 有効な治療法はありません。

 K子さんは デイサービスを利用していましたが、

 暴言を吐くなどしたため 利用を断られました。

 その後、 全国で唯一の ピック病専門グループホーム

 「ローゴム」 (岡山県) に、 ようやく入所することができました。

 ローゴムでは 原則的に薬を使わず、 入所者の行動を 個性と認めて抑えつけません。

 ただし、 常に行動に目を配り、 危険な行為に出たときは 止めに入ります。

 K子さんは 大声で叫んだり歌ったり、

 「あほんだら」 などと 暴言を吐くこともありました。

 スタッフは K子さんが暴言を吐くたび、 K子さんの好きな 歌を歌いました。

 K子さんもつられて歌い出し、 繰り返すうちに暴言は消えて、

 表情が豊かになっていきました。

 ピック病の患者は 体力のある中年の人も多く、

 強い力で抵抗したりするため 家族の負担は大変です。

 ローゴムには 入所希望が全国から来ますが、

 定員の関係などで やむなく断ることも少なくないといいます。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕

(次の記事に続く)
 
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「境界性パーソナリティ障害の症状と特徴」 (2)

2011年06月05日 21時19分52秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

3. 行動調整不全

 危険で衝動的な行動と、 自傷行動のふたつがあります。

 前者は、 自分を傷つけるような衝動性で、

 衝動買い, 無謀な運転, 危険な性行為, 薬物やアルコールの問題があります。

 動揺している心のつらさを 一時的に和らげるためのものです。

 後者は、 自殺行動 または自傷行動です。

 自殺行動は、 自殺について考える, 自殺しようとする, 実際に自殺することです。

 故意の自傷行動は、 死ぬという意志のない 自傷行為動です。


4. 自己とアイデンティティの調整不全

 自分が何者なのかという はっきりした意識がなく 不安定で、

 また、 ほとんどいつも 虚しく感じています。

 前者では、 状況が変わると 自分が別の人間に なってしまうように感じます。

 進路や職を 転々と変えたり、

 自分の人生が どこに向かっているのかよく分からない と話したりします。

 後者では、 心の中に空白があり、 自分が脱け殻のように感じます。

 埋められない大きな穴がある, 自分が存在していないように感じる、

 という人もいます。


5. 認知調整不全

 ストレスをためこむと、 否定的な考えや 被害妄想的な考えを持つことです。

 人が意地悪しているとか、 人から批判的に見られている と思ったりしてしまいます。

 自分や現実からの解離を 経験することもあります。

 自分が自分の中に いないような感覚や、

 中には、 天井まで浮いて 自分や周りの人を見下ろしている 感じを持つ人もいます。

 解離は 苦痛から逃れる 手段でもあります。

 しかし それによって問題は解決されませんし、

 解離状態のときには 自殺企図や無謀な性行為など、

 危険な行動を 取ってしまうこともあります。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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「境界性パーソナリティ障害の症状と特徴」 (1)

2011年06月04日 20時29分57秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 DSM-Ⅳ-TRの9つの症状を、

 マーシャ・リネハン (弁証法的行動療法の開発者) は

 5つのカテゴリーに分けました。

1. 感情調整不全

2. 人間関係の調整不全

3. 行動調整不全

4. 自己とアイデンティティの調整不全

5. 認知調整不全

 「調整不全」 とは、 「コントロールできない」 ということです。

 5つのカテゴリーを 以下に説明していきます。

1. 感情調整不全

 感情調整不全が BPDの人にとって、 最も重要な問題である という人もいます。

 BPDの人は、 他の人が それほど感じない物事にも 強く反応します。

 人の言動に動揺しやすかったり、 他の人より ストレスが溜まりやすかったりします。

 怒りが激しい、 または 怒りを抑えられないというのも 特徴のひとつです。

 しかし怒りよりも、 自分を恥じる気持ちや 悲しみ、 罪悪感のほうがずっと強く、

 対処が難しい 場合が多いのです。

 なかには、 自分自身に対して 強く怒っている人もいます。

2. 人間関係の調整不全

 BPDの人は 多くの場合、 とても魅力的で、 愛嬌があり、 繊細です。

 にもかかわらず、 人間関係が不安定で、 人に捨てられることを恐れています。

 人間関係が 信じられないほど うまく行くこともあれば、

 全てが崩れていくような 気がするときもあります。

 「すごく良い」 と 「すごく悪い」 の間を、

 あっという間に 行ったり来たりするのです。

 また BPDの最も重要な問題は、

 見捨てられることや 孤立を恐れることだ、 とする研究者もいます。

 置いていかれる恐怖が あまりにも激しいので、

 しがみついたり、 喧嘩をしようとする人もいます。

 その間だけでも 一緒にいられるからです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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「境界性パーソナリティ障害とは?」 (内科疾患との違い)

2011年06月03日 21時31分02秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 DSM-Ⅳ-TRでは、

 内科の疾患と同じように、 心の病にも 「疾患モデル」 を使って、

 個人 (または環境) の中の 病理 (機能不全) と関連づけてしまっています。

 これが 問題を複雑にしています。

 精神障害は 内科の疾患とは異なります。

 肺炎にかかるのと同じように、 精神障害が発症するわけではありません。

 また 精神障害の場合、 あるひとつの疾患 (例えばうつ病) の 症状の多くは、

 他の色々な障害にも 見られるため、 これらの障害の 境界線はあいまいです。

 精神障害の診断の根拠となるのは、 何をし、 何を考え、 何を感じるかですが、

 これは、 それらの根底に 何かの障害があるという 考えに基づいています。

 しかし 身体や脳の中に、 根底にある障害を 見つけることはできません。

 病理モデルでは、 問題がその人の内側にある と考えます。

 けれども 苦しんでいる問題の多くは、 周囲の環境にある 問題によるものなのです。

 環境 (周囲の対応の仕方など?) が変われば、

 その人の振る舞い方や 考え方, 感じ方は変わるかもしれません。

 従って、 その人が 障害を持っているかどうかよりも、

 その人が何をし、 何を考え、 何を感じるかのほうが、 ずっと大切なのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕
 
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「境界性パーソナリティ障害とは?」 (パーソナリティ障害の誤解)

2011年06月02日 23時08分30秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
 星和書店 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」

 (アレクサンダー・L・チャップマン, キム・L・グラッツ著 / 荒井秀樹監訳)

 という本から、 抜粋・ 要約をさせていただきます。

(なお書庫名は、 タイトルに文字制限があるため、 止むを得ず

 「『BPDサバイバル・ガイド』より」 と せざるを得ませんでした。)
 

 「パーソナリティ」 とは、

 その人独特の振る舞い方, 感じ方, 考え方, 世の中との関わり方のことです。

 パーソナリティ障害とは 単に、

 世間との関わり方が 余りうまくいかない状態が 長く続いている、 ということです。

 人格に欠陥があるとか、 性格がよくない, 意地悪で好ましくないとか、

 そういうことではありません。

 問題を生じさせる何かが、 人格の中にある というわけではないのです。

 まず、 「パーソナリティ障害」 という 言葉自体が問題です。

 この言葉が、 性格上の欠陥, 問題を起こす人, 難しい性格という意味と

 同じように使われてしまうからです。

 次に、 問題がその人の中にあり、 本人がそれを解決すれば 全てが正常になる、

 と思われがちです。

 けれども、 環境 (ストレス, トラウマ, 虐待など) が

 大きな要因となっているのです。

 そして、 パーソナリティ障害の人は 生まれてからずっとそうであり、

 これからもずっとそうなのだ、 とも思われがちです。

 しかし BPDは必ずしも 長い期間は続かないし、

 一生苦しむということでもありません。

 BPDとは 単に、 良い生活を送ったり、 人と強い絆を持ち続けたり、

 自分の目標を 達成したりする能力の、妨げになる 考え方や感じ方,

 振る舞い方のパターンがある、 ということに過ぎません。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)
 
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